『鬼滅の刃』無限列車編までの物語

週刊少年ジャンプにて2016年に連載が始まり、2019年にアニメ化、2020年に映画化された吾峠呼世晴先生の漫画『鬼滅の刃』（2016年〜2020年連載）。

大正時代の日本を舞台に、家族を鬼に殺された主人公の少年「竈門炭治郎（かまどたんじろう）」が、鬼にされた妹の「禰豆子（ねずこ）」を人間に戻すため、鬼を殺す政府非公認組織「鬼殺隊（きさつたい）」に入隊し鬼を退治するという物語。

アニメ第1期では、炭治郎の修行から始まり、鬼の大将「鬼舞辻無惨（きぶつじむざん）」との遭遇、物語の鍵を握る、鬼でありながら医師である「珠世（たまよ）」と「愈史郎（ゆしろう）」との出会いと、伏線を張り巡らせています。同期隊士の「我妻善逸（あがつまぜんいつ）」「嘴平伊之助（はしびらいのすけ）」と行動を共にし、後半は、鬼殺隊最強の剣士“柱”や同期隊士の「栗花落カナヲ（つゆりかなを）」も登場し、目の離せないドラマが展開しました。

そして、鬼殺隊の柱・炎柱の「煉獄杏寿郎（れんごくきょうじゅろう）」に注目が集まった劇場版『無限列車編』。炭治郎たちは煉獄を追い“無限列車”へ乗車し、十二鬼月のうち下弦の壱「魘夢（えんむ）」と戦い、その後、煉獄は上弦の参「猗窩座（あかざ）」と戦うという、息をつく暇もない本編。

煉獄さんの熱き思い、受け継がれる炎の心など、涙なしでは見られない劇場版。作品を愛するファンが、煉獄さんへの思いをもって、日本各地にある“無限列車”のフォトスポットを訪れています。

フォトスポット

狩勝高原園地内、農家cafe 峠のテラス（北海道）

北海道の真ん中、狩勝高原園地の中にある「無限」のプレートを掲げた機関車。園地内にて、乗馬や養鶏などを営むカフェのご夫妻の遊び心から生まれたそう。屋外にあり、夜は、闇夜の山を走る無限列車をイメージさせます。プレートの貸し出しはカフェ営業中のみで、鬼滅愛にあふれたスポット！園地内には、バッテリー電車の運転を体験できる「エコトロッコ鉄道」や、NHK朝ドラ『なつぞら』のセットも整備されているそうです。

第二公園（山形県）

 

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大正12年（1923年）製造、作品に登場する車両と同じ型式の蒸気機関車（SL）、通称「ハチロク」。昭和44年（1969年）、当時の日本国有鉄道（現JR）より無償貸与され、JR山形駅近くの「第二公園」に保存されています。公園には元々藤棚もあり、奇跡が重なって作品の世界観を投影しています。作中で“鬼が嫌う花”とされる藤の花。藤棚に藤色のLED照明を飾り、炭治郎たちの最終選抜の地「藤襲山」を想像させます。SLもライトアップされるので、まさに「夢の中へ」・・・。

史跡公園　五條代官所長屋門（民族資料館）（奈良県）

明治維新の先駆けと云われ、決起から終焉までの資料などが展示されている民族資料館の前に、無限列車に似た蒸気機関車（SL）が展示されています。大正時代の製造で、機関車の頭頂部で蒸気をためる2つのこぶ、大きめの動輪など、細部までじっくり観察したくなるほどよく似ています。かつて金剛山麓を走ったそうで、大正から明治の時代背景もあわせて、作品世界と合わせ、歴史ロマンに浸れそうです。

京都鉄道博物館（京都府）

 

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京都駅から20分ほどと徒歩圏内の博物館は、雨の日でも学んで楽しめる“無限列車”スポットです。さまざまな型の列車が保管され、列車好きにはたまらないはず！しかも、館内には、客を乗せて往復1kmの線路を走る「SLスチーム号」が運行。時には無限列車と同じ蒸気機関車も登場し、汽笛とともに煙を噴きながら走るそう。動いている列車を見て、乗車して、京都観光ルートに加えたくなる体験ができます。

SL人吉（熊本）

写真提供：熊本県観光連盟

JR肥薩線の開業100周年記念で2009年に復活した、鹿児島本線の熊本～人吉間を運行する蒸気機関車「SL人吉」。2020年7月の豪雨により肥薩線が不通となり、現在は熊本〜鳥栖間に。2020年11月〜12月にはアニメとコラボし、ナンバープレートを「無限」とした特別仕様の「SL鬼滅の刃」として運行、鬼滅ファンだけでなく熊本も元気づけてくれました。煉獄さんのごとく、力強く走るSL人吉を見てみましょう！

SLぐんま（群馬）

煉獄さんと炭治郎！
車掌と機関助士の任務を本日も遂行中！https://t.co/3g5Co3fsbe#鬼滅の刃SLぐんま#鬼滅の刃SLぐんまフォトコン pic.twitter.com/CUVg9zZxrr

— 【公式】鬼滅の刃×SLぐんま～無限列車大作戦～ (@slgunma_kimetsu) December 9, 2020

高崎〜水上の上越線を走る「SLぐんま みなかみ」、高崎〜横川の信越本線を走る「SLぐんま よこかわ」は、ともに本線を走る貴重な「動態保存機」。2020年10月〜12月に劇場版とコラボし、炭治郎たちが車掌さんの姿になったイベントを開催。大人も子供も魅了して、その後もファンが訪れています。旧型客車の内装を、製造当時をイメージした木目調の雰囲気にリニューアルし、タイムスリップしたような感覚に。レトロな車窓から、群馬の景色を眺めながら歴史を感じて、壮大なSLの旅が叶います！

10月10日からアニメ第2期「無限列車編」

今回は“無限列車”を挙げましたが、今後も“聖地”として巡られる場所も増えることでしょう。

そして10月、煉獄さんが鬼殺隊本部から無限列車へと向かうエピソードの「無限列車編」から始まる第2期。完全新作エピソードということで楽しみですね。そして12月から放送される「遊郭編」では、いよいよ、音柱・宇髄天元（うずいてんげん）がド派手に登場！

鬼も元は人間。その悲しい背景にも注目しつつ、登場人物たちの心身の成長、台詞や場面、アニメーション映像と音楽、声優の表現力にも注目して、今後の展開をハラハラドキドキ見守りましょう！

＊禰豆子の「禰」は「ネ+爾」、煉獄杏寿郎の「煉」は「火+東」が正式表記

kurisencho

kurisencho ライター

熊本県天草の凪いだ海と潮の香りの中で育ちました。東京に住むことで、新しいもの、昔からあるものの良さを再発見し、今まで見てきた世界が広がりました。デジタル化の中で生きるアナログの力を確信し、儚いけど美しい、人と風景の一瞬をとらえたいと思い写真を撮っています。