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「観光局」ってそもそも何?
世界各国の観光局が運営する公式SNSのフォロワー数のランキングを今回は紹介しますが、そもそも観光局とは何なのでしょうか?
一般的な旅行者からすると、それほどなじみ深い存在ではないと思います。端的に言えば、海外から旅行者を誘致する政府機関です。主要な市場に海外事務所などを設置しているので、日本にも世界各国の観光局の事務所が置かれています。
TABIZINEの過去の記事では、オーストラリアや香港、南アフリカなど海外の観光局が日本に置く事務所で勤務する日本人スタッフを取材し、各国の魅力を教えてもらいました。
各国の旅行者(あるいは潜在的な旅行者)とコミュニケーションを図るために、これらの観光局は各種の公式SNSを運用しています。そのフォロワー数を見れば旅先として、どの程度各国が興味を持たれているか、なんとなく見えてきますよね。
英語版No.1は南半球のあの国
各国観光局が運営する公式Instagram(英語版)ランキングから見ていきます。執筆時点の数字をカッコ内は記載しています。
- 1位・・・Tourism Australia(5,070,730)
- 2位・・・Destination Canada(1,822,364)
- 3位・・・Tourism New Zealand(1,127,534)
オーストラリア、カナダ、ニュージーランドの順番ですね。ちなみに日本政府観光局のアカウント(英語版)のフォロワー数は53万2,032。1位のオーストラリアは日本の10倍のフォロワー数を誇るとわかります。
とはいえUNWTO(国連世界観光機関)の情報を見ても、外国人旅行者受け入れ数ランキングのトップ3にオーストラリア、カナダ、ニュージーランドが入っていません。
1位はフランス、2位はスペイン、3位はアメリカ、4位は中国、5位はイタリアです。カナダ、ニュージーランドに関しては日本よりも外国人旅行者の受け入れ数が少ないです。
どうしてオーストラリアやカナダ、ニュージーランド政府観光局のアカウントが、これほどまでにフォローされるのでしょうか?
あくまでも仮説ですが、英語を母国語とする国の政府観光局がアカウントを運営している点がまず理由としてあるはずです。
日本政府観光局の運営する公式Instagram(visitjapanjp)は英語版のみの展開で、日本人のフォローの上積みがそれほど期待できないはずです。
しかし、オーストラリアにしてもカナダにしてもニュージーランドにしても、自国の観光局が海外に向けて発信する公式Instagram(英語版)を自国の人たちがフォローするケースも考えられます。その上積み分が期待できるだけ有利かもしれませんね。
オーストラリア政府観光局によれば、動物たちの登場する画像や動画が最もコンテンツとして人気があるといいます。
一般的に政府観光局のインスタグラムは美しい景色の写真が中心となっています。かわいい動物の画像や動画については、観光とは異なる関心を持った人たちに届いて、オーストラリア政府観光局のアカウントをフォローする動機にもなるはずです。
そもそもの話としてオーストラリアは観光地として外国人にも人気です。外国人旅行者の受け入れ数ランキングは日本より1つ順位が上の世界11位。オーストラリアへの関心を持つ人の多さが土台としてあるので、圧倒的なフォロワー数を達成できたのかもしれませんね。
日本語版No.1は南国のあの地域
日本に事務所を構える各国の政府観光局は日本語版アカウントも保有しているケースがほとんどです。先ほどは英語版Instagramでしたが、日本語版Instagramのフォロワー数で言えば、どこの国(地域)の観光局が一番多いのでしょうか。
もちろん観光局の日本事務所は閉鎖されるケースもいくつか見られます。日本語版Instagramを運営していない国・地域もあります。日本語版Twitterがあっても日本語版Instagramを運営していない国・地域もあります。
これらの諸条件を踏まえた上で、日本語版Instagramを運営する観光局を片っ端から調べ、ランキング化してみました。執筆時点の数字をカッコ内は記載しています。
- 1位・・・ハワイ州観光局(150,090)
- 2位・・・タイ国政府観光庁(36,360)
- 3位・・・フィンランド政府観光局(32,841)
さすがにハワイは人気ですね。エクスペディア旅行先検索ランキングで日本人が年末に最も検索する旅行先もオアフ島のようです。エクスペディアの同ランキングでは第3位にバンコク(タイ)も入っています。
ハワイにせよタイにせよ、マッサージ・スパ・エステといったリラックスしたムードや癒やし、ウェルビーイングが「インスタ映え」の雰囲気とマッチする印象もあります。リラックスムードや癒やし、ウェルビーイングのイメージで言えば、サウナの本場であるフィンランドも共通するのではないでしょうか。
しかし、このランキングは、日本語版Instagramのフォロワー数にあくまでも絞り込んでいます。Twitterも入れてSNSのフォロワー数だけで勝負すると、別の国の政府観光局アカウントがにわかに現れます。ドイツ観光局です。15万755のフォロワー数を誇っています。
どうしてこれほどフォロワー数が多いのでしょうか? フォロワー数の変動を時系列で確認していないので仮説にすぎませんが、Amazonギフト券10万円分を抽選で贈るキャンペーンなども一因かもしれません。
もし白雪姫の城でクリスマスを祝うシーンがあれば、雪が降る中、ツリーの光の下、温かな晩餐となるでしょう。
クリスマスの国ドイツから、抽選で1名様にAmazonギフト券10万円分を贈呈!
■応募方法
①ドイツ観光局をフォロー
②本投稿をRT(12/3〆切)
詳細: https://t.co/FoBxPaAVMA#YoursTrulyGermany pic.twitter.com/Qn7dIu0yxY— ドイツ観光局 (@GermanyTravelJP) November 4, 2021
4,000件以上のリツイートがこの投稿には記録されています。このキャンペーンで4,000人のフォロワーが単純に増えた可能性もあります。
アカウントの活動をざっと眺めると、ドイツに関する投稿があれば丁寧にリツイートするなど、ほかのユーザーとの積極的なコミュニケーションの痕跡が見られます。
さらに外国人旅行者の集客力で世界9位という実力が背景にもあります。(コロナ前は)年間60万人近く日本人もドイツに訪れていました。
こうしたいくつもの要素が絡み合ってフォロワー数に影響を与えているのかもしれません。あくまでも推測ですが。
その意味で冒頭の話に戻れば、英語版Instagramで人気のオーストラリアやカナダ、ニュージーランド、日本語版で人気のハワイやタイ、フィンランド、ドイツなどを次の旅先に選んでみてはいかがですか?
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[参考]
※ 愛らしい動物動画に癒される人が世界的に急増中!観光立国オーストラリアが最もフォローされる国に – 東奥日報社
※ <エクスペディア旅行先検索ランキング>日本人が年末年始旅行に「海外」を夢見ていることが明らかに。日本人は「ハワイ」アジアは「東京」が海外検索先人気No.1! – PR TIMES