アジア食材店やビオショップに足を運ばなければ手に入らなかった豆腐も、ここ最近は現地のスーパーでも扱うところが増えてきました。ただ、豆腐を食べ慣れている日本人の私たちからすると「え、これが豆腐なの!?」というモノも。そして、ここフランスでは、豆腐の食べ方もユニークです。
日本の豆腐に近いアジア食材店の中華系豆腐ではなく、今回はあえて、フランスの食文化のなかで生まれたユニークな豆腐(大豆製品)をご紹介してみたいと思います。
なんちゃって豆腐を求めるべく、訪れたのは「ビオ・セボン」。麻布十番に日本1号店を構える、フランス生まれのビオ専門スーパーマーケットです。
もはや豆腐とは言えない!? 強烈なインパクトの「ピザ豆腐」
大豆製品のコーナーをのぞくと、絹ごしに木綿豆腐から、ハーブやオリーブ入りのもの、たまり醤油に漬け込んだもの、コロッケやハンバーグのようなもの、モッツァレラチーズ風のものまで、バラエティ豊かなラインナップ。
なかでも驚いたのが、強烈なインパクトを放つピザ豆腐! ピザと豆腐のありえないコラボだけれど、意外とおいしかったりするのかな?
豊かな発想のピザ豆腐、ほうれん草&ヘーゼルナッツ入りの豆腐など、4点購入してみました。豆腐というよりは、なんだかどれもチーズっぽい雰囲気です。
豆腐を食べ比べ! 気になる味は?
【ピザ豆腐】トマトとハーブの味が濃くて、オムレツみたい。スペイン料理のタパス(小皿料理)のような雰囲気です。塩気が強いので、バゲットにのせて食べるとおいしくいただけました。一緒に試食した「絹ごし豆腐が苦手」というフランス人の友人も気に入った様子。
【ほうれん草&ヘーゼルナッツ】ほうれん草とヘーゼルナッツ、ニンジンなどが入った硬めの木綿豆腐。フェタチーズのような見た目ですが、味はほとんどしません。豆腐自体の味がうすいので、塩やスイートチリソースをつけないと味がないのが残念。
【スモーク】木綿豆腐をとっても硬くした感じのスモーク豆腐。スモークチーズのような味です。このままでも十分食べられるけど、ご飯のおかずにはちょっと・・・。パッケージによると、おすすめの食べ方は「豆腐のホットサンド」だそうな。
【スプレッド】「チーズのようにパンに塗って楽しめる」がウリのガーリックハーブ味の豆腐スプレッド。日本国内でも手に入るチーズスプレッド「ブルサン」や「タルタル」をイメージしたものだと思われます。豆腐を発酵させているせいか、チーズに近いイメージで、中東のひよこ豆のディップ「フムス」を思わせる食感とフレーバー。
【総評】ご飯ではなく、豆腐をパンに合わせて楽しむという発想がフランスならでは。実際に試食してみると、どれもパンがおいしくいただけるものばかりでした。パンがほしくなる豆腐に出合ったのは、生まれて初めて!
フランス人は豆腐をどう食べる?
絹ごし豆腐はチョコレートムースなどデザートの材料に、主流の木綿タイプは食べやすくキューブ状にカットして、お酒のおつまみにしたり、サラダに混ぜたりします。チーズと薄くスライスした豆腐をパンに挟んで、ホットサンドなどにすることも。
ただ、豆腐は健康食品としてのイメージが強いせいか、好んで食べているのは一部の人たちという印象です。現に周囲の友人たちに本来の豆腐のおいしさを説明しても「豆腐は味がしないから苦手」と言われることも多いのです。
ところが今回の試食では「豆腐スプレッドがチーズみたいでおいしい!」「豆腐ピザ最高!」「これなら豆腐食べられそう」と、驚きの高評価! ユニークな豆腐が誕生した背景はまさに、食文化の違いなのですね。
確かに豆腐ピザは食べやすかったけれど、豆腐とは別次元のおいしさ……。日本人としては、ちょっと複雑な気分です。
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