第3位・・・三越(76.3)
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第3位は三越。カッコ内の数字は顧客満足ポイントになります。
今回の「2020 年度JCSI(日本版顧客満足度指数)」で、調査対象となった百貨店は、伊勢丹、そごう、大丸、髙島屋、阪急百貨店、三越です。西武百貨店(SEIBU)、阪神百貨店、松坂屋も評価の対象となりましたが、残念ながら十分な回答の数が得られなかったため、最終的には順位から外れています。
評価を下したアンケート協力者は、各百貨店を半年以内に2回以上、会計を伴う形で利用した人たちです。1企業あたりに最低でも300人以上の回答が集まるように工夫されており、回答者の好みが平均化される仕組みとなっています。
以上の顧客満足度調査を受けて、第3位に入ったブランドが三越でした。三越は株式会社三越伊勢丹のお店で、一都三県の出身者であれば日本橋(東京)の三越を思い浮かべる人も多いと思います。TABIZINEでも繰り返し取り上げてきた日本を代表する百貨店ですね。
評価の内訳を見ると、伊勢丹と三越は顧客期待(企業ブランドへの期待)がほかの百貨店を抑えてトップです。日本を代表する名門の百貨店といえば三越、そのような評価が、特に関東を中心にあるのかもしれませんね。
第2位・・・髙島屋(76.5)
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次に評価の高かった百貨店は髙島屋になります。髙島屋といえば、関東出身の筆者からすると、新宿駅にあるタカシマヤタイムズスクエアや日本橋のお店を真っ先に思い浮かべます。
しかし、もともとは京都発祥で、現在は大阪に本社を置く百貨店なのですね。順序としては、京都で創業し、大阪にお店を増やして、後に東京の日本橋に出店という順番です。その後、商いを大きくし、今では横浜、大宮(埼玉)、柏(千葉)、高崎(群馬)、岐阜、岡山、名古屋、松山(愛媛)、米子(島根)、博多(福岡)など、国内の各地に展開しています。
その勢いは海外にも及び、シンガポール、上海、ホーチミン(ベトナム)、サイアム(タイ)にお店を構えるまでに発展しました。
「2020 年度JCSI(日本版顧客満足度指数)」の評価の詳細を見ると、知覚品質(全体的な品質評価)、知覚価値(コスト・パフォーマンス)、推奨意向(口コミ)、ロイヤルティ(将来への再利用意向)と、広範囲にわたって各部門でバランス良く高い評価(それぞれ第2位)を得ています。
このランキング結果にも表れているように、髙島屋は多くの人に「セカンド・ベスト」というイメージを持たれているのかもしれませんが、競争の厳しい百貨店業界においては、その広範囲に及ぶバランスの良い評価は、すさまじい偉業といえそうです。
第1位・・・阪急百貨店(77.8)
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トップは阪急百貨店でした。関東で生まれ育った人たちからすると、ちょっと縁遠い印象ではないでしょうか。そのため、阪急百貨店のブランド力が肌感覚で伝わってきませんが、大阪を中心に関西出身者に「阪急」のイメージを聞くと、総じて素晴らしい答えが返ってきます。
今回、あらためて大阪出身者たちに話を聞いてみても、「大阪でおしゃれをしてデートに行くとしたら阪急のうめだ本店」「デパ地下も阪神より阪急」など、「阪急」は特別というリアクションが、その人なりの言葉で返ってきました。
百貨店部門ではないですが、「2020 年度JCSI(日本版顧客満足度指数)」の他の部門(近郊鉄道部門)では、阪急鉄道が圧倒的強さで顧客満足度1位を獲得しています。阪急鉄道については、伊原薫著『関西人はなぜ阪急を別格だと思うのか』(交通新聞社新書)という本もあるくらい。
阪急電鉄は阪急阪神ホールディングスの子会社で、阪急阪神ホールディングスは阪急百貨店を子会社として束ねるエイチ・ツー・オー・リテイリングの主要株主の1つです。私鉄が鉄道事業と並行して沿線の住宅や娯楽を開発し、沿線をブランド化していくビジネスモデルのトップランナーがまさに阪急。沿線に暮らす人たちの生活全てを取り込んだ圧倒的な顧客満足は、この先も長く変わらなそうですね。
それこそ東京周辺で生まれ育ち、「阪急」のブランドがいまいちピンとこない人は、新型コロナウイルス感染症の影響が収まって、東京と大阪を自由に行き来できる時代が戻ったら、旅行の目的地の1つに、阪急百貨店を入れてみるといいかもしれませんね。コンコース広場や9階の祝祭広場は、見応え十分ですよ。
[参考]
※ JCSI 日本版顧客満足度指数 第4回調査 詳細資料 – サービス産業生産性協議会
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