
自然とアートが織りなす、国内初の野外美術館

1969年にオープンした「彫刻の森美術館」。当時、野外美術館は国内で唯一であり、その草分け的存在として、半世紀にわたり活動を展開しています。
佇むのは箱根登山鉄道「彫刻の森駅」から徒歩2分ほど。最寄りバス停からも徒歩5分と、車がなくても気軽に訪れられるロケーションもうれしい。
気分はRPG!歩き進むごとに作品が出現する喜び

エントランスを抜けてまず驚かされるのは、外観からは想像さえできなかった雄大な山々の背景。
東京ドーム約1.5個分もの広大な庭園に点在するのは近・現代を代表する彫刻家の名作約120点。自然を存分に生かした天井のない美術館は、歩き進むごとに次々と彫刻作品が出現するのも醍醐味のひとつ。もはやRPG的アート鑑賞とでもいいましょうか。

ライナー・クリスター作「大きな手」は、力強く開いた掌が印象的。片や、ドラクエのモンスター“マドハンド”に出くわした気分になるのは多分、筆者だけではないはず・・・。

フランスの彫刻家フランソワ=ザビエとクロード・ラランヌ夫妻の作品「嘆きの天使」は横たわる天使の目からあふれる涙が泉に溜まる様子を表現。哀愁をおびながら、そこはかとなく穏やかな表情に不思議と惹きつけられます。

井上武吉作「マイ スカイ ホール」は屋外空間が最大限に生かされた作品。空を見上げてアートの世界観を体感できるのも野外美術館ならでは。

黒い男性像と赤い女性像が各72体、計144体の群像がお互いに手足をつなぎ連なる、後藤良二作「交叉する空間構造」。見る角度によって豊かに変化するフォルムも楽しみたいところ。

左から流政之作「風の刻印」、伊藤隆道作「16本の回転する曲がった棒」、アルナルド・ポモドーロ作「球体をもった球体」。多彩な彫刻たちが静かな空や山々と美しく馴染み、このシーンそのものがアートな情景に。

20世紀を代表する世界的彫刻家、ヘンリー・ムーアによる「ふたつに分けられた横たわる像」。人体の形を2つに分けることによって、より風景に溶け込むように意識されているのだそう。

まるでピサの斜塔のように堂々と佇むのは、ガブリエル・ロワール作「幸せをよぶシンフォニー彫刻」。高さ18メートル、内径8メートルのこの塔、重厚なルックスからは想像できない世界が内部に広がっているのです・・・!

一歩足を踏み入れればもはや別世界。無数の色と形を持つステンドグラスが全面にはめ込まれ、圧倒的神秘の情景が目に飛び込んできます。
塔の中央にある螺旋階段を登るにつれ、目まぐるしいまでにその色彩が変化。さながら巨大な万華鏡の中に迷いこんだような感覚に。

分厚いガラスを槌で手割した破片で造られたというステンドグラス。外光を受けてエレガントに煌めく姿は心が揺さぶられる美しさです。
自然美と彫刻を望めるミュージアムカフェ

好奇心の赴くままに歩き、登り、感動した後はミュージアムカフェで鑑賞の余韻に浸りましょう。白を基調とした開放感ある空間に配されるのは、20世紀を代表する名作椅子、パントンチェア。デザイン家具ファンにとってたまらない雰囲気に満ちています。

メニューには小田原みかんジュースなど、ご当地を意識したドリンクやスイーツなどが用意されています。神奈川県産のとちおとめと紅ほっぺを使用したアイスクリーム(500円)は、ミルクの濃厚なコクといちごの甘酸っぱさが見事にマリアージュ。窓越しに広がる木々や芝生を眺めなら寛ぐひと時は至福そのものです。
庭園には源泉を利用した温泉足湯も完備され、自然に包まれながら1日をゆったり過ごせるのも魅力。密の心配無用のオープンエアな美術館で、アートさんぽを楽しんでみてはいかがでしょうか。
箱根 彫刻の森美術館
住所:神奈川県足柄下郡箱根町二ノ平1121
電話番号:0460-82-1161
開館時間:9:00~17:00(入館は閉館の30分前まで)
休館日:なし
入館料:大人1600円、大学生・高校生1200円、中学生・小学生800円
URL:
https://www.hakone-oam.or.jp
[All photos by Nao]
Nao ライター
メーカー、ITベンチャー勤務を経てフリーランスに。
学生時代から旅を続け、渡航国は現在50カ国。
特技は陸路国境越え。グルメレポート翌日に大学の最先端研究を取材したり、ロシア州知事にインタビューしたり。幅広い対応力とフットワークの軽さが自慢。日本ソムリエ協会認定資格ワインエキスパート保有。
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