全長774m客車30両!世界最長の列車「ザ・ガン」【旅に関する面白いギネス記録】

Posted by: 坂本正敬

掲載日: Mar 11th, 2023

1955年に書籍から始まった「ギネス世界記録」。人間が達成した記録や、自然界で起きた「世界一」など、さまざまな世界記録を認定・登録しています。その中から、旅行に関するギネス世界記録を紹介していきます。今回は、旅行の移動手段として旅人には不可欠な鉄道に関するギネス世界記録を紹介します。

オーストラリア ザ・ガン号1
©︎ myphotobank.com.au / Shutterstock.com
 


 

世界で最も長い列車は全体で774mにも及ぶ

オーストラリア ザ・ガン号2
©︎ myphotobank.com.au / Shutterstock.com

皆さんの暮らす土地を走る列車は、何両くらいが連結して走っていますか? その車両全体の長さはどれくらいに達しますか?

人口の少ないエリアを走るローカル線の列車は車両の編成数が少なく、全車両の長さも短い傾向になると思います。極端な例を言えば、1両編成の単行列車もありますよね。

逆に、東京の山手線のように、人口の多いエリアの列車は、10両や12両編成などが当たり前です。『小学館の図鑑 NEO+もっとくらべる図鑑』によると、山手線(E231系電車)は11両編成の場合、全体の長さが220mに達するそうです。

筆者もかつて通勤に使っていた湘南新宿ラインなどは15両にも及びます。人口の少ないエリアに暮らしている人が見れば「都会だなー」と感じるはず。

しかし、そんな日本の列車の長さ(連結した車両全体の長さ)も、ギネス世界記録に比べると短く感じます。定期運行される旅客列車として世界で最も長い列車はなんと全体で774mにもなるのだとか。

連結車両全体の長さが1kmを超える場合も

オーストラリア ザ・ガン号3
©︎ myphotobank.com.au / Shutterstock.com

連結した車両全体の長さが世界で最も長く、しかも、定期運行される列車とは、どんな列車なのでしょうか?

オーストラリアの南部にあるアデレードから北部のダーウィンまで、1週間に1本のダイヤで大陸を南北に縦断するザ・ガン号の寝台列車が、2019年(令和元年)10月4日に「世界一長い列車」として登録されています。

「なんだ、寝台列車か」と思うかもしれませんが、同じく定期運行している日本の寝台列車『サンライズ瀬戸 サンライズ出雲』は14両編成です(途中で7両・7両に分離)。

一方で、ザ・ガン号の場合、編成車両の数はシーズンによって異なるものの、典型的な車両編成では、2両の機関車と30両の客車が連なり、全体の長さが774mになります。

旅行者の多いシーズンでは、その長さがさらに延びて、客車が44両に増え、トータルで1,096mに達するのだとか。要するに、1kmを超えるのですね。

オーストラリアを南北縦断

オーストラリア ザ・ガン号4
©︎ mastersky / Shutterstock.com

ザ・ガン号とは、どんな寝台列車で、どんな場所を走っているのでしょう?

100年以上の歴史がある鉄道路線で、もともとは、南部のアデレードと、オーストラリアのど真ん中、黄土色のアウトバックの中心にあるアリススプリングスを列車がつないでいました。

オーストラリアの地図
時代と共に線路の規格が統一され、2004年(平成16年)には、ノーザンテリトリーの州都・ダーウィンまでの全線が開通し、全2,979kmの距離を2泊3日、あるいは3泊4日で旅する、世界屈指の路線になりました。

もちろん、臨時の特別列車などでは、編成された車両全体の長さがザ・ガン号を超える場合もあるそうです。

しかし、ダイヤに沿って定期的に運行する列車としては、ザ・ガン号がやはり世界一になるようですね。

すでに、オーストラリアには何度も行っている、ちょっと変わった旅が次は楽しみたいと思ったら、ザ・ガン号で大陸を縦断する旅を選択してみるといいかもしれませんよ。

[参考]
Longest passenger train in scheduled service – Guinness World Records
「列車」と「電車」の線引きは一体どこにあるのか? – DIAMOND online
ザ・ガン号での3日間の旅 – オーストラリア政府観光局
車両編成 – JR東海

[All photos by Shutterstock.com]

PROFILE

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

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