満足度が高いクレジットカードは?
そもそも「JCSI日本版顧客満足度指数」とは、公益財団法人日本生産性本部サービス産業生産性協議会が毎年発表している各分野の顧客満足度調査です。
クレジットカードの分野では、アメリカン・エキスプレス・カード、イオンカード、ANAカード、JCBカード、JALカード、セゾンカード、セディナカード(OMC)、dカード、DCカード、NICOSカード、Viewカード、ファミマTカード、三井住友カード、Yahoo!JAPANカード、楽天カードが、2020年版の評価対象企業です。
上述したクレジットカードを半年以内に2回以上利用したユーザーを対象に、知覚品質(全体的な品質評価)、顧客期待(企業ブランドへの期待)、知覚価値(コスト・パフォーマンス)、推奨意向(クチコミ)、ロイヤルティ(将来への再利用意向)を聞き、顧客満足度を算出しています。
評価者の個人の好みが大きな影響を与えないように、各クレジットカードブランドに対して、300人以上の回答者が集まるような制度設計もされています。言い換えれば、一個人の声が極端に大きくならないように、意見が平均化されるようになっているのですね。
人気のクレジットカード会社のランキングNo.1は?
その満足度調査で、人気のクレジットカード会社はどこになったのでしょうか。
- 第1位・・・楽天カード(76.0)
- 第2位・・・View カード(73.6)
- 第3位・・・アメリカン・エキスプレス・カード(72.6)
- 第4位・・・JALカード(72.2)
- 第5位・・・dカード (70.8)
(※カッコ内は満足度ポイントです)
過去5年、同調査でトップを守り続けている楽天カードが、2020年版の調査でも第1位に輝きました。
楽天カードの評価の詳細を見ると、顧客期待(企業ブランドへの期待)と推奨意向(クチコミ)で第3位、知覚品質(全体的な品質評価)で第2位、知覚価値(コスト・パフォーマンス)とロイヤルティ(将来への再利用意向)で第1位と、幅広い分野で上位の評価を得てます。
旅人目線で言うと、楽天カードの特典としてはラウンジ利用の利便性が挙げられるはずです。一般のカードでも、ハワイのワイキキにあるTギャラリア ハワイ by DFS 2階、アラモアナセンター エヴァウィング 3階のラウンジを、同伴者も含め無料で使えます。ハワイ好きには注目のサービスです。
ゴールドカード以上を持っていると、国内外の空港ラウンジが無料で利用できます。せっかく楽天カードを持ったのであれば、旅の必需品を楽天市場で買い物するなどの使い方も見えてきますよね。
第2位のViewカードはJR東日本グループのクレジットカード、第3位のアメリカン・エキスプレス・カード(アメックス)は世界の旅人に支持されるクレジットカードです。第4位のJALカードはその名の通り、航空会社のクレジットカードです。
いずれも旅人には相性が抜群ですので、大いに参考になりそうなランキングです。
国際ブランドランキングNo.1は?
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ただ、海外旅行に出掛ける際には、クレジットカードの会社がどこというより、国際ブランドのほうが大事かもしれません。例えば筆者は、キャッシュレス決済先進国であるカナダの取材にJCBのカードのみを持ち込んで、ホテルでもカフェでも使えず、大変困った経験があります。
ホテルでは宿泊の前に、かなりの金額のディポジット(預かり金や保証金)を預かりたいと言われ、クレジットカードを差し出すと「使えない」と言われました。現地のカフェでは、周りの人たち(取材仲間)にコーヒーを飲んでもらおうと7杯ほど買って会計すると、カードが使えない、さらにキャッシュも駄目という場面もありました。
海外では(日本でも筆者の場合は同じですが)キャッシュを十分に持っていないケースも多いはずです。その上に、クレジットカード大国、電子マネー先進国では、キャッシュそのものが認められないケースもあるため、そのたびに交渉が始まるわけです。
例えば先のホテルのディポジットは、取材のため現地観光局の予約で泊まるなどの状況を説明して、ディポジットを免除してもらいました。カードもキャッシュも使えなかったトロントのおしゃれカフェでは、海外から来た旅人(筆者)のためにと、最終的には店長が自分のクレジットカードで支払ってくれる(おごってくれる)話になりました。何もお礼せずに帰るわけにはいかなかったので、お礼としてコーヒー代にちょっと色を付けたチップ(現金)をお店に置いて出てきました。
カードが使えないと、その分だけトラブルが増え、トラブルが増えた分だけ旅の思い出も増えるのですが、さすがに毎回の支払いでトラブルが発生すると、普通の人はしんどくなってしまうはずです。そうなると、楽天カードやViewカードにどのような国際ブランドを付けたほうがいいのかという話になります。
カード・モバイル決済業界の専門誌『The Nilson Report』が2019年5月にリリースしたレポートには、2018年に世界で各種支払いにクレジットカード決済が行われた国際ブランドの決済回数ランキングが掲載されています。
- 第1位・・・Visa(1653億回)
- 第2位・・・UnionPay(983億回)
- 第3位・・・Mastercard(902億回)
- 第4位・・・その他150億回(Amex・83億回、JCB・39億回、DinersとDiscover Card・28億回)
第2位のUnionPayは中国系のクレジットカードで、中国銀行が運営するクレジットカードの国際ブランドです。「銀聯」という文字を見たほうが、日本人はなじみ深いかもしれませんね。
世界における国際ブランドの力関係が、推測できるランキング結果です。
楽天カード+Visaが最強?
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ランキングを見ると、日本発の国際ブランドJCBが世界の中で、残念ながら極めて小さい影響力しか持っていない現実を目の当たりにします。
国内では圧倒的な利便性を誇るJCB。アメックス、Discoverなどと提携し、相互の加盟店でお互いのクレジットカードを利用できるようにもしてくれています。ですが、提携した国際ブランドの決済回数を合計しても、VisaとMastercard連合には全く及びません。その数字の差から予測できる、利便性の差もかなり大きいと予想されます。
世界を頻繁に旅する予定の人は、無難に楽天カード+Visa、Viewカード+Visaなどをチョイスしたほうがいいかもしれませんね。
以上、顧客満足の高いクレジットカードランキングを紹介しました。何か新しいクレジットカードをつくりたいと考えている人は、ぜひ参考にしてみてください。
[参考]
※ JCSI 日本版顧客満足度指数 第3回調査 – 公益財団法人日本生産性本部サービス産業生産性協議会
※ Issue 1154 | May 2019 – Nilson Report
※ Global Card Brands in 2019 — Purchase Volume – Nilson Report
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