【実はこれが日本一】長さ460mのベンチが日本海のドライブコースにあった

Posted by: 坂本正敬

掲載日: Jan 25th, 2022

さまざまな日本一を取り上げるTABIZINEの連載。今回は、旅先で必ずお世話になるあの道具(家具?)の日本一を紹介します。

石川県にある最長のベンチ1

 

ピラミッドの一辺より2倍も長いベンチ

旅先で、ちょっと休みたいと思ったらどうしますか? カフェに入る手もありますが、もっとも手軽な休憩スポットはベンチですよね。

公園やまち角にあるベンチに腰掛け、まちゆく人を眺めたり、太陽をほおに感じたり、目の前の景色を心行くまで堪能したり、場合によっては潮風を感じたり。ベンチで過ごす時間は、旅先の大切な思い出になってくれるかもしれません。

ただ、一般的にベンチと言ったら、何人も同時に座れません。2人掛けや3人掛けが普通ではないでしょうか。

パブリックスペースなどには、建築の一部に溶け込む形でもっと長いベンチ(あるいはベンチのような腰掛けるスペース)が置かれていることがありますが、25mプールくらい長さがあるベンチなどほとんど見掛けませんし、運動会の100m走のコースくらい長いベンチとなると、少なくとも筆者の近所には存在しません。

しかし現実には、460.9mの長さを誇るベンチが日本に存在します。460mと言えば、エジプトのピラミッドの一辺(基礎部分)と比べると倍の長さです。すさまじいですよね。

そのベンチは海に面していて、天候が荒れなければ美しい海岸線を一望できます。日本海に面した石川県の能登半島の一角・志賀町にあるサンセットヒルイン増穂の「世界一長いベンチ」です。

日本一の「世界一長いベンチ」

スイスにある本当に世界一長いベンチ image by Kecko from flickr

「世界一長いベンチ」とはベンチの名前です。現実問題として世界一長いかと言えば違います。しかし、1987年(昭和62年)につくられたころは実際に世界一長いベンチでした。1989年(平成元年)にはギネス世界記録にも登録されています。

残念ながら、その後に記録を抜かれ、現在はスイスにあるベンチが世界記録を保有しています。その長さは1,013.32m。2012年(平成24年)8月18日に認定されてから10年近く首位をキープしている形になります。理論上は3,000人が同時に座れる長さなのだとか。

しかし志賀町の「世界一長いベンチ」もなかなかのサイズです。一時期、お隣の富山県で650m超のベンチが仮設で設けられたものの、常設のベンチとしてはいまだに日本一を誇ります。

830人のボランティアの手でつくられ、オープニングイベントでは1,346人が座ったとの情報もあります。話題づくりのために製作され放置されるベンチでもなく、地元の新聞記事によれば整備も続けられているようです。

2009年(平成21年)9月19日には「富来の世界一長いベンチ 460.9メートルきれいに 整備終了」という記事が、2014年(平成26年)5月23日には「志賀の『世界一長いベンチ』お色直し」との記事が、北國新聞と北陸中日新聞で掲載されています。海辺にある木製ベンチを守るため、定期的に修繕されているのですね。

ドライブコースとしても日本屈指の見ごたえがある

石川県能登金剛の巌門
能登金剛の巌門

北陸に暮らす筆者も、もちろん何度かこのベンチに座っています。

ベンチの上からは増穂浦海岸を一望できます。青松の濃い緑と白砂・海と空の青のコントラストが晴れた日はまぶしく、富来漁港を抱える子が岬や高岩岬周辺の海岸線の変化も見ていて楽しいです。

夕日の名所でもあり、能登金剛という海崖(かいがい)が海岸線に続き、現存する木造洋式灯台として日本最古の旧福浦灯台も近くにあります。ドライブコースとしても日本屈指の見ごたえがあるエリアです。

北陸観光では必見のエリアですので、新型コロナウイルス感染症が落ち着き、石川県を観光する機会があれば、金沢などからレンタカーを借りて能登半島を目指し「世界一長いベンチ」をゴールにドライブを楽しんでもいいかもしれませんね。

 

[参考]

Longest bench – Guinness World Records

世界一長いベンチ – しかまち観光ガイド

世界一長いベンチ(サンセットヒルイン増穂) – ニッポン旅マガジン

世界一長いベンチ – ほっと石川旅ねっと

[All photos by Shutterstock.com]

PROFILE

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

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