ジェニファー・L・スコットのベストセラー、「フランス人は10着しか服を持たない」。カルフォルニアガールがパリの貴族の末裔の家庭に滞在する話。そのシリーズはコミック版まで出版されました。人生に変化を起こしたい人、また、パリ、フランスに行く予定のある人、「5月病かな?」という人も必見です!
【人生を変える本】「フランス人は10着しか服を持たない」
ジェニファー・L・スコットのベストセラー「フランス人は10着しか服を持たない」(大和書房)と、そのシリーズです。筆者はこれらを少し遅れて、コミック版まですべてを読みました。
ちなみに、『フランス人は10着しか服を持たない ファイナル・レッスン「凜とした魅力」がすべてを変える』の帯には、「あなたは、人生に望む変化を起こす」という一文があります。本当かなと思っていましたが、筆者は本当に、このシリーズを読んだら、人生の基盤が変わったのです。
最初の本である、「フランス人は10着しか服を持たない」を少しご紹介しましょう。
カルフォルニアガールであるジェニファーは、交換留学生としてパリに行き、フランス人家庭にホームステイすることになったのです。貴族の末裔である彼らは、閑静な高級住宅地パリ16区のアパルトマンに住み、ブルターニュには別荘を所有していました。上質の皿を普段に使い、家の中でもきちんとした身だしなみをし、家族を大切にし、規則正しい生活をしています。
そして、各自10着くらいのワードローブしか持ちません。無駄にお金を遣っているわけではないのです。暮らしのなかの小さな楽しみに大きな喜びを見出す、「アール・ド・ヴィーヴル」(暮らしの芸術)の達人たち。彼ら、特に「マダム・シック」の満ち足りた毎日を体験したジェニファーは、物質主義に踊らされる生活に疑問を抱き、本当の豊かな暮らしに目覚めていきます。
『マダム・シックのレッスン』からジェニファーが学んだことは、広い範囲に渡ります。その一部をご紹介。
・食べる喜びを我慢しない。
・面倒がらずに体を動かす。住んでいる街を探索し、毎日の買い物、また、家事をエクササイズにする。
・自分の体つきに満足する。
・10着のワードローブで身軽になる。
・自分のスタイルを見つける。
・ありのままの自分に満ち足りる。
・ノーメイクみたいにメイクする。
・いつもきちんとした装いで。
・いちばん良い持ち物をふだん使いにする。
・教養を身につける。
・物質主義に踊らされない。
特に印象に残った言葉を2つ引用しましょう。
「何が自分の美しさを引き立てるのか、逆に台なしにしてしまうのか、自分自身でよく観察しなければいけないわ。女性なら誰だってそうするべきよ」という、マダム・シックの言葉(「自分のスタイルを見つける」より)。
そして、「物質主義に踊らされない」で、著者ジェニファーが語るこのくだりです。
「そんなふうに、物質主義に踊らされない一家の暮らしぶりは、わたしにはとても新鮮で、堅実なお金の遣い方には尊敬の念を抱いた。素敵に暮らすということは――収入の範囲で暮らし、モノにあふれた社会の誘惑を避けること。それこそ繁栄と呼ぶのだろう」
そしてジェニファーは、アメリカに帰っても、マダム・シックが教えてくれたことを実践していくのです。
『人はきっと、自分の日常生活を超えられない』
この本には、いろいろなとらえ方があると思います。以下は筆者の解釈です。この本を読んで思ったのは、『人はきっと、日常生活の自分を超えられない』ということです。
読後にこう気がつきました。家の中で、いつも楽すぎる服でいると、そのときの動作や身のこなしが身についてしまうのです。おしゃれをして外に出たときも、普段のしぐさがでやすくなります。もっといえば、普段から他人を思いやるようにしていれば、いざというときに口から出る言葉も、優しくあることでしょう。
普段から暮らしの中の小さな楽しみに、大きな喜びを見出そうとしていれば、楽しむことが日常になっているなら、人生そのものも、きっと美しく楽しいでしょう。
人生の楽しみ方、とらえ方、いざという時の困難の乗り切り方、それらの秘密はひょっとしたら、日常生活にあるのかもしれません。
少なくとも、人生は一日一日の積み重ねです。日常生活がその人自身と、人生の大半を作るのです。
「マダム・シック」の家庭が幸せであるのは、貴族の末裔として高級住宅地パリ16区のアパルトマンに住み、ブルターニュに別荘を所有していることと、実はあまり関係がないかもしれません。人生を美しく、楽しく生きる知恵を知り、努力しているからではないでしょうか。
前述のように、筆者は「フランス人は10着しか服を持たない」シリーズを、コミック版を含めてすべて読みました。コミック版から読んだのですが、分かりやすくて面白かったです。そしてベッドの横のカゴに入れて、定期的に読み返しています。特に生活や、気持ちが乱れてきたときに読みます。
これらの本は、筆者の人生の基盤を変えてくれました。「あなたは、人生に望む変化を起こす」というのは、本当でした。今日は、駅から遠くまで歩く用事があったのですが、これをエクササイズと街の探索のいい機会だととらえて、頑張ってきました。
春に環境が変わった方はいませんか?「5月病かな」と思ったら、この本を読んでみてもいいかもしれません。起きる気力がない朝に、ベッドでこの本を読むと効く時がありましたよ。もちろん、深刻な場合は専門家などに相談した方がいいでしょうね。
誰かが心を込めて褒めたものは、より美しく見えませんか?ジェニファーの素直な、パリ、フランス人への賛辞は、彼らにささげられた花のよう。それを読んだあなたの目には、パリがより美しく輝き、パリジャン、パリジェンヌたちの美点を探すことも容易になるでしょう。筆者は今度パリに行ったら、ジェニファーにならって、カフェでカフェ・クレームを注文し、店内や街を行く人たちを眺めようと思っています。
人生論については、『「一人が好きな人」に読んでほしい。妙に共感してしまう蛭子さんの幸福論』も人気です!