
泰・泰国

今回は、ちょっと難易度が上がります。「泰」もしくは「泰国」と書くのはどの国か、わかりますか?
言われてみれば、そのとおりなのですが、すっと読み方が出てくるでしょうか?
「やす?」と筆者は読んでしまいました。漢字辞典『漢字源』(学研)で「泰」を調べると「タイ」と載っています。そういえば「安泰」などは「タイ」と読みますよね。

答えはもうわかりました。タイです。漢字の由来は、「泰」の字を上から「三」「人」「水」に分解するとわかりやすいです。真ん中に見られる「水」と「人」は左右の手で水をすくうイメージ。上の「三」は「大」を意味したそうで、水をたっぷりと両手ですくうという意味です。
結果として「おおらか」「ゆったり」「やすらぎ」「安心」などの意味が込められているようです。『漢字源』にも、
<国名。タイのこと。▷Thaiの音訳。>(『漢字源』より引用)
と書かれています。なんだか世界屈指の観光国らしい漢字ではないですか?

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ほほ笑みの国タイの観光で「おおらか」「ゆったり」「やすらぎ」は常に挙げられるキーワードですし、バンコク湾に注ぎ込むチャオプラヤ川の流れ、雨期の激しいスコール、タイの旧正月の水かけ祭りなど、水のイメージも十分にあります。
ある意味で、音訳表記した国名の中で最高傑作のひとつと言えるかもしれません。
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PROFILE
坂本正敬
Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター
翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。
翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(
https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。