常々思っていたのです。日本人はなぜ、こんなにもハワイが大好きなのか。
近さでいえば、やはりグアムやサイパン。予算もリーズナブルです。食事のおいしさでいえば、アジアのビーチリゾートが断然上でしょう。
日本語が通じやすい? オアフ島はそうかもしれませんが、ハワイ島などではそこまで日本語は通じません。
海の美しさ、豊かな自然、アクティビティの豊富さ、ショッピング天国としての一面もありますが、ハワイ以外にもそうしたリゾートはもちろんあります。
ハワイが持つ癒しのイメージ
周りの人々に「どうしてハワイが好き?」と聞くと、一番多い答えが、「何だか癒されるから」。この癒しのイメージは一体、どこからくるのでしょうか。
それはもしかしたら、言葉なのかもしれない、と思うのです。
母音を中心とする日本語は、世界でも珍しい言語です。実はハワイ語もそうなんです。だから「Aloha(アロハ)」「Mahalo(マハロ)」など、ローマ字読みで簡単に読め、日本人にも発音しやすいんですね。これは、日本とハワイ・南太平洋のポリネシア語族だけに見られる言語の特徴なのだそうです。
母音語族(とここでは名付けてみます)は、小川のせせらぎや虫の声を美しい音色としてききます。子音を中心とした言語を使う世界のほとんどの人には、それらの自然音は、雑音にしかきこえないそうです。
【TABIZINE自由研究部】日本人の情緒について<1>色気ある空気の国
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【TABIZINE自由研究部】日本人の情緒について<4>『モアナと伝説の海』は吹き替え版がいい
自然と共生する価値観
つまり母音語族は、同じように自然と共生する価値観・文化を持った者同士ともいえます。
さらに、森羅万象すべてのものに神が宿ると信じるハワイの人々の考えは、日本の八百万の神の考えにも通じますし、“愛”を大切にするアロハ・スピリットは日本の“和”を尊ぶ文化にも通じます。
そういう観点で見ると、日本人がハワイの人々や空気に感じる親近感、彼らの感覚から生まれた素朴なウクレレの音色やフラダンスのゆったりした動き、風土そのものに癒されるのも納得です。
しかしハワイ語はユネスコが発表した消滅の危機にある言語のひとつ。復興運動も続いていますが、これからもその精神とともに生き続けてくれることを願ってやみません。
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