日本全国に広がる「自転車シェアリング」
2022年現在、電動アシスト付き自転車のシェアリングサービスは、さまざまな企業が参入しています。
筆者が利用した「NTTドコモのシェアリングサービス」は、東京、横浜、川崎、大阪、札幌、仙台、広島などの都市部に加えて、日本各地での観光地を中心に展開。世代や性別を問わず、通勤、通学、仕事、レジャー、買い物、デリバリーなどに利用されています。
都会では電車やバスよりも「便利&安い」!?
NTTドコモの自転車シェアリングは、スマホのアプリで会員登録、もしくはサイクルポートにある自転車にICカードをタッチすれば、誰でも手軽に利用可能。
東京都の場合、ステーションは都心の各地に点在しています。利用料金は30分で165円(税込)で、24時間利用できるステーションも多数。なお、料金や営業時間は地域や区間により異なるので、事前にチェックしておきましょう。
自転車は坂道も楽々な「電動アシスト付き」「3段変速」
NTTドコモの自転車は、レッドにペイントされた電動アシスト付きタイプ。また3段変速の変速機も導入されていて、漕ぎ始めの発進時はもちろん、坂道も立ち漕ぎすることなく、楽に走行できるのもうれしいポイントです。
前後のホイール径は大き過ぎず、小さ過ぎない20インチを採用。車道では安定して走行できるとともに、狭い路地などでもストップ&ゴーが繰り返せ、小回りが利きやすいのも特徴。フロントには大型のバッグもスッポリ収納できる、便利な大型のカゴも装着されています。
タイヤは側道も安定して走行でき、狭い街中でも小回りの効く20インチ径を採用。
電動アシスト用の専用バッテリー。各車両は定期的にトラックが回収し各所を点検。メンテナンスやフル充電の後、各ステーションに配車されます。
フロントには旅行者にも便利な大型バスケットを装備。ノートパソコン(約2.5kg)や2Lのペットボトル1本などを収納した大型カバンを積みましたが、ハンドル操作に影響はありませんでした。
ハンドルは直線的なレイアウトのタイプ。警告用のベルも右ハンドル側に装備されています。
ギアは3段変速式。右グリップ側を回してシフト変更する仕組み
電動アシストは3モードから選択OK
今回試してみた自転車は、電動アシストモードを「ECOモード」「登り坂モード」「急坂モード」に切り替えできます。走行シーンに合わせ、▲▼のボタンで変更可能です。
数分ごとに遭遇する人気ぶり!「乗り味」は?
坂が少ないコースを走ったので、ECOモードをメインに。乗ってみた感想は、電動アシストのない自転車に比べてとにかくラク! 不通の自転車にありがちな、漕ぎ始めのペダルの重さがまったくありません。スタート時に背中を「ポンッ」と押される感じ。
都内では多くの人が、NTTドコモの自転車シェアリングを利用していますよね。今回のサイクリング中でも、数分に1台ほどの割合で遭遇しました。通勤や通学、ビジネス、買い物、近隣への移動など、多方面に渡り活躍している模様です。
写真は「ECOモード」。フル充電で51km走行可能です。ほかに、フル充電で37km走行可能な「登り坂モード」と、フル充電で30km走行可能な「急坂モード」があります。
「利用方法」を確認しましょう!
ステップ1:スタート&ゴール場所を探す
スマホに近隣ステーションを表示したところ。〇で囲まれた数字は、現況、ステーションにある台数。
今回は築地市場駅近辺よりスタートします。
希望のステーションをタップすると、各ステーションの詳細が表示されます。
ステップ2:希望の車両を予約
ステーションにある各車両の充電状況がリアルタイムで表示。今回はフル充電された、この日まだ誰も使っていない模様の「TYO30166」というタイプをセレクト。「予約する」をタップすれば、予約完了です。
ステップ3:予約完了
会員登録時、指定入力したアドレス宛に「貸出手続完了」のメールが送られてきます。
ステップ4:パスコードで後輪ロックを解錠
メールで送られてきた4桁のパスコード(今回は5617)を入力し、STARTボタンを押すと、後輪のロックが解錠されます。
解除された後輪のロック。車両から離れる場合は、後輪のロックを施錠。再び乗車する場合は、4桁のパスコード(今回は5617)を入力し、STARTボタンを押せば後輪のロックは解錠されます。
後輪のロックを施錠するごとに、会員登録したスマホに「正常確認通知」が届きます。
東京の観光スポットをサイクリング旅!
【午前10時】築地市場前をスタート。築地場外市場へ
2019年までは連日、外国人旅行者で賑わっていた築地場外市場。コロナ禍以降、観光客が大幅に減少していましたが、取材当日の2022年5月は、多くの日本人観光客が訪れていました。
築地場外市場の表通り。
こちらは築地場外市場の裏通り。
築地場外市場
【午前10時10分】これがお寺なの?洋風の「築地本願寺」
築地本願寺(つきじほんがんじ)は、築地場外市場のすぐそば(徒歩数分)にある、浄土真宗本願寺派の寺院。お寺ながら、古代インド様式をモチーフとした外観が特徴。東京を代表する観光スポットの1つです。
築地本願寺
【午前10時20分】タワーマンションが並ぶ「勝どき橋」
築地から晴海通りを南下して湾岸方面に進むと、超高層のタワーマンション群が見えてきます。「摩天楼!」という都会的で洗練された雰囲気。
写真の「勝どき橋」は、隅田川に架かる、レトロでオシャレな橋。日本で現存する数少ない可動橋(大きな船を通過させる時、橋が中央から上下に開閉)の1つです。
勝どき橋は自転車も走行可能。
勝どき橋
【午前10時30分】日本伝統の「歌舞伎座」
都会的な湾岸エリアから、再び晴海通りを築地方面へ。築地場外市場エリアを通過すると、間もなく「歌舞伎座」に到着。歌舞伎座は1889年(明治22年)に開場した、歌舞伎専門の劇場。これまで火災・戦災・老朽化で4度建て直し。現在の建物は2014年に完成した5代目のものです。
勝どき橋~築地場外市場~歌舞伎座につながる晴海通りは、自転車も通行可能です。
歌舞伎座
【午前10時40分】高級ブランド店が並ぶ「銀座」
歌舞伎座を出発し、晴海通りを北西方向(有楽町方面)に進むと、写真の銀座四丁目交差点に到着。写真左は銀座を代表する商業施設の和光ビル、写真右は老舗の百貨店・銀座三越。和光ビルの時計台には鐘楼があり、店舗営業時間中の毎時0分にウェストミンスターの鐘を演奏し、時刻に合わせた鐘を鳴らします。
写真左は屋上に時計台のある和光ビル、写真右は銀座三越。
銀座四丁目交差点を右折して銀座通りへ。車道は道幅が広く交通量も少ないので、とっても走りやすいです。なお、銀座通りは土日祝日は歩行者天国になります。
銀座四丁目
【午前10時50分】東京名所の代表格「日本橋」
銀座通りを北東に進むと、日本橋川に架かる「日本橋」に到着。1964年の東京オリンピック開催に伴い、橋の上には首都高速道路が建設。「日本を代表する橋なのに、日本でもっとも橋らしくない橋」なんていうふうに揶揄されることも。
ちなみに映画『ALWAYS 続・三丁目の夕日』では、CG映像などを駆使し、首都高速が建設される前の、空が見えていた頃の日本橋が再現されていました。
南側(銀座方面)から見た日本橋。
日本橋
【午前11時】江戸の庶民情緒たっぷり!「人形町~水天宮前」
日本橋を渡り、日本橋北詰交差点を右折。しばらく進むと、日本橋人形町(略して人形町)に到着。人形町通りの両側や甘酒横丁を中心に、飲食店や商店が連なります。水天宮通りを南下すると、安産祈願で有名な水天宮が見えてきます。
水天宮通りにて。
人形町周辺の裏通りには、下町情緒が漂う古い街並みが残っています。
安産祈願で有名な水天宮。
日本橋人形町/水天宮
【午前11時10分】ちょっとした休憩場所も!
人形町近辺にある休憩スペース。東京都内には各所に、このようなスペースが設けられています。すぐ近くには、きれいに掃除された公衆トイレもありました。
【午前11時20分】屋形船が集うディープなエリア「浅草橋」
久松町交差点を左折して清洲橋通りへ。少し北上すると、神田川に架かる浅草橋に到着。橋下の神田川には、多くの屋形船が係留されています。
JR浅草橋周辺は、掘り出し物のお買い物やB級グルメが楽しめる、高級店が集まる銀座とは対照的なディープなエリア。お散歩がてら、ぷらりと立ち寄ってみるのもおすすめです。
多くの屋形船が係留されている浅草橋下。
清洲橋通りは自転車も走行可能。
散策が楽しそうなエリアが広がる、JR浅草橋駅の高架下周辺。
浅草橋
【午前11時30分】下町情緒が漂う「蔵前」周辺
清洲橋通りをさらに北上。写真の蔵前周辺は、日本橋周辺と同様、江戸の庶民文化が色濃く残る下町エリアです。
自転車のイラストが施された車道を走行。路上駐車や停車車両に注意しながら進みます。
蔵前エリア(駒形)にある、東京下町ならではのドジョウ料理店。
駒形にある玩具メーカー・バンダイ本社前には、同じみのキャラクターが鎮座。記念写真を撮る観光客も多数でした。
蔵前周辺
【午前11時40分】東京観光の名所・浅草「雷門前」
蔵前を北上すると、東京観光スポットの名所「浅草」に到着。雷門交差点では平日にもかかわらず、多くの観光客が行き交っています。
雷門交差点にて。人が通らない一瞬のスキを見計らって記念写真! この1ショットを撮るだけでも、かなり苦労しました。
よほど困った顔をしていたのか、地元の(だと思われる)おばあちゃんから、「ご苦労さんだねえ」とお声がけを頂きました。
雷門交差点にて。向こう側には東京スカイツリーが見えます。
【午前11時50分】金色の巨大オブジェが見える「吾妻橋」
雷門交差点を右折して浅草通りへ。間もなく隅田川に架かる吾妻橋が見えてきます。橋上からは東京スカイツリーやアサヒビール本社に加え、屋上に金色のオブジェを設けた「アサヒスーパードライホール」などが見えます。
アサヒスーパードライホールの屋上にある金色のオブジェは、「聖火台の炎=新世紀に向かって飛躍するアサヒビールの燃える心」を表現したものだそう。
アサヒビール100周年の記念事業の一環として、1989年10月に竣工されました。
浅草(雷門)
【お昼12時】日本一の「東京スカイツリー」
浅草通りを東に進むと、東京のシンボルともいえる高さ634m(武蔵=ムサシにちなんだ高さ)東京スカイツリーに到着。そびえ立つタワーの雄姿をたっぷりと堪能し、東京スカイツリー下にあるステーションに自転車を返却。本日のサイクリングは、ここで終了。楽しかったー!
写真左は東京スカイツリー、写真右は商業施設やオフィスなどが入居する複合ビルのイーストタワー。
上写真の反対側で撮影。東京スカイツリー、イーストタワー、シェアサイクルの3ショットです!
後輪をロックし、自転車に設置されたキーパネルの「ENTER」を押して返却手続きを実施。すると上のようなメールが届き、返却が完了します。
東京スカイツリー(押上)
走行ルート:築地~東京スカイツリー(約10km)/利用料金:825円(約2時間)
今回の走行距離は、築地のある東京都中央区~雷門のある台東区浅草~東京スカイツリーのある墨田区押上までの約10km。短時間ながら各地を観光し、写真を撮影しながらのサイクリングだったので、自転車の利用時間は2時間10分でした。
東京都内中心部の観光スポットを効率よく回る場合、電動アシスト付きのシェアサイクルは驚くほど便利。観光スポットから観光スポットへの移動も、徒歩なら10分かかるところを、自転車ならば数分で完了! 効率的に観光したい人には超おすすめです。また、観光はもちろん、ビジネスにも便利に使えるなとも感じました。
今回の支払い料金は825円。1,000円以内でたっぷり楽しめました。運動不足も解消できて、しかも東京の観光スポットを堪能でき、まさに一石二鳥。次回は坂の多い、赤坂エリアや乃木坂エリアあたりを回ってみようかな?
[All Photos by Kita Hideaki]