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市内を流れる世界遺産のミディ運河や、レンガ造りのバラ色の街並みが名高いフランス南西部のトゥールーズ。パリ、マルセイユ、リヨンに次いで4番目の規模を誇る当地は、ヨーロッパにおける宇宙航空産業の中心地としても知られています。
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今年10月に開館20年を迎えた、トゥールーズの観光スポットとして人気の宇宙テーマパーク「シテ・ド・レスパス(Cité de l’espace)」。こちらで、世界中の宇宙飛行士が年に一度集まり各国の宇宙開発の現状などについて多方面から議論する、第30回世界宇宙飛行士会議が10月16日〜20日まで開催されました。
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会議に出席していたJAXAの野口聡一宇宙飛行士と、大西卓哉宇宙飛行士のお二人に接触。国際宇宙ステーション(ISS)滞在中に驚いたことを伺ってみました!
【野口さんの宇宙ミッション】2005年7月にスペースシャトル「ディスカバリー号」によるミッションに参加、2009年12月〜2010年6月に、ISS第22次/第23次長期滞在クルーのフライトエンジニアとしてISSに約5カ月半滞在。2014年9月から宇宙探検家協会(ASE)の会長を務める。
(C)JAXA
まずは、野口聡一宇宙飛行士の驚いたことからご紹介していきます。
物をなくす
ー野口さん:地上と同じような感覚でペンを置こうとすると、すぐになくしてしまいます。無重力の世界では、物がふわふわ浮かぶため、テーブルに物を置いたとしてもどこかに行ってしまうのです。初めのうちはとても困りました。
意外にも宇宙食はおいしいが、薄味に感じてしまう
ー野口さん:宇宙では、血液が普段よりも頭の方(上半身)にまわります。風邪をひいたときのような状態になり、鼻がつまり気味に。そのような状態なので、味覚が鈍ってしまい味が分かりにくくなります。
宇宙にはレトルトカレーを持っていくことができるのですが、味の感じ方が変わるため、普段は中辛を食べている人でも、宇宙では辛口にしないと辛さが感じられないといったイメージです。
また、宇宙食が意外にもおいしいことに驚きました。でも、味覚の変化の関係で、きちんと味付けされたものでも薄味に感じてしまうのですね。
宇宙から見る地球と月は、ものすごく眩しい
ー野口さん:私たちが見ている月は、地球を覆っている大気や空気中のゴミを通して見ているため、光はやわらいでいます。ISSから見る地球や月は(大気圏のように)覆うものがないため、とても眩しく、裸眼では見られないほど。特に満月は太陽の照り返しが強く、明かりで照らされているかのように真っ赤に見えます。地球も月も、その光の多さにびっくりしました。
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続いて、大西卓哉宇宙飛行士が驚いたこととは?
【大西さんの宇宙ミッション】2016年7月〜10月に、ISS第48次/第49次長期滞在クルーのフライトエンジニアとして113日間滞在。
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無重力では、まっすぐの移動が難しい
ー大西さん:スーパーマンのようにきれいに移動できるかと思いきや、宇宙ではそうはいきません。まっすぐ進むためには、体に力を均等にかける必要があります。移動に慣れるまでは、ISS内のケーブルに足をひっかけたりも。私の場合、無重力での移動に慣れるまでに1か月ほどかかりました。
すぐにお腹がいっぱいになる
ー大西さん:宇宙では、満腹になるスピードが早まる感じがします。味覚の変化はそこまでありませんでしたが、食べ始めてすぐにお腹がいっぱいになることに驚きました。
トイレが難しい!!
ー大西さん:無重力では何でも浮きます。私が搭乗したISSのトイレは電話ボックス(公衆電話)ぐらいのサイズでしたが、地上と同じようにトイレタイムを過ごそうと思うと同じようにはいきません。私たちの体が普段からいかに重力に慣れているかということを、改めて感じました。
※ちなみに小の方はホースで吸い取り式、大の方は真空パックにして排泄。トイレの詳細が気になる方は、タビジンで以前お伝えした「トイレやお風呂はどうする? 宇宙飛行士の1日を体験できる宇宙テーマパーク(3ページ目)」をぜひご覧ください。
(C)Yuri Kaida
大西宇宙飛行士の「宇宙よりも、ロシアに驚いた(※訓練方法やソユーズ打上げ時のしきりなど)」という言葉がとても印象的でした。そちらもいつか、改めてレポートしてみたいと思います。
取材協力:Cité de l’espace、JAXA
[cite-espace.com]
[jaxa.jp]
[actu.fr]