都内最大級のあかりアート展、ホテル雅叙園東京の「和のあかり×百段階段2018 ~日本の色彩、日本のかたち~」が始まります。有形文化財である「百段階段」と、「祭り」「アート」「デザイン」「職人」「テクノロジー」をテーマにした1,000点を超える作品がコラボする、フォトジェニックで風格あるイベントです。気になる今年の見どころを、現地ルポします!
日本美を誇るミュージアムホテル「ホテル雅叙園東京」
昨年リブランディングし、総合結婚式場からホテルへと生まれ変わった「ホテル雅叙園東京」。さらに今年2018年は、90周年の節目となるそうです。
ロビーに入ると趣ある庭やアートが目に入り、「日本美のミュージアムホテル」と冠する所以を実感できますよ。
大好評のあかりアート展は、今年で4回目の開催。昨年の最終日は5000人も訪れたという、異例の人気イベントなんです。
会場へのエレベーターも圧巻の風格
会場へ向かうエレベーターは壁4面が螺鈿の細工で埋められ、その壮麗さに思わずため息。
エレベーターホールに到着すると、最初に出迎えてくれるのは、京都大原「みつる工芸」ののれんです。さらに、SABONによる香りの演出が、別世界へと誘ってくれます。香りの演出は、百段階段史上初となるそう。
のれんをくぐると、天井からはランプシェードに見立てた傘が。手拭いと布の専門店「nugoo」の作品です。その美しさは、思わず“デザイン”ではなく“意匠”と呼びたくなる趣。
こちらの作品の前ではぜひ、手をたたいてみてください。何が起こるかは・・・行ってみてのお楽しみ。
実はこのエレベーターホールの床も、作品なんです。まるで本物かと見まごうような人工芝。ぜひさわってみてください。驚きますよ!
エントランスからいよいよ百段階段へ
文化財は和室なので、入室前に靴を脱ぎます。そのエントランスの天井を見上げると・・・たくさんの提灯と金魚たちが。山口県の柳生金魚ちょうちん祭り、山口七夕ちょうちんまつりとのコラボだそうです。
十畝の間
間島秀徳氏の日本画を背景に、折花作家三谷基氏による何千という折花をたたえた『光花井戸』。
漁樵の間
今回のために制作された青森ねぶた「竹取物語」。3流派による完全新作の共同作品は地元青森でも実現しない特別なものだそうです。
草丘の間
話題のインスタレーションアート集団「ミラーボーラー」の新作。人は誰しも闇を持っていて、影がなければ光は成り立たない。そんなメッセージを感じてみてください。
頂上の間
一葉式いけ花 次期家元 粕谷尚弘氏、篠原風鈴本舗などによる作品。
化粧室
長崎ランタンフェスティバルコラボ、照明作家 弦間康仁氏の作品。壁に映る龍は、動く影絵なんですよ。
第8の部屋
特別開放されている、「百段階段」の頂上にあたる第8の部屋では「光の屏風」が設置されています。光るペンで落書きを楽しめますよ。ペンの方がもちろん描きやすいのですが、スマホの光などでも落書きできます。
文化財の美しさにも目を奪われる
アート作品もさることながら、会場となっている百段階段もそれぞれの間も、ふと天井や襖に目をやると、その素晴らしさに思わずうっとり。こんな雅な空間を鑑賞のメインではなく会場にしてしまうなんて、贅沢すぎます!
階段で眠っているこけしたちが可愛い
さて、そんな素敵な百段階段ですが、実は階段の端や壁の隅で眠っている人たちがいるんです。
それがこのお方たち。こけし作家 林貴俊氏による石巻こけしです。ひとつひとつ強烈な個性を持ち、表情もデザインも違うんです。可愛くて、自分だけのお気に入りを探したくなりますね。
こんなところにも小さな子が・・・。
こんなところにも個性的な子が・・・。たまりません。
「自然のものが一番おしゃれなんだよ」星光の間
個人的にとても印象的だったのが、造形作家 川村忠晴氏の作品とお人柄。こちらの作品に見入っているとき、耳に飛び込んできたのが、「自然のものが一番おしゃれなんだよ」という川村さんの言葉。思わずもっとお話を聞いてみたくなりました。
川村さんの作品は、「葉や実、貝殻など自然のものを拾ってきて、光の上にのせるだけ。着色は一切していない」と言います。海のものと山のものが混在しているんですね、と問うと、「昔は山のものだけだったけれど、LEDライトができて貝殻なども作品に取り入れるようになった」のだそう。従来の明かりでは、貝殻をきれいに透ける光にならなかったのだとか。
本当に、自然が作り出した形やデザインがこんなに新しくて美しいとは・・・沁みわたるように実感するきっかけとなりました。
百段階段、実は99段なのはなぜ?
さて、百段階段には1段ごとにナンバーがふってあります。・・・が、そう、100段目はないんです。そのわけは、一言でいうと験担ぎだそう。奇数が縁起のよい数だから説と、未完の美学説(100だと完璧すぎる、99にして発展性をもたせる)があるようです。
ミュージアムショップもお見逃しなく
ミュージアムショップでは、展示作品由来のお土産や、和のモチーフ雑貨がいろいろとそろっていました。光の落書きができるキット(税抜き1980円)も発見!
今回ご紹介した作品はほんの一部。会場ではもっと多くの、日本人の感性に響くあかりたちが待っています。ぜひ自分の心の声に耳を傾けて、あなただけの見どころを見つけてみてください。
帰り道風が吹いたとき、会場を演出していた香りがふっと、鼻先をかすめました。お茶やゆずなどの柑橘を感じる、上品な香り。その移り香に夏の涼を感じて、風流な気持ちになりました。
http://www.hotelgajoen-tokyo.com/event/wanoakari2018
会場:東京都目黒区下目黒1-8-1 ホテル雅叙園東京
開催期間:2018年7月7日(土)~9月2日(日) ※会期中無休
開催時間:月~木曜日 10:00~17:00(最終入館16:30)
金・土・日・祝および8月13日~17日 10:00~20:00(最終入館19:30)
※写真撮影可能(三脚・フラッシュ撮影NG)
入場料 :当日 1,500円、前売 1,200円(館内前売 1,000円7/6迄)
学生 800円※要学生証呈示、小学生以下無料
お問合せ:03-5434-3140(イベント企画10:00~18:00)
[All Photos by Aya Yamaguchi]