村全体が盛り上がるキリスト受難劇で有名な村「オーバーアマガウ」
ミュンヘンから南へ約90km、車で1時間半程の場所に位置する小さな村「Oberammergau(オーバーアマガウ)」。冬はスキーリゾートとしても知られる山岳地帯にあり、10年に1度開催されるキリスト受難劇『パッションプレイ』でも世界的に知られています。
キリスト受難劇『パッションプレイ』は、2020年に開催予定だったところがコロナ禍の影響で2022年に延期となり、今年10月まで上演されています。詳細は別記事で紹介していますので、ぜひそちらをご覧ください。
今回は、リラックス感漂うのどかな村「オーバーアマガウ」の見どころを紹介します。
屋外美術館のよう!フレスコ画に彩られた町
背後にドイツ・アルプスの山々がそびえ、豊かな自然に恵まれたオーバーアマガウ。人口は約5千人の小さな村で、1時間もあれば歩いて回れるほどです。
まず目に飛び込んでくるのは、多くの家屋や建物がフレスコ画で彩られていること。キリストにまつわる壁絵のほかにも、ドイツらしい童話の壁絵などがあり、町を散策しているだけでも屋外美術館にいるような気分に。
18世紀に描かれた有名なフレスコ画
この町のフレスコ画で特に知られているのは、キリストに処刑を命じたと聖書に記されている「ポンテオ・ピラト」の名がついた、「Pilatushaus(ピラトゥスハウス)」。1784年に描かれた壁絵が継承されており、建物の南側はピラトがキリストに処刑を命じるシーンが、東側にはキリストの復活シーンがそれぞれ描かれています。
ピラトゥスハウスは美しい庭にも定評があり、幾何学的に構成された生垣には夏になると草花が彩りを添え、フレスコ画がさらに印象的になるそう。夏にオーバーアマガウを訪れる際は、美しいガーデンの様子もぜひチェックしてみてくださいね。
世界的に有名な木彫りの町
フレスコ画とともにこの村で有名なのが、中世時代後半から続く長い歴史を持つ伝統工芸「木彫り細工」です。農業だけで生計を立てるには厳しい気候だった山深いこの地で、住人たちは副収入を得るために豊富な木材を使って木彫りを始めたのだといいます。
現在ではアート作品として認められるものもあり、「神の手」と称される職人もいるそうですよ。
木彫りのお土産屋さんが点在
歩いていると、木彫りの人形が飾られている建物や木彫りのお土産屋さんも多く目にします。アンテーク風の可愛い人形や動物の形をした置物のほか、スプーンやフォークなどのキッチン用品、クリスマスのオーナメントなど、さまざまな商品がありました。手頃な金額のものも多いので、ちょっとしたお土産にもおすすめです。
この地をより深く知るなら「オーバアマガウ博物館」へ
村でひと際目を引くこの青い建物は、オーバーアマガウの歴史を伝える「オーバーアマガウ博物館」。実はこの外壁は2000年と2010年に開催されたパッションプレイで演者が着ていた衣装を特別に加工したもので、2022年のパッションプレイ上演期間中のみ施されている、いわば特別展示なのです。
よく見ると一着ずつの布が繋ぎ合わされて、博物館の建物を囲うように組み立てられています。2022年10月16日(日)までの期間限定のモダンな仮の姿。こちらの外壁は解体後に小さなブロックに分けて販売されるそうです。廃棄せず記念品として残そうという、サステナブルな考えがこういったところにも伺えます。
オーバーアマガウの魅力を凝縮した展示の数々
博物館内部は、この地に古くから根付く木彫り細工の歴史や、キリスト教の世界が木彫りの人形で表現された展示、中世時代の歴史や、パッションプレイの衣装や舞台道具の展示など、さまざまなテーマでオーバーアマガウが紹介されています。この村の魅力をギュッと凝縮した空間でした。
インターラクティブな特別展示も期間限定で実施中
博物館の中にあった、インターラクティブなディスプレイの特別展示も印象的でした。うす暗い部屋に天井から細い糸のカーテンが円筒状にぶら下がっていて、その中に人が入ると音が鳴りわたり、上に向かって人が登っていくようなイルミネーションの演出が。一人ずつ中に入れるのですが、カーテンの中はどこか神秘的な雰囲気に。
2022年はパッションプレイの開催年ということもあり、特に注目が集まるオーバーアマガウ。のんびりした雰囲気に自然と癒されるような、リラックス感漂う村でした。
[all photos by minacono]
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[参照]
・Oberammagau Museum(英語): https://www.oberammergaumuseum.de/en
取材協力:ドイツ観光局