地中海・アフリカ・アラブの文化が混在する「チュニジア」ってどんな国?

Posted by: あやみ

掲載日: Jul 3rd, 2023

紀元前9世紀、フェニキア人の王女エリッサがカルタゴを建国したことがはじまりとされる「チュニジア」は、地中海・アフリカ・アラブの文化が混在する魅惑の国です。古代ローマ帝国の遺跡が点在し、サハラ砂漠に行けるのもポイント。そこで今回は、チュニジアの基本情報はもちろん、美しい観光スポットや世界遺産、人気のスポーツなどをご紹介します。

チュニジア・スース
 


 

チュニジアの基本情報

チュニジア・チュニス
北アフリカの地中海沿岸のほぼ中央に位置するチュニジア共和国は、イタリア・シチリア島の対岸にあり、リビア、アルジェリアに接し、地中海に臨みます。面積は16万3,610平方キロメートルで、日本の約5分の2の大きさ。首都はチュニスです。この都市名は、フェニキアの女神タニスがアラビア語を経て、フランス語でチュニスになったといわれています。

チュニジアの女性のイメージ
人口は1,194万人(2021年)で、98%がアラブ人で占められています。公用語はアラビア語ですが、フランス語も国民の間で広く使われています。宗教はイスラム教スンニ派がほとんどです。ただし、ごく少数ですが、ユダヤ教、イスラム教シーア派、キリスト教を信仰している人もいます。

チュニジアの国旗
チュニジアの国旗は、中央にアラブ・イスラムのシンボルである「三日月と星」を配することで、この国がイスラム教徒の国であることを示しています。トルコの「新月旗」とよく似たデザインなのは、19世紀半ばに、それまで支配を受けていた「オスマン・トルコの旗」を手本に作ったからといわれています。

チュニジアに行くには?

チュニジアの砂漠
日本からチュニジアへは直行便が就航していません。行き帰り最低1カ所で乗り換える必要があります。成田・関西空港から首都チュニスへ行く場合、フランスのパリ、トルコのイスタンブール、カタールのドーハなどで乗り継ぎが可能です。

チュニジアに入国するには、入国日から30日間の滞在に限り、日本国籍者のビザは不要です。また、2023年6月現在、パスポート残存有効期限は、入国時に6カ月以上が必要になります。

チュニジアの最新の渡航情報について詳しくは下記をご覧ください。
在チュニジア日本国大使館
海外安全ホームページ

また、チュニスの平均気温は、冬16℃、春24℃、夏30℃、秋25℃で、1年を通して過ごしやすい印象です。その温暖な気候から「緑のチュニジア」と称されています。チュニスは、いつ旅行に訪れても良さそうな都市ですね。

街歩きが楽しい! 多彩な文化が混在する「チュニス」

チュニジア・チュニスの風景
古代フェニキア人によってつくられた「チュニス」。フランス統治下の面影が残っていたり、1979年に世界遺産に登録された、伝統的なアラブの世界が息づく旧市街(メディナ)があったり。さまざまな表情をあわせ持つエキゾチックな街です。紺碧のチュニス湾沿いには、高級リゾートが点在します。

チュニジア・チュニスの通り
一歩、メディナに足を踏み入れると、そこはイスラム世界そのもの。お土産屋のほか、衣類、靴などの日用品を売る店舗が所狭しと並び、多くの観光客でにぎわっています。細い路地がまるで迷路のように入り組んでいるのも特徴です。

チュニジア・チュニスのグランド・モスク
グランド・モスク

また、メインのジャーミア・ズィトーナ通りの突き当たりには、9世紀半ばに建てられた「グランド・モスク」も。

チュニジア・チュニスのフランス門
フランス門

さらに、新市街と旧市街の堺にある門「フランス門」や、両側にレストランやカフェ、ショップなどが並ぶ目抜き通り「ハビブ・ブルギバ通り」、チュニジア最大の博物館で、世界で有数のモザイクコレクションがそろう「バルドー博物館」など、見どころ盛りだくさんです。

チュニジアのクスクス
また、チュニジアを代表する料理「クスクス」や、チーズを使ったチュニジア独自のタジン(卵焼き)を味わうのもいいですね。

チュニス

チュニスからすぐ! 青と白の街並み美しい「シディ・ブ・サイド」

チュニジア・シディ・ブ・サイド
チュニスから列車や車で20〜30分、白壁にチュニジアンブルーが美しく映える「シディ・ブ・サイド」は、「チュニジアで一番美しい街」といわれています。街自体はそれほど大きくないため、お土産を探したり、ゆっくりとお茶をしたりと、のんびり過ごすのに最適です。夏は海水浴を楽しむこともできます。

チュニジア・シディ・ブ・サイドの通り
シディ・ブ・サイドの見所は、ハビブ・タムール通り。急勾配でのぼっていくのがやや大変ですが、のぼるにつれて、青と白の街が広がる忘れられない光景を目にできます。坂の途中には20世紀頃に建てられた豪邸を改装した「アンナビ博物館」も。建物の中は、豪華な装飾が施され、アラブの世界にドップリ浸かることができますよ。

チュニジアの地中海
また、「カフェ・デ・シャバーン」は忘れずに訪れたいスポットです。このカフェから見る地中海は絶景! どの席からも海を見ることができますよ。

おやつにはシンプルな揚げドーナツ「バンバローニ」をぜひ味わってみてくださいね。

シディ・ブ・サイド

古代ローマ帝国が再建した建造物がのこる「カルタゴ遺跡」

チュニジア・カルタゴ遺跡
チュニジアには世界遺産が8つ(文化遺産7つ・自然遺産1つ)ありますが、一度は訪れたいのが1979年に世界遺産に登録された「カルタゴ遺跡」です。チュニス・カルタゴ国際空港から車で約20~30分とアクセスしやすいのも魅力。

カルタゴは、航海技術に長けたフェニキア人が紀元前9世紀頃に建設した古代都市で、交易の要衝として繁栄しましたが、紀元前146年にポエニ戦争でローマ軍に破れ、破壊されました。

チュニジア・チュニジア・カルタゴ遺跡の風景
現在、残っている遺跡は、「ビュルサの丘」や広場古代神を祀る墓地「トフェ」などわずかなもの以外、滅ぼされた後にローマ帝国が再建したもので、アントニヌスの共同浴場、ラ・マルガの貯水池、海に面した住居跡「カルティエ・マゴン」などがあります。

チュニジア・カルタゴ遺跡ビュルサの丘
カルタゴの共通チケットで、10カ所の遺跡を巡ることができますが、徒歩の場合は、1日ですべての遺跡を訪れるのは難しいです。効率良くまわりたいのなら、タクシーやツアーを利用しましょう。

カルタゴ遺跡
住所:88 La Goulette Rd, Carthage, Tunisia
公式HP:http://www.commune-carthage.gov.tn/en/

良好な状態を維持、北アフリカ最大の「エル・ジェムの円形闘技場」

チュニジア・エル・ジェム円形闘技場
チュニジア南東部の都市「エル・ジェム」にある、縦149m、横124m、高さ36m、舞台の直径65mという北アフリカ最大の円形闘技場です。オリーブオイルを輸出して得た富により、3世紀に建造されました。

戦時には要塞として使われていましたが、現在も良好な状態で残っています。1979年に世界遺産に登録されました。

チュニジア・エル・ジェムの円形闘技場
この闘技場では、かつて人々が猛獣と剣闘士、死刑囚同士といった格闘に胸を高鳴らせていたそうです。

チュニジア・エル・ジェムのモザイク
また、エル・ジェムにはもうひとつ注目したいことがあります。それは、さまざまな色の石を細かく刻んで描かれる緻密な絵「モザイク」です。ローマ時代とまったく同じ技法を用いて、工芸品としてのモザイクを製作しています。自分用のお土産に購入したいですね。

さらに、「エル・ジェム博物館」を訪れると、見事なモザイクコレクションを鑑賞することができますよ。

エル・ジェムの円形闘技場

チュニジアで人気のスポーツは?

チュニジアの国旗とサッカーボール
チュニジアで一番人気のスポーツはサッカーです。FIFAワールドカップへの初出場は1978年のアルゼンチン大会、その後、1998年のフランス大会、2002年の日韓共催大会、2006年のドイツ大会に3回連続出場しているほか、2018年ロシア大会、2022年カタール大会にも出場。アフリカの強豪国のひとつだといえます。

さらに、女子スポーツもさかんで、バレーボールやテニス、卓球など多岐にわたるスポーツで活躍している選手がいます。

[All photos by Shutterstock.com]

PROFILE

あやみ

Ayami ライター

フリーライター。劇団員、OL、WEB編集ライターを経て、フリーランスになる。辛い食べ物、東南アジアが大好き。旅するように生きるのが人生の目標。

フリーライター。劇団員、OL、WEB編集ライターを経て、フリーランスになる。辛い食べ物、東南アジアが大好き。旅するように生きるのが人生の目標。

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