【ドイツ】おとぎの国の絶景をめぐる、ロマンチック街道バスの旅

Posted by: 春奈

掲載日: May 3rd, 2018

ドイツを代表する観光地、ロマンチック街道。そんなロマンチック街道をめぐる旅行者の強い味方が、「ロマンチック街道バス」。実際にロマンチック街道バスで街道を縦断した筆者が、ロマンチック街道バスの魅力と街道の見どころを現地ルポ。

【ドイツ】おとぎの国の絶景をめぐる、ロマンチック街道バスの旅

ドイツを代表する観光地といえば、やっぱりロマンチック街道。中世の町並みやノイシュヴァンシュタイン城など、ドイツのイメージを象徴する風景の数々に憧れる人も多いのでは。

そんなロマンチック街道をめぐる旅行者の強い味方が、「ロマンチック街道バス」。実際にロマンチック街道バスで街道を縦断した筆者が、ロマンチック街道バスの魅力と街道の見どころをレポートします。

ロマンチック街道の旅なら「ロマンチック街道バス」

【ドイツ】おとぎの国の絶景をめぐる、ロマンチック街道バスの旅

北はヴュルツブルクから南はフュッセンまで、全長410キロのロマンチック街道。この世界的に有名なドイツの観光街道をラクラク制覇できるのが、その名も「ロマンチック街道バス」です。

運行期間は毎年4月から10月まで。2018年は4月9日から10月14日まで、世界各国から訪れた旅人たちをおとぎの世界へと運びます。

ロマンチック街道バスは、フランクフルトからフュッセンへと南下する便と、その逆ルートをとる北上便が、それぞれ一日一便ずつ運行されています。

南下便は、朝8:00にフランクフルトを出発し、夜20:30にロマンチック街道の終点であるフュッセンに到着。北上便は朝8:00にフュッセンを出発し、夜8:30にフランクフルトに到着します。

停車時間を利用してロマンチック街道の見どころを観光

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ロマンチック街道バスは、単にロマンチック街道の見どころをつなぐ移動手段ではありません。その最大の特長のひとつが、おもな停留所で観光時間が確保されていること。

ロマンチック街道バスには30ほどの停留所があり、そのうち8つの停留所で15分から40分程度の観光時間が確保されています。

ゆっくり観光するために十分な時間とはいえませんが、停車時間を利用して、その町のアイコニックな風景の写真を撮ることができますし、ポイントを絞れば名所観光も可能。「限られた時間でできるだけたくさんの見どころを周りたい」という人にはぴったりです。

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なかでも、アクセス不便な世界遺産のヴィース教会に立ち寄れるメリットは大。路線バスでヴィース教会を訪れる場合、かなり時間に余裕を見ておく必要がありますが、ロマンチック街道バスならアウクスブルクからフュッセンに移動するまでのあいだに、気軽に観光することができるのです。

ゆっくりと観光したい町では一旦バスを降りて宿泊、短時間で観光を済ませたい町ではバスの停車時間を利用して立ち寄りと、メリハリのあるスケジュールを組むのがおすすめです。

観光地にバス停があるので移動が楽

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ロマンチック街道バスのもうひとつの大きな特長が、観光ポイントとなる町の中心部にバス停があること。

ドイツの鉄道駅やバスターミナルはたいてい町の中心から少し離れた場所にありますが、ロマンチック街道バスはどんどん町の中に入っていき、町のど真ん中で停車します。

時には、「こんなところまで大型バスが入っていいの!?」と思ってしまうような、旧市街の城壁の中へと入っていくことも。ロマンチック街道バスの停留所のなかには、他の長距離バスの進入や停車が認められていない場所もあるのだそうです。

町の中心部にバスが停まるということは、移動が楽ということ。観光地に宿をとっている場合、たいていロマンチック街道バスの停留所はすぐ近くなので、荷物を持っての移動が苦になりません。

無料WiFi・トイレ完備で安心・快適

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もちろん、ロマンチック街道バスには快適なバス旅に欠かせない設備も完備。調べものに必要な無料WiFi、長距離移動の際には気になるトイレが備わっているので、長旅でも安心して乗車することができます。

ロマンチック街道バスの利用方法

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日本語のパンフレットやオーディオガイドもあります

ロマンチック街道バスは、フランクフルト~フュッセン間を通しで乗車する必要はなく、ローテンブルク~ディンケルスビュール間など、一部の区間のみの利用も可能です。

予約は必須ではなく、通常の路線バス同様、予約なしでもその場で運転手に運賃を支払って乗車することができます。ただし、特に7~8月のハイシーズンは事前に予約をしておいた方が安心。

ロマンチック街道沿いには交通の便が良くない町も多いので、もし乗れなかった場合はスケジュールが大きく狂ってしまう可能性大。余計な心配をしなくて済むよう、ホームページからの事前予約をおすすめします。

さて、続いて筆者が実際にロマンチック街道バスを利用して立ち寄った見どころをご紹介しましょう。カッコ内には、フランクフルト発フュッセン行きの南下便のバスの発着時刻を記載しています。

ヴュルツブルク(9:40着、10:10発)

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ロマンチック街道の北の起点となるのが、マイン河畔の古都ヴュルツブルク。

司教都市として栄えたヴュルツブルクは、幾多の塔をもつ情緒あふれる町並みが印象的で、モーツアルトやゲーテもその美しさを賞賛したといいます。なかでも、町を見下ろす高台に築かれたマリエンベルク要塞からの景色は必見。

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ヴュルツブルクといえば、世界遺産のレジデンツも忘れてはなりません。18世紀に大司教の宮殿として建てられたレジデンツは、南ドイツ・バロックの傑作。当時の大司教の権力を見せつけるかのような壮麗な空間に目を奪われます。

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フランケンワインの名産地として知られるヴュルツブルクでは、おいしいワインも楽しみのひとつ。橋のたもとの店でグラスワインを買って、歴史ある石橋「アルテ・マイン橋」の上でワインを楽しむのがヴュルツブルク流。町のレストランでは、ワインに合う郷土料理やワインを使った料理も充実しています。

ヴュルツブルクまでは列車移動。宿泊してヴュルツブルク観光を済ませたら、翌朝からいよいよロマンチック街道バスの旅がスタートです。

ヴァイカースハイム(11:15着、11:45発)

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ヴァイカースハイムは、ヴァイカースハイム城で知られる人口7500人ほどの小さな町。こんな小さな町にも立ち寄れるのがロマンチック街道バスの魅力です。

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停車時間は30分と短いながらも、町の代名詞であるヴァイカースハイム城の「騎士の間」を見学。小さな町には似つかわしくないほど壮麗なこの広間は、建設当時その豪華さから大いに話題になったといいます。華麗な天井画や、動物などをモチーフにした立体的な壁面装飾の数々は圧巻。

ローテンブルク(12:20着、13:05発)

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「ロマンチック街道のハイライト」「中世の宝石箱」とも称されるのが、ローテンブルク(ローテンブルク・オプ・デア・タウバー)。

まるで中世のテーマパークのように賑やかで可愛らしいローテンブルクの町は、まさに日本人が見たいドイツの風景です。

小さい町ながら、カラフルな木組みの家々や、一年中クリスマスの「ケーテ・ヴォールファールト」、リーメンシュナイダーの傑作「聖血の祭壇」がある聖ヤコプ教会など、ローテンブルクには見どころがいっぱい。

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朝9時半、一番乗りで市庁舎の塔へ

ローテンブルクにやってきたら、市庁舎の塔からの景色も見逃せません。狭く急な階段をのぼりきると、待っているのは360度の大パノラマ。周囲の緑と調和した中世の町並みはまさに絶景です。

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せっかくなら宿泊して、観光客の少ない夜と早朝の風景も含め、おとぎの世界をたっぷりと堪能しましょう。特に人通りのほとんどない朝7時以前は最高のシャッターチャンスです。

日帰りで訪れる人も多いローテンブルクですが、ローテンブルクの本当の魅力は宿泊してこそわかるもの。じっくりと町を歩いて中世そのままの風景を見つけたら、短時間の滞在とはまったく違う体験になるはずです。

ディンケルスビュール(14:20着、14:50発)

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かつて帝国自由都市として栄えたディンケルスビュール。幾多の戦争をぐぐり抜けながら、ほとんど戦災を受けなかったため、今でも中世の面影を色濃く残す美しい町並みが残っています。

ディンケルスビュールには鉄道が通っておらず、個人で行くには少々アクセスが不便ですが、ロマンチック街道バスなら気軽に立ち寄り観光が可能。

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赤、黄色、オレンジ・・・青い空とのコントラストが鮮やかなカラフルな町並みを目にすれば、絵本の世界に迷い込んだかのような気分になれます。30分間の停車時間を利用して、メルヘンチックな写真をゲット。

宿泊して、ディンケルスビュール名物の夜警ツアーに参加するのもおすすです。

ネルトリンゲン(15:25着、15:55発)

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近年、「進撃の巨人」のモデルではないかと噂され、にわかに注目を浴びるようになったネルトリンゲン。およそ1500万年前、隕石の落下によってできたリース盆地に築かれたというネルトリンゲンは、その成り立ちからしてまるでファンタジー。物語の舞台にはうってつけです。

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ネルトリンゲンは、周囲を約2.7キロの中世の城壁に囲まれた円形の町。ドイツに中世の町は数あれど、町を囲む城壁の上をぐるりと歩いて一周できるのはここだけなんです。

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そんなネルトリンゲンのシンボルが、町の中心にある聖ゲオルク教会。「ダニエル」の愛称をもつ聖ゲオルク教会の塔には、キュートな猫職員「ヴェンデルシュタイン」が勤務しています。彼女は正式なネルトリンゲン市の職員で、塔に近づいてくる鳥を追い払うのが任務。

ネルトリンゲンには宿泊して、逸話でいっぱいの町をじっくりと味わいました。

アウクスブルク(17:10着、17:40発)

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2000年もの歴史をもつ帝国都市アウクスブルクは、トリーアに次いでドイツで2番目に古い町。15~16世紀にかけては、フッガー家をはじめとする豪商や銀行家が台頭し、世界史に影響を与えるほどの勢力を誇っていました。

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そんななかで生まれたのが、「ドイツ・ルネッサンスの傑作」と称される市庁舎をはじめとする豪華なルネッサンス建築の数々。2.7キロもの黄金を使って装飾された、市庁舎の「黄金の間」は目を見張る豪華さです。

ルネッサンス建築で彩られたアウクスブルクは、ローテンブルクやディンケルスビュールなど、メルヘンチックな中世の町とは異なる表情をもつ町。かつての栄華を物語る貫録あふれる町並みは、ロマンチック街道がもつ多彩な魅力を感じさせてくれます。

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今も現役のフッゲライ

長い歴史をもつ町だけあって、世界初の社会福祉住宅「フッゲライ(フッガーライ)」や、現存する世界最古のステンドグラスがある大聖堂など、見どころは多数。その歴史を知れば最高に面白いアウクスブルクは、宿泊してじっくりと観光しました。

ヴィース教会(19:35着、19:50発)

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「ヨーロッパで最も美しいロココ様式の教会のひとつ」といわれる、世界遺産ヴィース教会。1738年、近郊のシュタインガーデンで放置されていた「鞭打たれるキリスト像」が涙を流したという奇跡が起こったことからこの教会が建設され、ドイツ有数の巡礼地となりました。

草原にぽつりとたたずむ小さな教会。一見簡素なようですが、その印象は教会内部に足を踏み入れると一変します。

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パステルカラーの優美なフレスコ画や、精緻な化粧漆喰細工で彩られた内部は、外観からは想像もつかないほどの壮麗さ。見る者を無条件で感動させる美の結晶です。

フュッセン(20:30着)

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ロマンチック街道の終点であり、「世界で最も有名な城」ともいわれるノイシュヴァンシュタイン城への玄関口がフュッセン。ヴュルツブルクから始まったロマンチック街道バスの旅もここで終了です。

一目散にノイシュヴァンシュタイン城を目指す観光客も多いですが、フュッセン自体も必見の可愛らしい町。アルプスの山々とレヒ川に抱かれたカラフルな町並みは、ローテンブルクにも負けないほどメルヘンチックです。

【ドイツ】おとぎの国の絶景をめぐる、ロマンチック街道バスの旅

かつてアウクスブルク領主司教の町として栄えただけに、だまし絵で有名なホーエス城や、華麗な図書館や祝祭の間が見学できるフュッセン市博物館など、小さな町ながら驚くほど豪華な建築物が多数残されています。

ノイシュヴァンシュタイン城に向かう前に、穏やかな空気に包まれてほっと一息。

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ノイシュヴァンシュタイン城のふもとの村ホーエンシュヴァンガウへは、フュッセン駅前から路線バスで約10分。バイエルン王ルートヴィヒ2世が中世騎士道への憧れを詰めこんだノイシュヴァンシュタイン城は、今では世界中の人々が目指す夢の城です。

【ドイツ】おとぎの国の絶景をめぐる、ロマンチック街道バスの旅

中世の町並みから、世界遺産、夢の城まで、ドイツの美とロマンが凝縮されたロマンチック街道。あなたもロマンチック街道バスに乗って、いつまでも忘れられない瞬間に会いに行きませんか。

[All Photos by Haruna Akamatsu]
取材協力:ドイツ観光局
ロマンチック街道バス

PROFILE

春奈

Haruna ライター

和歌山出身、上智大学外国語学部英語学科卒。2度の会社員経験を経て、現在はフリーランスのライター・コラムニスト・広報として活動中。旅をこよなく愛し、アジア・ヨーロッパを中心に渡航歴は約60ヵ国。特に「旧市街」や「歴史地区」とよばれる古い街並みに目がない。半年間のアジア横断旅行と2年半のドイツ在住経験あり。現在はドイツ人夫とともに瀬戸内の島在住。

和歌山出身、上智大学外国語学部英語学科卒。2度の会社員経験を経て、現在はフリーランスのライター・コラムニスト・広報として活動中。旅をこよなく愛し、アジア・ヨーロッパを中心に渡航歴は約60ヵ国。特に「旧市街」や「歴史地区」とよばれる古い街並みに目がない。半年間のアジア横断旅行と2年半のドイツ在住経験あり。現在はドイツ人夫とともに瀬戸内の島在住。

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