シュヴェリーン城
ドイツの城といえば、ノイシュヴァンシュタイン城があまりにも有名ですが、北ドイツを代表する名城が、シュヴェリーン城です。
「北のフィレンツェ」「7つの湖の町」の異名をとる北ドイツ・メクレンブルク=フォアポンメルン州の古都、シュヴェリーン。シュヴェリーン湖に浮かぶ島の上に建つシュヴェリーン城は、その美しさから「湖上の宝石」とも呼ばれています。
フランスのシャンボール城を模したという複雑かつ優美なシルエットは、ドイツに数ある城の中でも異色の存在。正面から、横から、後ろから・・・さまざまな角度から、その美しさをじっくり堪能しましょう。
(C) Haruna
外観のみならず、象嵌細工や彫刻、化粧漆喰などで装飾された653もの部屋にも注目。一部の部屋は博物館として公開されていて、イタリア製大理石の柱やブロンズ製シャンデリアに彩られた「玉座の間」をはじめ、絢爛豪華な空間が非日常へといざなってくれます。
中も外も華麗なるシュヴェリーン城は、まさに水と緑に抱かれた宝石。
所在地:Lennéstr. 1, 19053 Schwerin
https://www.mv-schloesser.de/de/location/schloss-schwerin/
ヘレンハウゼン王宮庭園
北ドイツのハノーファー郊外にあるヘレンハウゼン王宮庭園は、ヨーロッパで最も美しいといわれる庭園のひとつ。
ハノーファー選帝侯妃のゾフィーによって17~18世紀にかけて造られた初期バロック様式の庭園で、ゾフィーの造園への情熱は、完成から300年たった今もなお受け継がれています。
「グローサー・ガルテン」「ゲオルゲン・ガルテン」「ヴェルフェン・ガルテン」「ベルク・ガルテン」の4つの庭園からなるヘレンハウゼン王宮庭園でも特に圧巻なのが、「大庭園」の意味をもつグローサー・ガルテン。
(C) DZT / Francesco Carovillano
花や木が幾何学模様に配置された広大な庭園は、どこか別世界を感じさせる光景。自然のアートに魅せられたら最後、その独特の曲線をいつまでも眺めていたくなってしまうはずです。
ヘレンハウゼン王宮庭園の敷地内にある庭園劇場では、ハノーファーゆかりの音楽家ヘンデルが作曲した「水上の音楽」の演奏会も開かれます。
所在地:Herrenhäuser Straße 4, 30419 Hannover
https://www.hannover.de/Herrenhausen/
リューネブルガーハイデ
北ドイツには、夏の終わりになると、エリカの花が咲き乱れる「エリカ街道」があります。そのハイライトともいえるのが、リューネブルク近郊の荒野「リューネブルガーハイデ」。
8月から9月末にかけて一面にエリカの花が咲き誇り、赤紫色のじゅうたんと化すその姿は、なんともロマンチック。
リューネブルガーハイデには車の乗り入れはできないため、馬車に乗ってゆっくりと自然を愛でる時間は最高の心の洗濯です。
リューネブルガーハイデへの起点となるリューネブルクも見逃せない町。かつて塩の産地として富を築いただけに、レンガ造りの豪華な家々や教会が並ぶ旧市街は絵のような美しさです。
ラコツ橋
ラコツ橋は、知る人ぞ知るドイツの幻想風景。ポーランドとの国境に近いザクセン州クロムラウの公園「ロードデンドロンパーク」内にあり、オンライン版ナショナルジオグラフィックで「世界で最も素晴らしい橋12選」にも選ばれています。
水面に映ると、完璧なまでの円形を描くラコツ橋。橋の下をボートでくぐったら、どこか別の世界にワープしてしまいそうな気がしませんか。
この特異な姿から、ラコツ橋は「悪魔がつくった」ともいわれています。
地上の景色と水鏡が一体となった摩訶不思議な光景は、一度見ると忘れられなくなるほど。四季折々の魅惑の風景は、悪魔のいたずらなのかもしれません。
所在地:Rhododendron Park,02953 Kromlau
https://kromlau-online.de/
シュプレーヴァルト
シュプレーヴァルトは、ベルリンからわずか1時間ほどのところにある癒やしの水郷。
300ものシュプレー川の支流が織り成す水と緑の楽園で、19世紀後半に鉄道が開通するまで、この地域の交通手段はもっぱら船でした。カワウソやビーバーなどの希少な動物が生息していることから、生物圏保護区に指定されています。
スラブ系少数民族のソルブ人が暮らすことでも知られ、民族衣装やメルヘンチックな木造家屋など、独自の文化にふれることができます。
森に張り巡らされた水路を「カーン」と呼ばれる小船でめぐるのが、シュプレーヴァルト観光の醍醐味。静かな森に流れるやさしい時間に身を任せてみませんか。
エルツ城
モーゼル渓谷の奥深くにたたずむエルツ城は、ドイツきっての不落の名城。建造以来一度も陥落したことのない正真正銘の中世の城で、850年以上にわたって同じ家系に所有されていることでも有名です。
「ドイツ三大美城」のひとつにも数えられるエルツ城。それもそのはず。深い森に守られるようにたたずむその姿は「孤高」という表現がぴったりの凛とした美しさです。
橋を渡って城門をくぐる瞬間は、RPGの世界さながら。12世紀に建てられ、その後500年をかけて増築された城だけに、エルツ城にはロマネスクからバロック初期まで、さまざまな年代の建築様式が混在しています。
日本での知名度はノイシュヴァンシュタイン城におよびませんが、エルツ城は旧西ドイツの500マルク紙幣にも描かれていたほど、ドイツ人のあいだでは人気の高い城。いくつもの塔が身を寄せ合うように重なるその姿は、物語の世界から飛び出してきたかのようです。
ロマンチックライン(ライン渓谷中流上部)
「ロマンチックライン」と称されるライン渓谷中流上部は、ドイツでも指折りの観光スポット。父なるライン川に沿って古城が点在する風景は壮観で、ビンゲン・リューデスハイムとコブレンツ間の65kmは世界遺産に登録されています。
ロマンチックラインを訪れるなら、外せないのがライン川クルーズ。特にリューデスハイム~ザンクト・ゴアール間は、見ごたえのある古城が集中する人気の区間です。
盗賊騎士の巣窟になっていたライヒェンシュタイン城や、古城ホステルとして有名なシュターレック城、白とオレンジの船のような外観が目を引くプファルツ城など、ストーリーに満ちた個性豊かな城が続々と登場。自然と人工物が見事に調和した景観に、シャッターが止まりません。
古城やブドウ畑、歴史的な街並みが連なる世界遺産の風景を目の当たりにすれば、自然と歴史を大切にするドイツの神髄にふれられるというもの。
ライン川クルーズを楽しんだ後は、古城ホテルに泊まってさらなる非日常に浸ってはいかがでしょうか。
ブラウトプフ
南ドイツの小さな町ブラウボイレンにあるブラウトプフは、今ひそかに注目を浴びているドイツの絶景スポット。
ドイツで2番目に大きなカルスト泉で、水中に含まれる石灰の微粒子が光を散乱することで、目を見張るようなブルーやエメラルドグリーンに染まって見えるのです。
ブラウトプフは日本語に直訳すると、その名も「青い鍋」。エメラルドブルーの水鏡に水車小屋や修道院が映し出される様子は、魔法にかけられたかのように神秘的。
ブラウトプフには「聖霊が閉じ込められていた」という伝説があり、吸い込まれそうなブルーを目にすれば、それもうなずけるというもの。天候や時間帯によって移り変わる色彩美をご堪能あれ。
所在地:89143 Blaubeuren
リヒテンシュタイン城
憧れの騎士物語から飛び出してきたかのような城が、南西ドイツの森の中に建つリヒテンシュタイン城。その名前からリヒテンシュタイン公国にあると勘違いされることも多いですが、まぎれもなくドイツのお城です。
深い森の断崖にそびえる白亜のリヒテンシュタイン城は、この世のものとは思えないほどドラマティック。その現実離れした美しさから、「妖精の城」とも称されるほどです。
リヒテンシュタイン城は、19世紀に書かれた騎士物語「リヒテンシュタイン」にインスピレーションを受けて誕生した城。城の起源は中世の砦にさかのぼりますが、この地を相続したのが、騎士物語「リヒテンシュタイン」のファンだったヴュルテンベルク伯爵ヴィルヘルム。騎士物語の世界に憧れた彼が、中世の城を再現してつくったのが現在のリヒテンシュタイン城なのです。
リヒテンシュタイン城から車で約40分のところには、「天空の城」として有名なホーエンツォレルン城が。南西ドイツを旅したら、2つの美城をハシゴするのもいいですね。
所在地:Schloss Lichtenstein 1, 72805 Lichtenstein
https://www.schloss-lichtenstein.de/de/
ケーニヒス湖
ドイツ・アルプスの山々に囲まれたバイエルン州の景勝地、ベルヒテスガーデン。その郊外に広がるのがケーニヒス湖です。
切り立った岩壁に囲まれたケーニヒス湖は、「ドイツで最も美しい湖」ともいわれる絶景の地。透明度の高いエメラルドグリーンの湖面にアルプスの山々が映り込む様子は、息を呑むほどに神々しい光景です。
なかでもケーニヒス湖の風景を特別なものにしているのが、玉ねぎ頭の赤い屋根をもつ聖バルトロメー僧院。季節に応じて移り変わる自然と僧院のコントラストが、唯一無二の風景を生み出しています。
ケーニヒス湖にやってきたら、遊覧船に乗って澄みきった湖をじっくりと味わいましょう。遊覧船ではトランペット演奏の演出も。静まり返った湖の上で、岩壁にこだまし広がっていく澄んだ音色は、心にじんわりと染み入る美しさです。
所在地:83471 Schönau am Königssee
ドイツには、日本ではまだまだ知られていない絶景が数多く眠っています。ドイツへの扉が開いたら、一生モノの風景をさがしに出かけませんか。
[Photos by Shutterstock.com]