古くなったNYの地下鉄車両はどこへ行くか知っていますか? バラバラに廃棄されるのでもなく、後進国で再利用されるのでもありません。想像を超えたロマンティックな場所へ、素敵な目的で辿り着くのです。
(C)All Images courtesy of Stephen Mallon and Front Room Gallery.
地下鉄車両は、いったいどこへ向かうのでしょう?
(C)All Images courtesy of Stephen Mallon and Front Room Gallery.
窓や車輪は取り外され、きれいに洗浄されました。環境保全とリサイクルのため、次の任務が待っているのです。
(C)All Images courtesy of Stephen Mallon and Front Room Gallery.
現役時は人を乗せていた地下鉄車両が、船に乗せられて、海を旅して行きます。
(C)All Images courtesy of Stephen Mallon and Front Room Gallery.
辿りついたのは、大西洋。
(C)All Images courtesy of Stephen Mallon and Front Room Gallery.
地下鉄車両は、なんと海中へ。
(C)All Images courtesy of Stephen Mallon and Front Room Gallery.
想像もつかない行為に、唖然。
(C)All Images courtesy of Stephen Mallon and Front Room Gallery.
海面に、大きな波が起こります。
(C)All Images courtesy of Stephen Mallon and Front Room Gallery.
これは不法投棄でも環境汚染でもなく、「Next Stop Atlantic」というプロジェクトなのです。
役目を終えた地下鉄車両を海底に沈めて、珊瑚礁の育成、魚のすみかにしようという目的。
デラウェア州からサウスカロライナ州にかけての大西洋沿岸で行われたプロジェクトを、フォトグラファーStephen Mallon氏が3年間撮影してきたものです。
(C)All Images courtesy of Stephen Mallon and Front Room Gallery.
珊瑚礁が育ち、ブラックシーバス、ヒラメなどの近海種が集まることを期待しているのです。
幾年月を経て、地下鉄車両には海洋生物が育ち、小さな魚、続いて大きな魚がやってくるという海洋連鎖が起こるでしょう。
多くの人間を乗せて走ってきた地下鉄車両は、海底に安住を得て、魚や珊瑚の家になるのですね。
(C)All Images courtesy of Stephen Mallon and Front Room Gallery.
なんとも大胆で、斬新なアイデアですね。そして、ロマンティックだと思いませんか?
このプロジェクトは過去10年以上続けられており、既に2500台以上の地下鉄車両が大西洋海底に沈められたそうです。2003年に沈められた地下鉄車両を、5年後にスキューバダイバーが海中で撮影した様子を、こちらで見ることが出来ます。夢は叶えられているのですよ。
(C)All Images courtesy of Stephen Mallon and Front Room Gallery.
このダイナミックな写真を3年間に渡り撮影された、Stephen Mallon氏に独占インタビューさせて頂きました。
A. 僕はいつも被写体をとらえるユニークな方法を探しているのさ。 君が言ったように、大きくて重量のあるものを写真に撮るのが好きだよ。
でも、実際にはどんなに大きいのかを見せない撮り方が好きなんだ。そうすると、被写体はいったい何だろうと興味を持って、君は写真をじっと見るだろう?
フライト1549(ハドソン川奇跡の着陸の撮影)は僕にとって歴史的な瞬間だった。死傷者ゼロで不時着水した旅客ジェット機は、航空史における唯一の奇跡だ(乗客150名乗組員5名)。それがポジティブな出来事でなかったら、撮影したいとは思わなかっただろう。僕は乗組員と時々目を交わし話をしながら、僕たちの目前で水中に沈んでいく航空機を見守ったんだ。
2.
Q.あなたの「次の停車駅は大西洋(Next Stop Atlantic)」を拝見した時、写真から溢れるダイナミックなパワーに圧倒されました。
産業廃棄物の無機質なイメージがなく、「美しさ」と「ロマン」があります。古い地下鉄車両は、次の任務を果たすために海底へ出掛けて行くようでした。
写真からは、リサイクルにおける「夢」と「可能性」を感じますが、撮影時はどのようなお気持ちだったのでしょうか?
A.
海に投げ込まれて、人工的な波を作る地下鉄の車両の時は、違った感動だったよ。地下鉄車両が暴力的ともいえるリサイクルをされている間、僕の心の中に、胸をドキドキさせている小さな子供がいたんだ。僕はこのプロジェクトを撮影することに興奮していたけど、これほど多くの国や多くの人々が共鳴してくれるとは思っても見なかったよ。
3.
Q. 写真撮影後、作品の中に「傑作」を見つけた時の気持ちを聞かせて下さい。
A. 展示会の壁にかかった作品を見た時に、発見するんだ。その時、やっと作品が完成したのだと感じるよ。
4.
Q. NYCにお住まいの理由は? NYCからインスピレーションを得ることはありますか?
A. ニューヨークのエネルギーがとても好きなんだ。様々な人々に出逢い、活動し、ひらめき、自分の創造性を広げられる素晴らしい場所だ。
5.
Q. TABIZINEのコンセプトは、「人生に旅心を」です。
日本人の読者に、メッセージをお願い出来ますか?
A. 君の情熱に従っていれば、情熱は君の道程を導いていくだろう。
Follow your passion, it will guide you.
貴重なお話を、ありがとうございました。今後のご活躍を期待しています。
(C)Stephen Mallon by Kathy Ryan
[All photo by Stephen Mallon]
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