世界三大紅茶はどこ?
今まで、いろいろな世界三大○○を紹介してきました。そのほとんどは日本人が考えた、日本だけで通じる世界三大○○だという話もしましたね。
今回の紅茶に関してもどうやら同じ様子。英語で調べても同様の情報が見当たりません。3つの紅茶をセレクトしていたとしても、日本で言われている世界三大紅茶とはラインアップが異なります。
その意味で、世界三大紅茶という考え方も日本人で通じる、日本人がチョイスした紅茶という可能性が高いです。では、その「世界三大紅茶」とは一体、どこになるのでしょうか?
恐らく1つは、多くの人が想像する紅茶の産地になると思います。インドのダージリンですね。
ダージリン
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そもそも、「ダージリン」という名称が地名だとご存じでしたか? 筆者は十数年前に初めて現地を訪れましたが、それまでダージリンが地名だとは知りませんでした。インド北東部のダージリンという産地で栽培され、収穫されるからダージリンなのですね。
ダージリンの気候的な特徴は霧です。現地を訪れた経験のある人は誰もが体験しているように、四六時中霧が立ち込めていて、まちや農地が霧の中に没しています。
ヒマラヤ山ろくの標高が高いエリアに広がる産地なので、冷涼で霧深く、その土地柄がダージリンの茶葉を育てると現地の農園の人も言っていました。
ウバ
世界三大紅茶の2つ目は同じく、南アジアにあります。地図が手元にある人は、インドの最南端からポーク海峡を越えた先に浮かぶ島を探してください。セイロン島が浮かんでいますよね。
そのセイロン島を主な国土とするスリランカの南東部にウバ州という地域があります。そのウバで産出される紅茶も世界三大紅茶といわれています。
『飲み物がわかる辞典』(講談社)には、
<水色(すいしょく)は澄んだ深紅で、メンソールのような爽やかな香りと渋みのある力強い味わいが特徴>(上述の書籍より引用)
と書かれています。
紅茶の専門家でもある知人に話を聞くと、ミルクティーにも向いている紅茶だと教えてくれました。
キーマン
最後は、キーマンです。この名前だけで、どこの国のどこの産地で栽培されている紅茶なのかわかる人は、かなりの通ではないでしょうか。
なんだか英語っぽく聞こえますが、現地の地名・祁門から来ています。中国の東部、安徽(あんき/アンホイ)省の祁門(きもん/キーマン)が答えです。
先ほどの書籍には、
<渋みが少なくまろやかな味わいと花のような香りが特徴>(講談社『飲み物がわかる辞典』より引用)
と書かれています。
こちらも豊富な雨量と雲霧があり、おいしい紅茶を育ててくれる土地柄のようですね。もともとは緑茶をつくっていた産地だったのが、19世紀後半に紅茶栽培に切り替えたとの情報もあります。
以上が世界三大紅茶の産地でしたが、いくつご存じでしたか?
連休中、まだ予定が決まっていない人は、世界三大紅茶の茶葉を取り寄せて、紅茶を飲みながらその土地を調べてみてはどうでしょうか。世界を旅した気分になれるはずですよ。
[参考]
※ 『飲み物がわかる辞典』(講談社)
※ 「琉球紅茶」世界三大産地に比肩 豊かな香り…国際コンテストで日本初二つ星 – 日本農業新聞
※ Effects of second flush Darjeeling tea aroma on psychological and nervous system activities – におい・かおり環境学会誌
※ キーマン – 神戸紅茶
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