金武町とは
那覇空港から車で約1時間30分(高速道路を使用すれば約45分)で到着する沖縄県「国頭郡金武町(きんちょう)」。沖縄本島の中央に位置し、これぞ沖縄!といった美しい海の風景はもちろん、鬱蒼と生い茂る緑が街中にあふれ、自然たっぷりのロケーションです。
米軍基地「キャンプ・ハンセン」があるので、繁華街は異国情緒あふれる光景が広がっているのも特徴の一つです。
金武町の繁華街「新開地」でディープな街ブラを
そんな金武町の個性を一番感じられるスポットが、キャンプ・ハンセンの向かいに広がる「新開地」。
かつてはアメリカ兵用の歓楽街として栄えた同所は、現在も金武町随一の繁華街としてさまざまなお店が営業を続けています。カラフルな建物があちこちに並び、看板はほぼ英語。ドル表記のメニューもあり、まさに異国の雰囲気。そのなかにあってどこか昭和感のある懐かしい空気も漂う、そんな独特な世界が広がっているのです。
どの風景を切り取っても絵になる新開地は、映画やミュージックビデオなどにもよく登場しているのだとか! 中でも、BTS『LET GO』のMVには新開地の風景が多数登場。フラフラと散策しているだけで、「動画で見た風景!」と楽しくなること間違いなしです。
また、「新開地」のおもしろさは、昼と夜の雰囲気が大きく違うこと! 昼間は、広場でボール遊びをする少年がいたり、日陰でのんびりお茶を飲んでいる人がいたりと、ほのぼのとしていますが、日が暮れてくるとその様子は一変。お店のネオンがポツリポツリと輝きだし、行きかう人々も外国の方ばかり。週末になると、まるでお祭りのようににぎわい、ここが沖縄だということを忘れてしまうほど!
住所:沖縄県国頭郡金武町金武
絶対に食べたい金武町グルメ
この金武町は、タコライス発祥の地ということを忘れてはいけません。今回は、新開地にある「ホワイトキッチン」へ。いつ来ても味が変わらないと、地元の人々から愛され続けているお店です。
店内には、カウンターとテーブル席があり、券売機で食券を購入して注文をします。
店内は明るく、店員さんも親切に対応してくれるので、初めてでも安心して食事を楽しむことができます。
メニューの種類も豊富なので誘惑だらけではありますが、まずは、基本の「タコライスチーズ」を注文。サーブされたインパクト大の料理に、間違えて大盛を頼んでしまったのかとメニューを見直してしまったほど。なんと、これで500円という衝撃価格です。
というのもタコライスは、「米兵たちが安価でお腹一杯食べられるように」という想いから誕生した料理。このガッツリ感があってこそ「タコライス」というわけなのです。さらには、ドリンクのサイズにもご注目を。SとLの2種類を注文しましたが、Lサイズはもはやメガサイズ!
たっぷりのチーズからチラリと顔を出すタコミートが、スパイシーでパンチがあり、白米との相性が抜群。一度食べたら、手が止まらなくなるようなクセになる味わいで、ソースで味変が楽しめるのもさらに楽しいところ。辛さと酸味が絶妙なホットソースやケチャップ、マヨネーズソースなど、食べながら追加していけば、最後まで飽きることなく食べることができます。
価格:500円(税込)
◇ソフトドリンク
価格:Sサイズ150円/Lサイズ250円
こちらは、どんな料理なのか気になり注文した「ビーフフライライス」。いわゆる炒飯でしたが、ガーリックに胡椒と味も濃く、ヤミツキになりそうな味わい。こちらもマヨネーズソースがよく合いますよ。
元祖の味「キングタコス1号店」も向かいにあり、食べ比べをしても楽しいかもしれません。カロリーのことは一旦忘れて、衝撃のボリューム感とおいしさを楽しんでみては?
価格:500円(税込)
住所:沖縄県国頭郡金武町金武4244-2
電話番号:098-968-4550
また、アメリカンな食べ物といえば、ハンバーガー! 新開地には、キャンプ・ハンセン退役軍人が経営するお店「THE BURGER BARN(バーガーバーン)」があり、これまたメニューがとてもユニークなんです。
「ハンバーガー」と「小さめハンバーガー」があり、その違いは、パテが2枚か1枚かだけ。そのほかに、「チーズハンバーガー」、「ベーコンハンバーガー」、「ベーコンチーズバーガー」なのシンプルな展開ですが、驚くのはここから。なんと、全16種類のトッピングがすべて無料という、太っ腹なサービスが待っているんです。もちろん全部入りもOK!
レタス、ピクルス、トマト、オニオン、ピーマン、グリルオニオン、グリルキノコ、グリルマッシュルーム、パラペーニョ、マヨネーズ、ケチャップ、マスタード、ペッパー、ステーキソース、バーベキューソース、ホットソース
写真左が「小さめベーコンバーガー」に、レタス、トマト、パラペーニョ、バーベキューソースをトッピングしたもので、写真右が「ベーコンチーズバーガー」。小さめの方が大きくなってしまうという珍事件が起きてしまいましたが、これもまた「THE BURGER BARN」らしい楽しみ方。
つなぎは一切使わないというこだわりのパテは、石垣牛を使用しとてもジューシー。肉の旨みがギュッと詰まっています。カリカリと音を立てるベーコンは、堂々とバンズからはみ出しなんとも贅沢。
「一日中朝ごはん」というメニューもあり、時間関係なくサンドやイングリッシュマフィンのメニューも注文することができます。このユルさがたまりません。
価格:850円(税込)
◇小さめベーコンバーガー
価格:600円(税込)
◇一日中朝ごはん ベーコン卵とチーズ
価格:400円(税込)
住所:沖縄県金武町金武4145‐2
旅の途中で一息入れたくなったら、国道329号線沿いに位置する「richamocha cafe (リカモカ カフェ)」へ。こちらのカフェでは、自家焙煎のこだわりコーヒーとともに、金武町の特産品「ターマーム(田芋)」を使用したアイスクリームが味わえます。この「田芋」とは、水田でできる里芋の一種なのだとか。
今回は、「金武町産田芋&バタークッキーアイスクリーム」に、「タイモ田楽」をトッピングした田芋づくしメニューを注文してみました。
「沖縄の芋=紅いも」というイメージが強く、色鮮やかなアイスが出てくるとかと思いきや、意外にもシンプル。後味に芋の素朴な風味を感じます。トッピングした「タイモの田楽」は、栗きんとんのようで、田芋ならではのほくほく感とねっとり食感が新感覚。甘さもほどよく、心がほっこりするようなおいしさでした。
ドリンクの種類はかなり豊富で、その中でもとくに「ジャスミンミルクティー」は人気なのだとか。こちらのカフェも、やはりドリンクは大きめ。たっぷりと飲んで、ホッと一息。旅の疲れを癒すことができますよ。
価格:350円(税込)
◇タイモ田楽(トッピング)
価格:100円(税込)
◇ジャスミンミルクティー SSサイズ
価格:370円(税込)
なかなか都内では食べることができない「田芋」だからこそ、金武町でたっぷりと食べておきたいところ。「カフェレストラン 長楽(ちょうらく)」では、珍しい品が並ぶ「田いも膳」が味わえます。
実はこの「田芋」は水田の中で子芋を増やすため、子孫繁栄をもたらす縁起物として、沖縄のお正月などお祝いの場には欠かせない食材なのだとか。
お膳にびっしりと並んだ料理は、どれも見たことないものばかり! 味の想像もつかずワクワク感が止まりません。
存在感を放つこの料理は「むじ汁」といって、田芋の茎を使用したみそ汁。シャキシャキと食感がよく、甘味のあるお味噌とよく合います。
こちらは、まるで呪文のような名前の料理の「どぅるわかしぃ」。その意味は、なんと「泥沸かし」。田芋を煮ている様子が、泥を煮ているように見えたため、そう名付けられたのだとか。それだけ煮込んでいるということで、田芋のおいしさがよくわかる一品です。素朴な味わいですが、はっきりと感じるほくほく感と特有の粘り気は、ほかの芋とはまた違うおいしさです。
サクッとした食感がコロッケのような「どぅる天」、甘辛の味付けとカリッとした食感が大学いものような「田いもの唐揚げ」と、同じ揚げ物でも、まったく違うので食べることが楽しくなります。
今まで食べたことがないメニューに大満足。これぞ旅の醍醐味です。
価格:1,820円(税込)
どぅるわかしぃ、ずいきの肉巻、むじ汁、田楽、どぅる天、田いもの唐揚、県産マグロの刺身、もろみ酢、サラダ
また、田芋はチーズとの相性が抜群! その相性をじっくり楽しめる「田芋チーズケーキ」や、田芋あんをたっぷりと包み込んだ「田芋パイ」など、スイーツも絶品ですよ。
価格:1ピース 324円(税込)
◇田芋パイ
価格:1ピース 324円(税込)
店内の窓からはオーシャンビューの美しい景色が広がり、最高のロケーション。縁起物を食べて景色を眺め……。そんな素敵な時間を過ごすことができるお店です。
金武町の歴史を学ぶなら
金武町を語る上で欠かすことのできない人物が、「當山 久三(とうやま きゅうぞう)」です。1899年、沖縄初となる海外移民(ハワイ)を実現させ、北米や中南米と、多くの沖縄県民を送り出しました。「移民の父」として、今もなお町民から敬愛を受けています。
そんな當山久三の業績や移民に関する資料が展示されている「當山記念館」には、立派な像も立ち、いかに偉大な存在なのかがうかがえます。余談ではありますが、金武町の皆さんは、写真撮影をする際このポーズをする人が多いのだとか!
記念館は高台に位置しているので眺めもよく、穏やかな街並みを見渡すことができますよ。
住所:沖縄県国頭郡金武町金武45-3
開館時間:9時~16時(無料)
休館日:土、日、祝日(慰霊の日)、年末年始
HP:https://www.town.kin.okinawa.jp/sp/chosei/4135/4136
清らかなエネルギーを体いっぱいに感じよう
海を中心に計画を立てがちな沖縄の旅ですが、金武町には、街中にこそパワーがみなぎるような美しく清らかな場所が点在しています。
沖縄戦によりほとんどが焼失してしまった寺院の中で、戦火を免れたという「金峯山観音寺(きんぽうざんかんのんじ)」。16世紀に、日秀上人によって創建されました。現在の観音寺は、昭和17年に再建されたもので、戦前の貴重な木造建築です。
参拝を済ませると、おみくじを発見。しかも20円という驚きの設定です。引いてみると、なんと大吉!
裏は英語表記になっていました。さすが基地の町。このようなローカル感もたまりません。
この「観音寺」の境内には、さらに聖なる場所があります。本堂横にひっそりと佇む「日秀洞(にっしゅうどう)」です。こちらは鍾乳洞になっており、観音寺鎮守「金武権現(熊野三所権現)」と「水天」が祀られています。
一歩足を踏み入れれば、そこは別世界。ひんやりした空気とともに、厳かな雰囲気が漂います。拝所で手を合わせると、心がまっさらになるような感覚に。階段も急で薄暗いので躊躇しそうですが、聖地の強いパワーを感じることができるはずです。
住所:沖縄県国頭郡金武町金武222
電話番号:098-968-2411
日秀洞開門時間:7時~16時
※マナーを守って拝観ください。
HP:http://www.town.kin.okinawa.jp/guide/213/214
続いては、どんな干ばつに見舞われても決して枯れることがないことから「長寿の泉」と呼ばる、豊富な湧き水が流れている「ウッカガー(金武大川)」。
水道が普及する前は、飲み水や生活用水として地元住民の生活を支えていました。現在も、美しい水がとめどなく流れ落ち、元旦には、若水を汲みにくる人でにぎわうのだそう。
冷たい水で手を洗ったり顔を洗ったりすると、フッと心が軽くなったような清々しい気持ちになります。人ぞれぞれいろいろなものを洗っているそうですが、興味深かったのがパワーストーン。ウッカガーで洗うと、浄化されるのだとか。
水の音を聞いたり、きらきらと流れゆく様子を見ているだけでも心が癒されますが、その横には、雰囲気のある鳥居が。奥には祠や拝所もあり、神秘的な雰囲気に包まれています。青い空に美しく流れ続ける湧き水、そしてその土地に寄り添うように佇む拝所。ただならぬパワーを感じずにはいられません。
金武町には「日秀洞」のほかに、もうひとつの鍾乳洞「金武鍾乳洞」がありますが、こちらは日本初の「古酒蔵」。洞内は18℃と一定の温度が保たれているので、その環境を活かして多くの泡盛や沖縄の発酵食品「豆腐よう」が貯蔵されています。
泡盛は貯蔵することで、古酒として芳醇な香りやまろやかさが増していきます。ここでは、誰でも泡盛をボトルキープして、5年、12年、20年と貯蔵してもらうことができますが、これらの手続きは現地受付のみ。この特別感がたまりません。
鍾乳洞という神秘的な場所に、所狭しと並んだ泡盛の数は圧巻。最高の環境で静かに熟成をつづけ、古酒となって購入者の元へと帰っていく……。ラベルにはそれぞれ購入者の想いなどが綴られており、これを飲むときには、一体どんな世の中になっているのか、どんな自分になっているのか。なんともロマンが広がるスポットです。
金武鍾乳洞の中に入るには見学ツアーの予約が必要です。ボトルキープも含め、すべての申し込みは、「カフェレストラン 長楽」内にある「龍の蔵」で。この鍾乳洞で熟成した古酒を購入することも可能です。試飲もできるので、ぜひ店員さんに声をかけてみてください。その日によって飲める泡盛は違いますが、一般的な泡盛と古酒の違いは一目瞭然。泡盛初心者の筆者も、味の奥深さの虜になってしまったのでした。
住所:沖縄県金武町字金武245番地
■龍の蔵(見学受付)
住所:沖縄県金武町字金武4348-15(カフェレストラン長楽内)
営業時間:11時~16時(火曜日定休)
TEL:098-968-8581
※見学の際は直接現地へ向かわず、必ず龍の蔵へ立ち寄ってください。
※試飲は、社会情勢により変更の可能性があります。
■見学ツアー
見学料:大人400円、中学生300円、小学生200円
開園時間:9時〜16時45分
見学予約・問い合わせ:098-968-8581
HP:https://www.interlink-okinawa.com/
早起きをして、大自然の中で感動的な体験を!
広大な敷地の中で、アクティビティやアウトドアが体験できる「ネイチャーみらい館」。ここでは、なんと海から日の出を眺めることができる「早朝カヌー」が楽しめます。カヌー初体験でも心配は無用。インストラクターさんがしっかりと教えてくれるので安心です。
しらじらと夜が明けていくなかカヌーに乗り込み、日の出がよく見える場所へと向かいます。ふと海へ視線を落とすと、底が見えるほど透き通っていて、海の美しさを堪能できるのも楽しみのひとつ。
先ほどまで暗かった空が、じんわりとオレンジ色に染まり……。水平線から太陽がポコッと頭を出したと思えば、そのあとは瞬きすらもったいないような時間が過ぎていきます。
何もさえぎるものがない海の上で、壮大な光景が目の前で繰り広げられ、言葉を失います。暗かった空が、一気にやさしい朝へと変化していく。こんなにも特別な時間が過ごせるのも、自然が豊かな金武町ならでは。
日の出を見届けたら、そのまま億首川(おくくびがわ)へ移動。ここではマングローブ林を観察しながら、バードウォッチングも楽しむことができるのです。むき出しになったマングローブの支柱根や、自由に羽ばたく野鳥を眺めていると、まるでジャングルに迷い込んだかのよう。
鳥のさえずりもあちこちから元気よく聞こえ、川の中にぽっかりと浮かんでいるような感覚になります。
カヌーに乗っている間は、ダイナミックな自然の美しさにただただ感動するのみ。「疲れている」そう感じている人こそ早朝カヌーはおすすめです。旅先で体験できる究極の贅沢なのではないでしょうか。
住所:沖縄県国頭郡金武町金武11818-2
電話番号:098-968-6117
※早朝カヌーに関する問い合わせはネイチャー未来館まで
HP:https://www.nature-kin.com/
暮らすように過ごすホテル「kugani-ya.」
今回の宿泊は、真っ白な外観がリゾート感満載のホテル「kugani-ya.(くがにや)」へ。5室だけのコンパクトなホテルですが、スタイリッシュでおしゃれ。ホテル全体的に掃除が行きわたり、ホコリ一つなくピカピカです。
使い勝手の良い共同キッチンやランドリーもあるので、長期滞在も快適に過ごせそう。バルコニーからは海も見えるので、オリオンビール片手にまったりと過ごすのも楽しいはずですよね。
客室にはキーがなく、宿泊者だけが知る暗証番号を入力するだけ。キーをいちいちフロントに預けたり、カードキーをどこにしまったのかわからなくなったりなんていう、旅の小さなストレスもありません。
客室内はとてもシンプル。シャンプー、コンディショナー、ボディソープなどの基本的なアメニティはありますが、化粧品や部屋着などはないので、持参する必要があります。
フロントに常に人がいるわけではありませんが、必要なものはロビーにあり、困ったことがあれば、電話で対応してもらえます。このほどよい距離感が心地よく、大人の旅に‟ちょうどいい”を感じる人も多いのではないでしょうか。
電子レンジがあるので、金武グルメをいろいろ持ち込んでも盛り上がることでしょう!
住所:沖縄県国頭郡金武町金武3388番地 2F
電話番号:098-989-6870
チェックイン:15時~、チェックアウト10時
HP:https://www.kugani-ya.jp/
予約:https://travel.rakuten.co.jp/HOTEL/176702/176702.html
今後は、町内初の温泉ホテル「ASBO STAY HOTEL」もオープン予定で、楽しみが増える金武町。発展を続けながらも、散策すれば赤瓦の古民家があったり、生活のなかに人々が祈りを捧げる場所があったりと、観光地としての沖縄とは少し異なった景色を見ることができるはず。ちょっと個性的な沖縄旅を、金武町で体験してみませんか?
[All Photos by koume]