コロナの影響を感じずにはいられない「士林夜市」の今
台湾では2020年4月から12月22日まで市中感染が確認されていなかったこともあり、公共の場でのマスク着用は必須であるものの、ほぼ日常に近い生活をおくることができています。
とはいっても、外国人観光客が多く訪れていたスポットへの影響は甚大で、「士林夜市(シーリンイエシー)」は特に大打撃を受けた夜市といえるでしょう。
最寄り駅の台北MRT劍潭駅から夜市へと向かう道からすでに、以前とは異なる光景を目にします。建物を貸したり売りに出す「租」や「售」という文字が、あちこちに。
道を歩いていても、屋台や人の数が明らかに減っているのを感じます。筆者は平日の18時頃夜市を訪れたのですが、平日で少し早めの時間とはいえ、人の数もまばらです。
美食地下街にも大きな変化が
何よりも大きな違いを感じたのは、地下にある美食街を訪れた時でした。
いくつかの店がなくなっていて、その空きスペースにバイクや自転車が停められているのです。
以前は歩いているといろいろなお店から日本語で客引きをされたものですが、今回このスペースで日本語を聞く機会は全くありませんでした。お客さんは、ほとんど地元の方だと思われます。
まずは軽く麻油麵線を「順来十全排骨」
お店が減ってしまったことに衝撃を受けつつも、士林夜市においしいものがそろっていることには変わりありません。さっそくいくつかのグルメを食べ歩いていこうと思います。
まず訪れたのは「順来十全排骨(シュンライシーチュエンパイグー)」というお店。ここは屋台ではなく食堂形式のお店なので、座ってゆっくりと食べることができます。
排骨という、骨付き豚肉が入ったスープが看板メニューなのですが、今回筆者が注文したのは「麻油麵線」と「燙青菜(茹で野菜)」で、合計70元(約260円)。
麻油麵線とは、細くてやわらかい麵線という麺にゴマ油をあえたもの。ふわっとゴマ油が香り、やさしい味わいです。茹で野菜もたっぷりと入っていて食べ応えがあります。
住所:台北市士林區基河路115號
胡椒餅といったらここ「福州世祖胡椒餅 士林店」
続いて訪れたのは、胡椒餅の人気店「福州世祖胡椒餅 士林店」です。饒河街夜市に本店を構えるお店なのですが、士林夜市にも店舗があるのです。
有名店なだけあって、ここの屋台はお客さんが多く訪れていました。店先ではお店の方が生地に餡を詰め、焼いていく様子を見ることができます。
焼きあがると、窯にくっつけるようにして焼かれた胡椒餅をどんどんと取り出していきます。きつね色に焼き上げられた胡椒餅は、見るからにおいしそう!
さっそくひとつ購入してみました。価格は55元(約205円)。熱々で、手に持つのが大変!
ひとくちいただいてみると、外側はパリッと中はふわっとした生地で、中からたっぷりの餡が顔をだします。肉汁がじゅわ~っとあふれてくるので、食べるのがちょっと大変。でも、この肉の旨味とネギのシャキシャキ感、そして胡椒のピリッとした辛さがたまらなくおいしいです。
住所:台北市士林區大南路45號
士林夜市でふわふわかき氷ならここ「辛發亭」
士林夜市で有名なかき氷店といえばここ「辛發亭(シンファーティン)」です。ただ、やっぱり人が少ない・・・。11月とはいえ、この日は日中の気温が28度くらいあったのです。かき氷が食べたくなる天気だと思うのですが、ここでもコロナの影響を感じてしまいました。
かき氷は雪のようにふわふわに削った「雪片冰系列」と、粗めに削った「刀削冰系列」の2種類があるのですが、日本ではなかなか食べることのできない雪片冰系列が特におすすめです。
今回筆者は、楓糖粉圓(黒タピオカ)雪片冰を注文しました。価格は80元(約300円)。ふわふわのミルク冰に黒糖シロップ、そしてたっぷりのタピオカが盛り付けられています。
ひとくちいただいてみると、ミルクかき氷が口の中でふわっととろけつつ、黒糖の濃厚な甘さがアクセントになっています。タピオカももちもちでおいしい!食後のスイーツにぴったりなかき氷です。
以前と比べて士林夜市の様子は大きく変わってしまいましたが、おいしいグルメがそろっていることには変わりがないなと感じました。もともと人気があった屋台などは、今でも変わらず行列ができています。今回久しぶりに士林夜市を訪れてみて驚くとともに、コロナに負けずにまた以前のような活気が戻るといいな、と思わずにはいられませんでした。
住所:台北市士林區安平街1號
[All photos by Yui Imai]
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