八ヶ岳南麓にある「清里」をご存知ですか。関東地方の方なら、一度は耳にしたことがある高原の避暑地で、軽井沢と並んで首都圏から多くの観光客が訪れます。その人気観光地であったはずの「清里」・・・ 観光バブルがはじけ、一大ブームが過ぎ去り、萌えるようなメルヘン建築の廃墟だけが残っているというので、実際に行ってみました。
標高1200mの高原の避暑地に眠るメルヘン廃墟
標高約1200m、首都圏からのアクセスもよく「高原の避暑地」として、こんなところに別荘が持てたらと憧れの的だった清里。旅行ガイドブックや情報誌などでも頻繁に取り上げられ、そのブームが席巻したのが昭和50~60(1975~1985)年代のこと。
“高原の原宿”ともてはやされるほど、ファンシーショップや雑貨屋、タレントショップ、カフェが乱立し、お菓子の家のようなカラフルでポップな街並みがつくられたのだとか。
真っ白な清里の駅に降り立つと、なだらかな芝生の駅前広場が広がり、三角屋根のかわいらしい建物が通りを彩ります。ちなみにこの清里駅、JRの駅の中で2番目に高い場所にあり、標高は1275m。一番高い場所にある駅は隣の野辺山駅で1346mです。
ポット型をした喫茶店は想像を絶するインパクト!
駅前から探索を開始! それにしても人が少ない・・・ 駅前のメインストリートに並ぶ店も、軒並みシャッターが下ろされ、洋館風の建物に包まれた静寂のおとぎ話の世界が広がります。
きれいに整備された通り沿いには、おしゃれな街灯が配され、かつてのにぎわいが物悲しく伝わってくるよう。駅前の一等地にある朽ちかけたジェラートショップは売りに出され、白とオレンジのツートンカラーのバンも77円? きっと77万円で新しいオーナーを待っています。
駅前から西へ伸びるメインストリートを約200mと進むと、右手に見えてくるのが「MILK POT」。ポット型の独特なフォルムをした喫茶店で、“アラレちゃん”で一世を風靡した鳥山明氏のマンガ「Dr.スランプ」に登場する喫茶店のモデルになったといわれる店。
ブームのときには、駅前まで延々と行列が続いたという人気店ですが、現在は営業しておらず、その内観がと~っても気になります。
隣接する時計台を兼ねた洋風建築のショップも人の気配がなく、廃業したようです。
水玉キノコや樹木精人が潜む忘れられた空間
「MILK POT」の目の前には、グリーンのパステルカラーが美しいお城のような建物が。かつては各種ショップなどが入りにぎわったのでしょうが、こちらも営業してない様子。3階建ての美しい外観に時代の流れを感じます。
隣接しているのが「ONE HAPPY PLAZA」。清里のメルヘン建築スポットのメイン!? ともいえる場所。丸みをおびたユーモラスなキノコのエントランス、コワかわな樹木精人、黄色の殻を背負った人面でんでんむし・・・ 2~3階からなる瀟洒なショッピングモールだったようで、ソフトクリームやクレープ、清里グッズなどを販売していたであろうショップの名残がそこかしこに。
2013年ころには、ある業者が買い取り、カフェ&ギャラリーとしてリニューアルするという話もあったみたいなのですが、風雨にさらされた木造は朽ち、ペンキは剥がれ、色褪せた看板やキャラクターが、ひっそりと萌えるようにたたずんでいました。
この「ONE HAPPY PLAZA」のもう少し先にあるパスタ屋「morimoto」は、吉田まゆみ氏の少女漫画「年下のあンちくしょう」に登場する店で、経営者や店名も変わっていますが、店内は当時の雰囲気を残し、現在もファンが訪れるんだとか。
パステルカラーの洋館や独特のキャラクターが残る、清里のメルヘン建築。ぜひ、この萌える建築を利用した、新たな街おこしをしてもらいたいものです!
【住所】山梨県北杜市高根町清里周辺
【料金】見学自由(私有地に入ったりしないように注意)
【アクセス】JR「清里駅」より徒歩2分
[All Photos by tawawa]
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