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世界も驚く巨大な凧「判じもん」の謎!絵と漢字で描かれたメッセージが読めますか?【滋賀県東近江市】

Posted by: 鈴木幸子
掲載日: Jan 17th, 2021. 更新日: Jan 20th, 2021

びわ湖の東に位置する滋賀県東近江市には、江戸後期から暗号解読風に読んで楽しむ大凧があります。約100畳もある土地の伝統大凧や、国内外の凧を紹介する凧博物館に行って、初めて「判じもん」が描かれたナゾ解き凧の存在を知りました。日本ってまだ知らない江戸カルチャーがいっぱいですよ!

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東近江の大凧が生まれたワケ


東近江市が誇る「世界凧博物館・東近江大凧会館」。館内へ入ると正面には壁一面の巨大凧が!タテ13m、ヨコ12m。江戸時代から作られていた大凧です。


なぜこんな大凧を作るようになったのか。博物館の学芸員・鳥居さんによると「近江人の負けん気」気質によるものだそう。東近江はびわ湖からの風がよく吹き、大凧を揚げるのに適した広い野原がありました。その野原に面した3つの村が、凧の大きさを競い合い、隣村が畳2畳の凧を揚げれば、うちはもっと大きな凧を!とエスカレートして、江戸時代の終わり1841年頃には、すでに100畳ほどの凧が揚げられていたそうです。もっとも大きな凧は明治15年(1882年)のもので、畳にして約240畳、約20m四方の大きさがあったのではといわれています。上の写真は2階に展示している全国の凧です。

フランス人も驚愕した東近江独自の凧づくり

東近江大凧の特徴は下記の3つ。
1. 風抜きの穴がある切り抜き工法
2. 枠組みの丸い竹を取り外し、丸めて筒状にして持ち運びができる長巻き工法
3. 絵柄は、上に動物や魚、下は漢字ひと文字が描かれる判じもん

日本の凧の図柄には武者絵が多いのですが、東近江スタイルは、上に動物、下に朱色の漢字ひと文字が入ります。下に2文字が入るときも。描く動物はその年の干支や、鯛やエビ、カニなど。もともと江戸時代に男児誕生を祝い、節句に揚げたのが始まりで、絵柄には徐々に庶民の願い、国や地方のお祝、土地の大きな出来事など、時代によってのスローガンやメッセージが描かれるようになりました。


ちなみにこちらは、昭和56年(1981年)に滋賀県国体を祝って揚げられた凧。実物は約80畳あるそうです。黒い鯛で「コクタイ」。

「判じもん」入りの凧揚げは、江戸時代の終わり頃から東近江で始まったオリジナルの文化ですが、江戸時代には「判字絵(はんじえ)」というものがありました。たとえば版画で足の絵が描いてあり、「゛」をつけて「アジ」と読んだり、宿場町の箱根なら、人間の歯を書いて猫を逆さにしてみて「はこね」など。楽しい遊び文字絵みたいなものがあったそうです。


「長巻き工法」は、東近江の大凧を世界中に知らしめました。国内は北海道から九州まで。また、博物館のスタッフは大凧を船や飛行機に乗せてイギリス、フランス、マレーシア、中国、シンガポール、オーストラリアへ運び、そこで披露しました。フランスで100畳の大凧を揚げたとき、それを見たフランス人達は、江戸時代から自然の素材である和紙と竹のみを使った大凧を揚げ続けていることに驚愕していたそうです。

アタマを柔らかくして判じもん解読にトライ!


現代になり、東近江市では、昭和53年(1978年)から成人式に大凧を揚げてお祝いしています。二十歳のお祝いなので、20畳の凧を揚げているそうですが、今年は丑年なので上の写真。なんと読むかおわかりでしょうか?

「うしなうな希望」です。


左の凧は、戌年のときにワールドカップをかけてかけて「夢わんさか」。右の凧は、狛犬が逆立ちしていて「グッドラック」。真ん中は・・・考えてみてください!


こちらは健康の健、辰(タツ)はシンとも読むので「心身(シンシン)健やかに」を意味しています。

まるでアートな海外ダコもチェック


2階には、日本全国の凧や、斎藤道三、織田信長、明智光秀など戦国武将たちの凧、そして海外の凧が展示してあります。


上の写真は韓国の凧。このすっきりとした感じ、オシャレですよね!韓国のものは真ん中に円の穴が開いているのが特徴で、凧の紐の切り合いをするのに操作しやすいそう。


こちらの博物館では、凧に関する15分間のビデオを観て、300円で凧作り体験もできます。(写真©東近江大凧会館)

世界凧博物館・東近江大凧会館
住所:滋賀県東近江市八日市東本町3-5
電話:0748-23-0081
開館時間:9:00~17:00
休館日:毎週水曜、祝日の翌日、第4火曜日
HP: http://www.oodako.net

東近江市の旅なら八日市ロイヤルホテルへ


上記の東近江大凧博物館や別記事でご紹介した「太郎坊宮」観光のための宿なら、「八日市ロイヤルホテル」がおすすめです。名神高速道路の八日市インターからすぐの立地で移動に便利なうえ、昭和62年(1987年)創業のレストランがホテルになったこともあり、食事のおいしさでも知られています。(写真©八日市ロイヤルホテル)


大型チェーンのビジネスホテルに比べて、サービスがアットホーム。部屋も清潔で、浴室が広いのもうれしいポイントです。(写真©八日市ロイヤルホテル)


朝食もかなりの充実ぶりで、地元の「儀平みそ」を使った味噌汁が美味でした!


ホテルの隣には、地元で人気の焼肉店「万葉」があり、コースで近江牛の焼肉を楽しめます。


近江牛のカルビ、クセになりそうです! 締めのテールそばも絶品でした。

八日市ロイヤルホテル
住所:滋賀県東近江市妙法寺町690
電話:0748-24-0111
HP:https://www.y-royal.co.jp/

焼肉 万葉 八日市店
住所:滋賀県東近江市妙法寺町694-6
電話:0748-20-3575
営業時間:11:30~14:30、17:00~22:30(現地で要確認のこと)
定休日:火曜
HP:https://b-manyo.jp/store02

お土産なら秀吉が愛した「政所茶」


政所茶(まんどころちゃ)

現在、世の中に出回っているお茶の約9割は品種改良されたお茶ですが、政所茶は室町時代から続く在来種の茶樹からできる手摘みの茶葉。製茶の最終工程で、お茶を乾燥させるために火入れをする際、100度以上にした後に出てくる香ばしい香りを「火香(ひか)」といいますが、その香りがします。


鈴鹿山系渓谷にある政所の山沿いの傾斜でできるので、この名がつけられています。滋賀県は、平安時代、最澄が唐から茶樹を持ち帰ったことにより、日本で最初に緑茶の文化が伝わった場所といわれています。八日市駅そばにある老舗のお茶屋、銘茶ますきちでどうぞ。


こちらでは、お茶と甘味のセットや、抹茶ソフトクリームなども用意していて、ちょっとした休憩どころとしても便利です。

銘茶ますきち本店
住所:滋賀県東近江市八日市浜野町2-19
電話:0748-22-0597
営業時間:9:00~19:00
定休日:火曜
HP:http://www.masukichi.com/

▼「戦国ワンダーランド滋賀・びわ湖」公式サイト
https://sengoku.biwako-visitors.jp/

[All Photo by SACHIKO SUZUKI]

鈴木幸子

sachikosuzuki 旅行記者、エディトリアル・ディレクター
出版社勤務や地球の歩き方編集を経て2001年に独立。世界60か国以上を頻繁に取材し、一期一会のハッピーな記事を書いています。JTBるるぶ「アンコールワットとカンボジア」初版制作。著書『もち歩きイラスト会話集タイ/池田書店』、『みやざきの自然災害』ほか。有限会社らきカンパニー主宰。「らき」はギリシャ・クレタ島の地酒の名前です。


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