鳥取の日本酒はシャープな辛口が主流
セミナーに登壇するのは鳥取市内にある谷本酒店の店主、谷本暢正氏。利酒師やソムリエの資格を持ち、独自の視点でセレクトした日本酒が並ぶ酒店は、県外からも足を運ぶファンがいるほど人気なのだとか。
冒頭では鳥取の地酒「辨天娘 強力」が紹介されました。粒が大きく、酒造りに好適な鳥取オリジナル酒米「強力(ごうりき)」を使用した日本酒です。強力は米の中心にある白い部分「線状芯白」を持っており、その性状から酒米の王様として知られる「山田錦」のルーツとも考えられているようです。手がける太田酒造場では、米の生産者ごとに仕込みを行っていて、タンクを分けて生産。ブレンドすることなく出荷するため、田んぼによって異なる米の個性を楽しめるのが特徴なのだそう。
セミナーに合わせて届けられた「辨天娘 強力」を試飲してみます。白ワインのように淡く、緑がかった黄色が印象的。口当たりは実にシャープ。辛口が際立ちながら、口の中に深みあるコクや旨味もしっかり広がりました。これは魚料理や和食とマリアージュしたくなる味わい。
暑い夏は“ぬる燗”がおすすめ
キレッキレの辛口なので、冷酒に向いているのかと思いきや、谷本さんのおすすめは「熱燗」とのこと。
「熱燗にすることで、口当たりがまろやかになります。辛口が主流の鳥取の日本酒には適した飲み方。体温と同じくらいの温度のアルコールは身体への負担も少ないので、暑い夏は40°C程度に温める“ぬる燗”がおすすめです」(谷本さん)
早速ぬる燗にトライ。たしかに冷酒よりもぐっとまろやかになった印象です。それでいてシャープ感は残っているので、飲み心地スッキリ。連日猛暑の今こそ、この飲み方は良さそう。
生酛造りで仕込んだ麴甘酒
続いて鳥取の甘酒「米麹甘酒 発酵の森」が登場。自然界の乳酸菌を取り込んで発酵させる伝統的な製造方法「生酛造り」で仕込んだ麴甘酒です。時間も手間もかかるものの、蔵に凄む菌を利用するため、味に地域性を出せるのが魅力なのだそう。
かれこれ多くの甘酒を制覇してきた筆者ですが「生酛造り」は初めて。ドキドキしながら口に運んでみると、その旨味の濃さに驚くばかり! ボディ感が強めながら、甘みは繊細でマイルド。そのまま飲むのはもちろん、料理などにも威力を発揮してくれそう。
甘酒をさっぱり楽しむアレンジレシピも披露されました。甘酒とソーダ水を1:1で割る「甘酒のソーダ割」は喉越し抜群で、清涼感たっぷり。夏の朝やお風呂上がりにピッタリな一杯です。
甘酒で作るフルーツポンチもおすすめされました。甘酒を注いだグラスや器に好みのフルーツを入れるだけで完成です。甘党の人はシロップを入れても良さそう。筆者はプラムとブルーベリーでトライしましたが、果物の酸味と甘酒のほのかな甘みが絶妙に調和し、立派なスイーツに。
今回ご紹介した地酒と甘酒は下記URLから購入可能です。遠方を訪れることが何かと憚れる今。こんなときは、旅してみたい地域の地酒や食文化を通して、気分を上げてみるのはいかがでしょうか。