【実はこれが日本一】次の駅までたったの200m!長崎県「松浦鉄道」の最短記録

Posted by: 坂本正敬

掲載日: Jun 7th, 2022

意外な日本一を紹介するTABIZINEの連載。今回は、旅の移動に不可欠な存在、鉄道に関する日本一を紹介します。

長崎県佐世保の風景
(C) Shutterstock.com

 

日本一の「松浦鉄道」

松浦鉄道MR-600形気動車 image by Atsasebo in Wikipedia

全国津々浦々に敷設された鉄道網を細かく見ると、いろいろな日本一が各地に確認できます。今回の日本一は、九州の長崎県と佐賀県を走る「松浦鉄道」に関する話です。

筋金入りの鉄道ファンであれば、この情報だけでなんの日本一かわかるはず。しかし、一般的な人の感覚で言えば、佐賀県の有田や伊万里、長崎県の松浦や平戸、佐世保あたりに暮らしている人を除いて、この路線になんの日本一があるのか、見当もつかないですよね。そもそも松浦鉄道という存在すら知らない人がほとんどではないでしょうか。

松浦鉄道とは、佐賀県の有田から長崎県の佐世保まで、「U」の字を逆さにしたような路線を走る鉄道になります。

鉄道とは、

<専用の用地にレールを敷設した線路上を動力を用いた車両を運転し、人や物を迅速・安全に運搬する陸上交通機関>(小学館『日本大百科全書』より引用)

をいうそうです。

さらに鉄道は、普通鉄道と特殊鉄道(モノレール、ケーブルカーなど)に分かれますが、あくまでも今回は、専用の用地を走る普通鉄道の日本一の話です。

普通鉄道の駅として日本最西端にある

松浦鉄道たびら平戸口駅駅舎 image by Atsasebo in Wikipedia

まず、松浦鉄道の路線には日本最西端の駅があります。長崎県の北西にある「たびら平戸口駅」です。

東経129度と130度の間に位置し、地図上でその経線をなぞっても九州には陸地がありません。かろうじて、甑島列島や宇治群島があるくらい。さらに南へ進むと奄美諸島にぶつかります。

(鉄道事業法による)普通鉄道は奄美諸島に走っていないので、言い換えれば、九州にはたびら平戸口駅より西に駅がありません。

「奄美諸島より西にある沖縄にはゆいレールが走っているじゃないか!」との声もありますが、あくまでも普通鉄道の駅としての日本一ですから、沖縄都市モノレール(特殊鉄道)のゆいレールは除外されます。

駅と駅の距離が距離0.2km

松浦鉄道西九州線中佐世保駅入口 image by UE-PON2600 in Wikipedia

もう1つ、松浦鉄道が誇る日本一は、駅と駅の距離の短さ日本一です。こちらの記録も普通鉄道での話です。道路上(軌道上)を走る路面電車を含まない、専用の用地を走る普通鉄道として比べたときに、松浦鉄道の佐世保中央と中佐世保の距離0.2km(200m)が最短とされています。

同じ九州の福岡県を走る筑豊電鉄の黒崎駅前・西黒崎間も0.2km(200m)と短いです。しかし、2021年(令和3年)10月1日から4年間にわたって、西黒崎駅の営業が休止されています。

国道3号黒崎バイパスの建設工事のためで、一時的な話ですが、少なくとも執筆時点で、普通列車としてもっとも短い駅と駅の距離は、松浦鉄道の佐世保中央・中佐世保の0.2kmなのですね。

父の実家が佐賀にある筆者は、帰省のたびに佐賀と長崎の旅行を楽しんだので、あらためて聞くとどうやらこの路線、小さいころに乗っていたそうです。

しかし、まったく記憶がないので読売新聞の「鉄路ノート」で駅と駅の動画を確認すると、200mの距離はあっという間。それでも歴史を聞けば、佐世保の都市部なので、この距離でも駅の設置に意味があったようですね。

以上、日本一の称号を誇る松浦鉄道を紹介しました。佐賀の西部や長崎の北部を移動する際には、松浦鉄道を旅の足に選んでみてください。レンタカー移動とは異なるユニークな思い出が残りそうですね。

松浦鉄道佐世保中央駅(エレベーター設置後) image by Atsasebo in Wikipedia

[参考]

松浦鉄道には3つの日本一がある!?~“MR”の愛称で親しまれるローカル線~ – まっぷる

中佐世保駅 – 松浦鉄道

玄界灘を臨む海岸線、田園地帯も市街地も…暮らし支える松浦鉄道 – 読売新聞

[鉄路ノート]松浦鉄道(長崎、佐賀県) – 読売鉄道

鉄・路をゆく第40回②~海沿いを最西端へ松浦鉄道 – 日刊ゲンダイ

筑豊電鉄「日本一」西黒崎駅が4年間休止へ 道路工事でホームの一部撤去 – 鉄道プレスネット

PROFILE

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

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