先住民時代から継承する文化、伝統、歴史のあるメキシコには、ユネスコが指定する27の世界文化遺産と、4つの自然遺産があります。そのなかから、選りすぐりの10カ所を選んで紹介する記事その2です。ちなみにその1では、文化遺産に指定される古代遺跡を紹介しました。
この記事では、メキシコでぜひ訪れたい文化遺産と自然遺産を紹介します。
メキシコシティ歴史地区とソチミルコ (1987年登録)
1519年にスペインからの征服者たちが現れるまで、メキシコシティはテスココ湖に浮かぶアステカ王国の水上都市でしたが、征服後、湖は埋め立てられました。神殿は破壊され、その石材を使い、ヨーロッパ様式の建築が建てられ、現在のメキシコシティの歴史的中心地区、セントロ・イストリコの姿があります。
メキシコシティの中心部に突如現れる古代遺跡、テンプロ・マヨール © Miho Nagaya
そんなメキシコシティが水上都市だった頃のなごりが、メキシコシティの南部にあるソチミルコで、歴史地区とともに世界文化遺産に登録されています。
マリアッチ楽団の船が訪れ、ラテンらしいにぎやかさが特徴 © Miho Nagaya
ビールを飲みながら船遊びできます © Miho Nagaya
メキシコ国立自治大学の大学都市の中央キャンパス (2007年登録)
メキシコシティ南部にある、およそ30万人の学生や教職員が通う、ラテンアメリカ最大級の大学の中央キャンパス。優れた都市計画により、世界文化遺産に登録されています。ファン・オゴルマンによる世界最大のタイル壁画や、シケイロスやディエゴ・リベラといったメキシコの巨匠画家の壁画を堪能できるのも魅力。
ファン・オゴルマンによる世界最大のタイル壁画はメキシコの過去から現在までを表現 © Miho Nagaya
ルイス・バラガン邸と仕事場 (2004年登録)
20世紀を代表する建築家ルイス・バラガン(1902〜1988)が、1948年に建立したメキシコシティにある自宅兼スタジオ。モダンなのに温かみのある建築にファンが多いです。
グアナフアト歴史地区と鉱山 (1988年登録)
丘の傾斜に建ったカラフルな家々による、まるで絵本のような風景と鉱山だった頃に使われていたトンネルやくねった路地による、迷路のような独特な景観が見どころ。
グアダラハラのオスピシオ・カバーニャス (1997年登録)
1791年に設立した、ラテンアメリカで最も古く、規模の大きい総合病院で、現在は文化施設として機能しています。メキシコの巨匠画家、ホセ・クレメンテ・オロスコによる天井や壁にダイナミックに描かれた壁画が見どころです。
大迫力のホセ・クレメンテ・オロスコによる壁画 © Miho Nagaya
テキーラの古い産業施設群とリュウゼツランの景観 (2006年登録)
グアダラハラ州のテキーラ村、テキーラの原料となるブルーアガベ(リュウゼツランの一種)の畑が壮観。これぞメキシコという風景です。
テキーラ鉄道に乗ってテキーラ工場の見学もできます。
シアン・カアン (1987年登録)
国際的ビーチリゾート、カンクンやプラヤ・デル・カルメンにも近い、ユカタン半島キンタナ・ロー州にあるカリブ海沿岸の生物圏保護区。小さな湾やマングローブの林があり、美しい熱帯魚やフラミンゴなどの野鳥が生息しています。
エル・ビスカイノのクジラ保護区 (1993年登録)
太平洋とカリフォルニア湾に囲まれた、バハ・カリフォルニア半島の中央にある2つの潟湖がコクジラ(体長12〜14mの小型クジラ)の繁殖地。ホエールウォッチングも有名です。
カリフォルニア湾の島々と自然保護区(2005年登録)
バハ・カリフォルニア半島と北米大陸の間にある細長いカリフォルニア湾は、海とその島に生息する生物多様性において、絶滅の危機にある生物も棲む貴重な場所とされています。
セドロス諸島のアシカ © メキシコ政府観光局 visitemexico.com.mx
オオカバマダラ生物圏保護区(2008年登録)
オオカバマダラことモナルカ蝶が越冬するため暮らすのが、メキシコの西にあるミチョアカン州東部と、メキシコ州西部。無数の蝶の姿は圧巻です。
こうして並べてみると、日本の国土の約7倍の広さのメキシコ、文化も自然も、実に豊かだと痛感します。
メキシコに行ったら、たくさんの世界遺産を巡る旅も楽しそうですね。