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ロープウェイで楽しむ吉野の千本桜
【吉野山ロープウェイ(吉野ケーブル)の歩み(抜粋)】
1929年(昭和4年):開通
第二次世界大戦中:戦時下の金属供出令を免れ存続
1966年(昭和41年): ゴンドラを20人乗りから28人乗りに交換
2012年(平成24年):「機械遺産」に認定される
奈良県の南部に位置する「吉野山」は、大峯連山の北の端から南に約8km続く尾根一帯を指します。日本一の桜の名所としても名高く、「吉野の千本桜」の名でも親しまれています。春になると桜が一斉に開花し、山肌を美しいピンク色に染める様子はまさに壮観。
吉野山へは近鉄「吉野駅」からロープウェイを乗り継いで登ることができますが、実はこの「吉野山ロープウェイ」は現存する日本最古のロープウェイです。
その歴史は古く、誕生はおよそ100年も前の昭和初期。今も現役で運航しており、地元住民や観光客を運ぶ重要な足として活躍しています。
戦争を免れ、開通から現在まで現役で稼働
Sanga Park / Shutterstock.com
現存する日本最古のロープウェイは「吉野ケーブル」として1929年(昭和4年)3月12日に開業しました。創業者の内田政男氏が「地元のために人を運ぶロープウェイを作りたい」との思いで、有志と共に建設に乗り出したのが始まりでした。
開業時の運賃は片道15銭。当時、かけそば1杯が10銭程度だったので、庶民でも利用しやすい値段設定だったといえるでしょう。当初こそ「空中を走るのはとんでもない」と批判の声もあったものの、すぐに観光客が長い行列を連ねるほどの大にぎわいとなったそうです。
第二次世界大戦の頃には「金属供出令」で、ロープウェイを提供してほしいと要請を受けたそうですが、「住民の交通手段を手放すわけにはいかない」と断固として抵抗し、存続を守り抜いたという逸話も残されています。
1966年(昭和41年)には、ゴンドラが20人乗りから28人乗りに交換され、より多くの人を一度に運べるようになりました。現在まで開通当時と変わらない姿で走り続けるロープウェイ。2012年(平成24年)7月には、その歴史的価値が認められ、「機械遺産」にも認定されました。
源義経、後醍醐天皇など、歴史上人物の痕跡も残る吉野山
icosha / Shutterstock.com
吉野山ロープウェイの駅舎やゴンドラは、古き良き昭和の時代を思わせる、レトロな温もりが魅力。
桜の木の間を分け入るように山を上り、「千本口駅」からおよそ3分ほどの空中散歩を経て「吉野山駅」に到着します。千本桜が織りなす幻想的な景色や、眼下に広がる360度の大パノラマが楽しめるので、シーズン中は多くの観光客でにぎわいます。
ロープウェイを降りるとすぐにバス停があり、その先の吉野山観光へはバスでの移動が便利です。
吉野山は古くから大峰山信仰の霊場として修験者が多く集まり、山全体が世界遺産としても登録されています。
源平合戦の際には、兄・源頼朝に追われた義経が弁慶とともに身を潜めたことでも知られ、さらに南北朝時代には後醍醐天皇が吉野山に南朝を開き、かつて朝廷が存在した場所でもあります。
日本最古のロープウェイに乗って、吉野水分神社や金峯神社、金峯山寺、吉水神社など、たびたび歴史の舞台にもなった史跡・名所めぐりをどうぞ楽しんでみてください。
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内野 チエ ライター
Webコンテンツ制作会社を経て、フリーに。20歳で第1子を出産後、母・妻・会社員・学生の4役をこなしながら大学を卒業、子どもが好きすぎて保育士と幼稚園教諭の資格を取得、など、いろいろ同時進行するのが得意。教育、子育て、ライフスタイル、ビジネス、旅行など、ジャンルを問わず執筆中。特技はワラビ料理と燻製作り。
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