タイの幻想的なお祭り「ロイクラトン」
陰暦の12月の満月の夜に、タイ各地でおこなわれるお祭り「ロイクラトン」は、水の精霊に農作物の感謝を捧げたり、罪や汚れを水に流し、魂を浄めるお祭りです。
今年は11月15日〜17日で開催されています。
チェンマイで行われる「ロイクラトン」は「イーペン祭り」といい、何千人と集った会場で、全員で静かに祈りを捧げた後にコムローイというランタンを夜空に向かって一斉に飛ばします。
コムローイをあげる時間は夜の約1時間程度。ですが、みんなお昼くらいから「その時」のためにずっと準備を整えて待っているのです。
コムローイを飛ばす時間になると、派手なオープニングイベントがあるのかと思いきや・・・さすが仏教国、タイ!お坊さんたちが中央ステージにずらっと並びお経を唱えはじめます。ロイクラトンは「魂を清める」お祭りであり、厄よけ・厄払いの意味もあるので、お坊さんたちのお経が始まると、とても神聖な空気に包まれます。
人々はただただ、静かに手をあわせ祈りを捧げます。
コムローイを空へ
コムローイは、薄い紙に入口が木枠になっており、真ん中には火をつけるためのリングがついています。火をつけて、温かい空気をこのコムローイ全体に溜めて、気球のように熱がいっぱいにためて空へ飛ばします。熱がいっぱいに溜まったかどうか・・・溜まっていないとうまく空へ飛んでくれず、落ちてしまうので、この手を離す瞬間に緊張が走ります。
どうか、空へ!!!
そんな願いとともに、熱をためたコムローイは空へみるみる早さで飛んでいきます。
他の国では、ランタン飛ばしは願いをランタンに書いて「願いを叶える」ために飛ばすところが多いようですが、タイは「悪い物を空へ飛ばす」という意味合いでランタンを飛ばすようです。
日本で言うところの、厄払いに近いようですね。
星々のようなコムローイ
いちどに何万個ものコムローイが空へあがっていきます。
人々の手を離れたコムローイたちは、あっという間に高いところへいってしまい、その光はどんどんと小さくなっていきます。厳かな空気の中、夜空に次々とあがっていくコムローイの光景は、宇宙の星々ように幻想的。言葉を失うほどです。
最後にはコムローイとともに花火を打ち上げられ、この祈りが締めくくられます。
一生に一度は絶対に見たいと思っていた光景だったのですが、一度見たら、またいつか絶対見に戻ってこようと思った光景でもありました。