ラピュタのような世界、女性が悩みを吐露する場・・・岩の中のパワースポット「福石観音清岩寺」【長崎県】

Posted by: 内野 チエ

掲載日: Dec 17th, 2020

長崎県佐世保市の知られざるパワースポット「清岩寺」。別名「福石観音」とも呼ばれています。名前に「岩」や「石」がついているとおり、岩石に囲まれたお寺です。境内のあちこちに見どころが点在し、じっくり見て回ると小一時間はかかりそう。どこを切り取っても圧倒されるような風景が広がり、お参りやお出かけに最適です!

国道沿いの赤い山門を目印に


地元の人から「福石観音」と親しまれている清岩寺。佐世保駅から路線バスで5分ほどの場所に位置し、九州四国霊場第27番札所でもあります。

710年、行基によって開かれたお寺で、江戸時代まで「神仏習合」の考えがあったことから、入口には鳥居の形をした山門があります。

お寺の入口に“開運”の2対の龍神

山門をくぐり、100メートルほどの参道を抜けると、いよいよ清岩寺の入口です。

入口の両脇に龍をあしらった石灯籠があり、右側が「女龍」、左側が「男龍」です。「女龍」をよく見ると、口の中に珠を咥えていることに気づきます。一方、左側の「男龍」は口を閉じています。

龍神には「運気を開く」パワーが宿るといわれています。開運成就を祈りながら、男龍と女龍の間を通り抜けましょう。

むき出しの岩肌に囲まれた寺院


清岩寺に一歩足を踏み入れると目に入るのが、岩や石です。右側には岩壁が険しく切り立ち、野趣あふれる雰囲気です。

自然の造形に包み込まれるように建つ祈りの場には、古来より多くの人が参拝に訪れました。


本堂は岩窟に建ち、奥の壁は板ではなく、岩壁になっています。祭壇の扉の中には、年に数回の限られた機会のみ御開帳される秘仏「十一面観世音菩薩」が安置されています。


本堂の横の岩壁には「清厳」の文字が彫られています。これは明治時代に生きた佐賀鹿島出身の儒学者・谷口藍田の彫によるもの。緑の木々と苔むした岩が、悠久の時の流れを感じさせます。

受け継がれた「二十三夜塔」に秘められた思い


本堂横の岩の崖の上に「二十三夜」と刻まれた石塔があります。

同寺院では、江戸時代まで、二十三夜に供物を備えて月が出るのを待ち、月を拝んで飲食を共にする「月待ち」という行事が受け継がれてきたのだそう。

福石観音は子授け安産祈願の聖地としても認知され、二十三夜に女性たちが集まって、不妊や子育て、家庭の悩みなどを吐き出す場にもなっていたといわれています。現・住職の奥さん、松本祥子さんは「時代を超えても女性の悩みは共通する。二十三夜を現代に復活させたい」と語ってくれました。

大自然と祈りの融合「五百羅漢」


本堂の階段を下りて右側の斜面を15分ほど登っていくと、国指定名勝「平戸八景」にも選定されている「五百羅漢」があります。看板が立っているのでルートの確認を。

奥へ進むにつれ、足元がどんどん険しくなっていきます。散策にはスニーカーがオススメ。

写真右手にあるのは、室町時代~南北朝時代に建てられた五輪塔と宝篋印塔(ほうきょういんとう)。供養を目的とする石塔またはお墓であり、仏法復興を祈願した証となる遺物群です。

削り取られた岩肌に木々の根が絡み、まるでラピュタのような世界。さらにずんずん歩いていくと、洞窟に安置された五百羅漢が姿を現します。

こちらが五百羅漢。

足を踏み入れた瞬間、空気が一変するのを肌で感じました。さっきまでいた場所とまったく別の時間が流れているような、厳かな空間が広がります。

五百羅漢とは、お釈迦さまの500人の弟子たちのこと。仏教の教えを広く世の中に伝え、人々から「らかんさん」と呼ばれ慕われたといいます。

帰り道の光景。さっきと同じ風景なのに、何かが違ったように目に映るのが不思議です。

身も心もスッキリ軽やかに

五百羅漢の山から戻る道の途中、木々が開けた隙間から、佐世保の港が一望できました。佐世保港は上から見ると、港の形がカエデの葉に似ていることから「葉港」とも呼ばれています。

崖の上から見た本堂。清岩寺はさまざまな角度から景観が楽しめ、春夏秋冬と、季節によって表情ががらりと変わるのも見どころのひとつ。カメラ片手に訪れる写真愛好家も多いのだとか。

福石観音清岩寺はじっくり散策すると、1時間以上は楽しめるスポットです。軽いトレッキングくらいの運動量があるので、山を下りたときには身も心も軽くなって、爽快な気分が味わえますよ。

福石観音 清岩寺
住所:長崎県佐世保市福石町24-5
電話:0956-31-8372
HP:http://www.fukuishikannon.jp/

[All photos by Chie Uchino]

PROFILE

内野 チエ

内野 チエ ライター

Webコンテンツ制作会社を経て、フリーに。20歳で第1子を出産後、母・妻・会社員・学生の4役をこなしながら大学を卒業、子どもが好きすぎて保育士と幼稚園教諭の資格を取得、など、いろいろ同時進行するのが得意。教育、子育て、ライフスタイル、ビジネス、旅行など、ジャンルを問わず執筆中。特技はワラビ料理と燻製作り。

Webコンテンツ制作会社を経て、フリーに。20歳で第1子を出産後、母・妻・会社員・学生の4役をこなしながら大学を卒業、子どもが好きすぎて保育士と幼稚園教諭の資格を取得、など、いろいろ同時進行するのが得意。教育、子育て、ライフスタイル、ビジネス、旅行など、ジャンルを問わず執筆中。特技はワラビ料理と燻製作り。

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