「緑響く」池に迷いこむ|たったひとつを叶える旅<11>

Posted by: 青山 沙羅

掲載日: Aug 1st, 2018

旅の目的は「たったひとつ」が潔いと思いませんか。今回のたったひとつは夏の火照りが鎮まる、「緑響く」御射鹿池の景色です。深い緑の森。美しさに漏らしたため息さえ響くような静寂さ。日常で求められない「たったひとつ」の旅へ。

「緑響く」池に迷いこむ|たったひとつを叶える旅<11>

旅の目的は「たったひとつ」で良い

旅の目的は「たったひとつ」が潔いと思いませんか。
あれもこれもと盛りだくさんは、大人には野暮というもの。情報が氾濫している現代だからこそ、余計なものは削ぎ落として、自分の「たったひとつ」を選び取るのが粋。旅の荷物はシンプルに、期待だけを詰めて。

私たちがまだ訪れたことのない、未知の場所や絶景。
笑顔で迎えてくれる、あたたかい地元のひと。
生産地ならではの、新鮮で美味しいもの。

珠玉のように散らばる日本各地の魅力を発信する「ONESTORY(ワンストーリー)」。「ONE=1ヵ所」を求めて日本を旅するメディアから、私たちの「たったひとつ」が見つかりそうです。

心をシンとさせる緑の力

夏の贅沢のひとつは、緑の静寂に染まること。

息をすると胸の奥まで染まりそうな、大自然の色。
人を無口にさせる静寂さ。
迷い込んでみたくなる深い森。
水面下に沈む内面に向かわせる創造性。
海が人の心に波を立るのとは反対に、森には人の心を鎮める力があります。

緑響く池

「緑響く」池に迷いこむ|たったひとつを叶える旅<11>

東山魁夷氏の代表作「緑響く」 のモチーフになったことで知られる御射鹿池(みしゃかいけ)。 魁夷の描いた白馬がふと木々から現れるような、神秘的な風景に息を呑みます。

御射鹿池(みしゃかいけ)は、実は農業用の人工池。酸性が強いため、魚をはじめ生物の棲息を許しません。強酸性の湖底にはチャツボゴケが繁茂して湖面が青緑に輝き、木々が美しく映えます。「緑響く池」というタイトルに、まさにふさわしい池ですね。

■もっと知りたくなったら

ONESTORY(ワンストーリー)
静寂の水面に溶けるように映る深緑の色彩が、あたり一面を染める。[御射鹿池/長野県茅野市]

御射鹿池(東山魁夷の「緑響く」のモチーフとなった池)
八ヶ岳中信高原国定公園内にある農業用のため池で、農林水産省のため池百選にも選定。
住所:長野県茅野市豊平奥蓼科 
アクセス:中央自動車道諏訪ICから車で約45分/JR東日本中央本線茅野駅から車で約30分
公式サイト:http://www.tateshinakougen.gr.jp/places/454/

生誕110年 東山魁夷展
公式サイト:kaii2018.exhn.jp/

日本画の巨匠・東山魁夷 京都は30年ぶり、東京は10年ぶりの大回顧展
(「緑響く」展示予定)
【京都展】2018年8月29日(水)~10月8日(月・祝) 京都国立近代美術館
【東京展】2018年10月24日(水)~12月3日(月) 国立新美術館

棲息を許さない池を抱く、深い緑の森。美しさに漏らしたため息さえ響くような静寂さ。今回のたったひとつは夏の火照りが鎮まる、「緑響く」御射鹿池の景色です。

私たちが旅へ向かわずにいられないのは、日常で求められない「たったひとつ」に出逢うためなのです。

PROFILE

青山 沙羅

sara-aoyama ライター

はじめて訪れた瞬間から、NYに一目惚れ。恋い焦がれた末、幾年月を経て、ついには上陸。旅の重要ポイントは、その土地の安くて美味しいものを食すこと。特技は、早寝早起き早メシ。人生のモットーは、『やられたら、やり返せ』。プロ・フォトグラファーの夫とNY在住。

はじめて訪れた瞬間から、NYに一目惚れ。恋い焦がれた末、幾年月を経て、ついには上陸。旅の重要ポイントは、その土地の安くて美味しいものを食すこと。特技は、早寝早起き早メシ。人生のモットーは、『やられたら、やり返せ』。プロ・フォトグラファーの夫とNY在住。

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