観光庁の「宿泊旅行統計調査 平成29年1月~12月」から読み取れる、都道府県別にみた外国人旅行者の実態をチェックしてみました。
※多くのデータ・グラフが「従業者数10人以上の施設に対する調査から作成」された資料となっています。
外国人の延べ宿泊者数ベスト3は、東京、大阪、北海道
日本にやってきた旅行者が泊まるのは、断トツ東京だというのは、誰にでも想像できることでしょう。でも2位が大阪、3位が北海道というのはちょっと意外ではないでしょうか。
大阪はUSJやグルメが好評で、昨年は、中国、韓国、台湾、香港、タイを中心とした旅行者が泊まっていました。北海道はスキーリゾートとしての人気が高く、中国、台湾、韓国、香港、タイと、順位は違えど、多くのアジア系旅行者を迎えました。
4位は京都、5位は沖縄となっています。
伸び率が高い都道府県は、アクセス向上などに取り組んだ「青森」が前年比60.3%増、「日本一のおんせん県おおいた」として売り出す「大分」は59.3%増、観光動画が好評の「佐賀」は51.9%増となっています。
都市も地方も外国人宿泊者数が伸びている
三大都市圏は、平成27年から28年にかけて前年比3.4%増、29年にかけて10.2%増となっています。
地方部は、平成27年から28年にかけて前年比9.5%増、29年にかけて15.8%増となっています。
いずれも外国人延べ宿泊者数は伸びていますが、地方こそ大きな伸びが見られます。外国人旅行者の楽しみ方が成熟化・多様化していることが伺えます
欧米の人々は、東京、京都、大阪に泊まっている
欧米の旅行者に限定して、人気の旅行先をみてみましょう。
アメリカ、カナダ、イギリス、ドイツ、フランス、スペイン、イタリア、オーストラリアは、延べ宿泊者数でみると、いずれの国も、東京、京都、大阪の順に多くなっています。ロシアだけが、東京、京都、北海道の順で少しずれていますが。
アジア系の人々との好みの違いでしょうか。欧米系の方が日本が初めてという人の割合がアジア系に比べて高いから、京都が欠かせないのかもしれませんね。
欧米比率がずば抜けて高いのは広島
外国人延べ宿泊者数構成比をみてみると、どこの都道府県もアジア勢が占める割合が高いなか、広島だけ違います。欧州が14%、アメリカが13%、オーストラリアが9%と合計36%になり、非常に目立っています。平和の象徴としての広島、幻想的な宮島の欧米人気の高さがここに現れました。
台湾人は東北、中部で目立ち、韓国人は山陰、九州で目立つ
都道府県の外国人延べ宿泊者数構成比は、台湾が21県、中国が14都道府県、韓国が9県のトップを占めています。
その中で、台湾がトップの県は、東北、中部など、雪が連想される気温の低めのエリアに目立ちます。一方韓国は、山陰、九州といったあたたかい西日本に集中しています。温暖な台湾も、冬の冷え込みの厳しい韓国も、違った気候のエリアに惹かれるのでしょうか。
韓国から九州は非常に近く、またコリアタウンの多さから、西日本がより身近に感じるのかなと思われます。
台湾はというと、東北が積極的にアピールしていたそうです。行ったことのないエリアという新鮮さや「仙台・台湾」間の便が毎日運航になったというアクセス面も追い風になったようです。
今後の各都道府県の誘致活動次第で、また様相が変わるかと思うと、継続してチェックしていきたいなと思います。
参考
[官公庁 宿泊旅行統計調査 平成29年1月~12月]
[日本経済新聞]
[大分県観光情報公式サイト]
[朝日新聞]
[やまとごころ.jp]
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