北海道の観光地で口コミ人気NO.1!かつては女人禁制だった神威岬って?

Posted by: 坂本正敬

掲載日: Mar 22nd, 2018

札幌、小樽周辺観光で間違いなくおすすめなのが国定公園の一部にも指定される神威(かむい)岬。かつては女人禁制、2017年は北海道の観光地の中で、トリップアドバイザー日本語の口コミナンバーワン!景観の迫力は北海道随一とも言える神威岬をご紹介。

数ある北海道の観光地で口コミNO.1【神威岬】ってどこ?

北海道の観光名所と言えば、どこを思い浮かべますか? 函館の夜景、小樽の運河、室蘭の工場夜景、登別の温泉、支笏洞爺国立公園、旭山動物園、富良野や美瑛の雄大な眺め、大雪山の層雲峡、釧路湿原、知床半島、阿寒摩周国立公園の湖、利尻島や礼文島など、挙げればきりがありませんよね。

数ある北海道の観光地で口コミNO.1【神威岬】ってどこ?

逆にどこに行けばいいのか迷ってしまうほど観光資源に恵まれた土地とも言えますが、もしも「札幌、小樽周辺で、どこかサイドトリップするいい場所ないかな~」と思ったら、間違いなく訪れたいスポットがあります。国定公園の一部にも指定される神威(かむい)岬ですね。そこで今回は北海道に在住経験もある筆者が、神威岬の魅力を紹介したいと思います。

 

トリップアドバイザーで口コミNO.1

数ある北海道の観光地で口コミNO.1【神威岬】ってどこ?

神威岬、名前を聞いて「ああ、あそこね」とピンとくる人は、かなり旅慣れた北海道通か、北海道在住者ではないでしょうか。「オホーツク海に面した枝幸(えさし)にも神威岬があるよ」だとか「奥尻島には神威山という山がある」などとすぐに出てくる人は、もはや博士級の旅の達人ですが、今回の神威岬は札幌や小樽から見て西側、日本海にこぶのように突き出す積丹半島のさらに先端に突出した岬になります。

お世辞にも全国的知名度は、それほど高いとは言えない(はずの)景勝地ですが、なんと2017年にトリップアドバイザーに寄せられた日本語口コミランキングで、北海道部門No.1に輝いています。数ある観光名所を押しのけて、神威岬が旅行者から最高の評価を得ているのですね。

 

「神の岬」の名前にふさわしい景観の迫力は北海道随一

数ある北海道の観光地で口コミNO.1【神威岬】ってどこ?

神威岬の「神威」とは、アイヌ語で「神」を意味します。この場合の神とは、イスラム教やキリスト教、ユダヤ教などの一神教の神とは違い、より広い意味で「人間の世界を超えた大きな存在」といった語感と響きを持っているそう。

アイヌ民族が陸地から見て「カムイ」と呼んだのか、海上から見て「カムイ」と呼んだのかは調べても分かりませんでしたが、司馬遼太郎著『菜の花の沖』を読んでも分かるように、和人、アイヌに関係なく、岬は船乗りにとって航海上の目印であり、神が宿る神聖な場所でもありました。そう考えると、海上から船(イタオマチプ)に乗りながら、岬を眺めて「カムイ」と称したのかもしれませんね。

そんなアイヌが「神の岬」と呼んだ神威岬、その威容は陸上からも、もちろん十分に堪能できます。『ブラタモリ』(NHK総合)風に岬の歴史を紹介すると、火山の爆発的な噴火によってまき散らされた溶岩によってできた岩石(集塊岩)が、波によってちぐはぐに浸食されてできた岬だと言います。

数ある北海道の観光地で口コミNO.1【神威岬】ってどこ?

神威岬のある積丹半島は、余別岳(1298m)などの火山活動によってできた巨大な陸地。誕生は後期中新世から鮮新世だと言いますから500万年前くらいでしょうか。その陸地が長い時間をかけて海に浸食され、日本海に約1kmにわたって北西に向けて突出する神威岬を作ったみたいですね。

岬の両岸の多くはがけ(海食崖)になっていて、観光客は最大で高さ83mにもなる岬の尾根や斜面に設けられた狭い遊歩道を、片道20分ほどかけて歩いていく形になります。

海の青さ、広大な水平線、起伏に富んだ岬の形状、ときに横殴りに吹き付ける海上からの風が原始のころの記憶を呼び覚ますようで、歩きながらどこか神妙な気持ちになれるはずです。もちろん、岬の先端のさらに先に見える高さ41mの巨大な奇岩(神威岩)などの景観も、大いに目を楽しませてくれますよ。

 

冬季や風の強い日は立ち入り禁止

数ある北海道の観光地で口コミNO.1【神威岬】ってどこ?

アクセスに関しては、小樽から車で1時間半ほど。国道5号を西に向かい、余市で俱知安町の方に左折せず、直進して国道229号に入っていきます。

駐車場から緩やかな起伏を登ると女人禁制の門があり、その門の先には岬の先端へと通じる遊歩道(チャレンカの小道)が延びています。駐車場から岬の先端までの距離は、積丹観光協会によると約770m。原則として1年中、歩けるようになっていますが、入り口のゲートの開閉時間が季節によって変わり、さらに天候によって閉鎖される場合も少なくありません。

同地は自然環境の厳しいエリアで、渡島半島の西岸にある茂津多(もった)岬、石狩湾の北側で暑寒別天売焼尻国定公園の一部にも含まれる雄冬(おふゆ)岬と併せて、西蝦夷三険岬と呼ばれているそう。風の強い日は体ごと吹き飛ばされそうになるほどですから、訪問日の天候が優れるように祈りたいですね。

数ある北海道の観光地で口コミNO.1【神威岬】ってどこ?

ちなみに筆者は晩秋の晴れた日に、羊蹄山などで有名な倶知安(くっちゃん)町から岩内平野を抜け、積丹半島の西岸から北上して、初めて神威岬を目指しました。10年以上前の出来事ですが、国道229号が通行止めになって、途中で引き返した記憶もあります・・・。それだけ自然の厳しい半島沿いの海辺に道路が作られているのですね。

しかし今では、145カ所あった防災上の要対策個所が全て解消され、気候による異常気象時の通行規制区間も5カ所から1カ所に減っていると北海道開発局の資料にありました。神威岬のある積丹半島の海沿いは、積丹半島ブルーラインという名前でドライブコースとしてかなり充実してきているとの話ですので、岬を目指す道すがらの絶景も安心して満喫したいですね。

 

以上、北海道で最も口コミの評価が高い神威岬を紹介しましたが、いかがでしたか? TABIZINEの過去記事「【積丹ブルー】義経の悲恋伝説が伝わる、女人禁制の神威岬」では、1856年とペリーが浦賀に来航した3年後まで同地が女人禁制だった経緯が紹介されています。訪れる前には、併せてチェックしてみてくださいね。

数ある北海道の観光地で口コミNO.1【神威岬】ってどこ?

 

[2017年にトリップアドバイザーに寄せられた観光地に関する口コミを分析 – トリップアドバイザー]
[一般国道229号 積丹防災事後評価結果準備書説明資料]
[All Photos by shutterstock.com]

PROFILE

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

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