利用者満足度ランキング【12】意外に旅にも関係している!?みんなが支持する宅配便

Posted by: 坂本正敬

掲載日: May 20th, 2021

旅先で何かお土産を買って、その場で配送する。逆に家を離れる期間が長い海外旅行の前に、インターネット注文で必需品を買いそろえる。そうした場面で不可欠なサービスが宅配業者です。旅にも意外に遠くない業界ですが、一体どこの会社の満足度が高いのでしょうか?今回は2020年度JCSI(日本版顧客満足度指数)の第3回調査から、顧客満足度の高い宅配業者を紹介します。

宅配便のイメージ

満足度が高い宅配業者は?

優勝のイメージ

2020年度JCSI(日本版顧客満足度指数)とは、日本で最大級の顧客満足度調査です。30業種、400以上の企業(ブランド)の顧客満足度を取り上げる同調査の中で、今回紹介する業種は宅配便。評価の対象となった企業は、佐川急便、西濃運輸、日本郵便、福山通運、ヤマト運輸です。

これらの企業のサービスを1年以内に2回以上、発送で利用し、かつ利用料金を見聞きした人が評価を下します。個人の好みが偏らないように、各企業に対して、最低でも300人以上の評価が集まるような設計にもなっています。

言い換えれば個人の声が平均化し、より客観的な結果を求める顧客満足度調査です。その最新版で最も評価の高かった宅配業者はどこなのでしょうか?(カッコ内は顧客満足度スコア)

第3位・・・日本郵便(74.6)

日本郵便
(C) ingehogenbijl / Shutterstock.com

上述の調査で第3位は日本郵便でした。もともとは公的な組織でしたが、今は日本郵政グループとして日本郵政、日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の4社体制になっています。東京証券取引市場第一部に上場する民間企業で、最近は楽天グループとの資本業務提携を発表して話題になりました。

2019年の調査までは長らく第2位だったものの、今回は第3位。次に紹介する第2位の企業に猛追され、追い落とされた形です。それでも評価の内訳を見ると、知覚品質(全体的な品質評価)、顧客期待(企業ブランドへの期待)部門で各2位、知覚評価(コスト・パフォーマンス)、推奨意向(口コミ)、ロイヤルティ(将来への再利用意向)で各3位と、バランスよく安定して評価を受けている様子がわかります。

この評価が楽天グループとの連携で、どのように変化していくか楽しみですね。

第2位・・・福山通運(74.7)

長らく第2位の座を守ってきた日本郵便を最新の調査で追い落とした企業が、福山通運です。日本郵便よりも少し知名度が落ちると思いますが、どうでしょうか?

企業の公式ホームページによると、創業は1948年。第二次世界大戦の敗戦から3年後です。本社が広島県福山市にあるように、創業の地は広島県。福山市とは広島県東部の瀬戸内海側、岡山県の笠岡市と県境を共にして隣り合う自治体です。まさにこの広島の福山でスタートした宅配業者が、日本郵便を猛追して第2位に浮上してきたのですね。

とはいえ西日本に暮らす人と比べて、東日本に暮らす人たちからすれば少し馴染みが薄いのでは?福山通運は何が評価されているのでしょうか?

評価の内訳を見ると、知覚評価(コスト・パフォーマンス)、推奨意向(口コミ)の部分に限って、全社の中で第1位に輝いているとわかります。「コスパ」が良く、口コミがいい、その評価によって日本郵便を追い落とすほどの地位に上り詰めたのですね。

福山通運はどれだけ「コスパ」がいいのでしょうか? 例えば福山通運では直接持ち込み、営業所止めでそれぞれ200円、400円の割引プランが個人に用意されています。インターネット上のQ&Aサイトなどでも「福山通運が安い」という声は容易に見つかります。「福山通運=安い」がある種の定説にも一部でなっているみたいですので、大きな荷物を長距離で運んでもらうなど、高いコストが予想される時には、福山通運を試しに頼ってみてもいいかもしれませんね。

第1位・・・ヤマト運輸(77.5)


(C) Ned Snowman / Shutterstock.com

同調査で第1位に輝いた宅配業者が、ヤマト運輸です。JCSIでは5年以上連続で1位に輝く、ディフェンディングチャンピオンですね。

ヤマト運輸といえば、ちょうど先日NHKで放送されていた『プロフェッショナル仕事の流儀』でも、ドライバーが紹介されていました。グリーンの制服、黒ネコのトラックは、日本中のほとんどの地域でおなじみのはず。

評価の詳細については、知覚品質(全体的な品質評価)、顧客期待(企業ブランドへの期待)、ロイヤルティ(将来への再利用意向)で、さすがの第1位を獲得していました。

ちなみに余談といえば余談ですが、「宅急便」と「宅配便」の違いはご存じですか?

例えば「カップヌードル」は商品名なので、他社の類似商品を文章に書く場合は「カップめん、即席ラーメン」が正解になります。同じように「宅急便」はヤマト運輸独自の商品名です。他社の類似のサービスを呼ぶ際には、宅「配」便と書かなければいけません。逆をいえば、

<電話1本で集荷・1個でも家庭へ集荷・翌日配達・運賃は安くて明瞭・荷造りが簡単>(ヤマト運輸のホームページより引用)

な宅配サービスを、国民の多くに「宅急便」と認知させ、一般名詞と勘違いさせるほど、ヤマト運輸のサービス実績が群を抜いているのですね。

ヤマト運輸の宅「急」便の始まりは、1976年(昭和51年)です。そこから2015年(平成27年)には宅急便の取扱個数が15億個を超えています。今では海外にも活動のエリアを広げています。満足度ランキングで第1位の結果には、大いに納得できますね。

以上、宅配便の顧客満足度ランキングを紹介しました。

旅の前に、あるいは旅先で意外にお世話になる宅配便。複数の選択肢があって迷う場合は、以上のランキング結果を参考にしてみてくださいね。

[参考]
日本郵政グループと楽天グループ、資本業務提携を発表 日本郵政が1500億円を出資 – オリコン
福山通運の沿革 – 福山通運
宅急便の歩み – ヤマト運輸
JCSI 日本版顧客満足度指数第3回調査 詳細資料 – 日本生産性本部 サービス産業生産性協議会事務局

[Photos by Shutterstock.com]

PROFILE

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

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