北スペイン、バスク州・ビスカヤ県の県都「ビルバオ」は、以前は鉄鋼業や造船業が盛んな工業都市でしたが、現在は観光業、サービス業に重点を置く文化都市として機能しています。都市再開発の中心となったのが、奇抜な形のグッゲンハイム美術館。「フランク・ロイド・ライトの20世紀建築作品群」として今年世界遺産に登録されたニューヨークの「グッゲンハイム美術館」と混同している人もいるかもしれませんが、ビルバオの方は、分館という位置づけです。
グッゲンハイム美術館
ビルバオ・グッゲンハイム美術館(Museo Guggenheim Bilbao)は、ソロモン・R・グッゲンハイム財団が世界各地に手掛けるグッゲンハイム美術館の分館です。設計は、フランク・ロイド・ライトでなく、フランク・ゲーリーです。
建物内は撮影禁止でご紹介できないのですが、近現代美術が専門で、中では電光掲示板を使ったアートや、アンディ・ウォーホルの作品などを見ることができました。といっても、ウリは、中身より外身の美術館。チタンの銀色と相まって、船や魚を思わせるものの、正しく脳内再生するのは不可能な、複雑な形状をしています。
美術館の裏側はこんな感じ。建物の周囲を一周すると、アップダウンが激しく、かなり時間がかかります。
建物正面では、パピーと呼ばれる、子犬のモニュメントがお出迎え。これは、すべて本物の鉢植えの花で出来ているんです。頭の先に線が何本か見えますでしょうか。スプリンクラーです。脇を通ったら雨でもないのに、霧雨が降ってきて、それと気づきました。
蜘蛛のオブジェクトは、美術館をはさんで反対側にあります。見覚えある人も多いかもしれませんね。これは、六本木ヒルズのものと同じシリーズ、彫刻家ルイーズ・ブルジョワによるものです。
住所:Avenida Abandoibarra, 2. 48009 Bilbao, Bizkaia
電話:(+34) 944 359 080
営業:10:00~20:00 (基本月曜休館で、営業の日もあり)
HP:https://www.guggenheim-bilbao.eus/ja/practical-information
スビスリ橋
ビルバオには世界遺産の運搬橋「ビスカヤ橋」もありますが、美しさで言ったらこのスビスリ橋(Zubizuri)です。その美は、遠くから眺める人にも、橋を渡る人にも味わえるものになっています。
歩いてみると、この柵と柵の間が日本では考えられないくらい開いていて、少々怖くもあるのですが、空が、川が、よく見えて、景観を楽しめるのです。
アテネオリンピックのスタジアムや、世界各地の橋を手掛ける、サンティアゴ・カラトラーバ・ヴァスによるもの。
街角の芸術
街中にも、美術作品が散りばめられています。
こちらは美術館の対岸の橋台に描かれたアート。
市庁舎前には、バスクを代表するアーティスト、ホルヘ・オテイサのオブジェ。
ほかにも、市内のいたるところに彫刻が飾られていて、突然遭遇するのです。
ズビスリ橋の右側に映っているのは、磯崎新設計のツインタワー。こんな風に未来的な雰囲気のビルが美術館近くにはちょこちょこあります。
さらに。ズビスリ橋から1本南東側に行った橋の近くにある川沿いの公園さえも何気にハイセンスです。ラブリーでポップなデザインなんですが、微妙に色合いが抑えられたところが素敵でした。
ビルバオを訪れたら、美術館だけでなく、街中に散りばめられたアートを探してみましょう。
[All photos by Shio Narumi]