日本の世界遺産【2】400年前の美が現存!“白鷺城”と親しまれる「姫路城」

Posted by: あやみ

掲載日: Aug 17th, 2023

1993年12月、奈良の「法隆寺地域の仏教建造物」とともに日本で最初の世界遺産に登録された兵庫県姫路市の「姫路城」は、優雅な姿で街を見下ろしています。2015年には5年にわたる大天守保存修理を終え、グランドオープンしました。今回は、そんな世界に認められた名城「姫路城」をクローズアップ。概要や見どころ、行き方のほか、周辺の人気スポット・グルメもご紹介します。

兵庫県姫路市・姫路城外観
 


 

400年以上の時を越え、その美しい姿を今に残す「姫路城」

「白鷺城」とも呼ばれる姫路城(兵庫県姫路市)
姫路城は、城の形が優美なことに加え、壁などに白い漆喰を使っていることから「白鷺城」とも呼ばれてきました。

木造の建物を配し、石造の城壁と白色の土塀をめぐらせる日本の独特の城郭の様式は16世紀中頃に確立。姫路城はこの城郭建築の最盛期の遺産であると同時に、17世紀初頭の日本の城郭を代表するものです。

1993年に世界遺産登録された姫路城(兵庫県姫路市)
かつて姫路は西日本の交通の要衝の地でした。そのため、1600年に城主となった大名池田輝政が1601年から1609年にかけて、この地にあった古城を廃し、新たに城を建造。現在残る姫路城の構造物や建物はこのときのもので、内外二重の濠で囲まれているのが特徴です。

そして、関ヶ原の戦いのあと大改修され、江戸城に次ぐ規模に。姫路城は、日本の城の中でも、木造の城郭建築群と城壁・土塀から構成される構造物が特に良い状態で残っており、幕末時全国に260以上を数えた城郭のうち、残存するわずかなもののひとつになっています。

姫路城のある風景
また、内濠と高い石垣に囲まれた内郭地域には城柵主要部と城主の居館が造営され、内濠と外濠の間の外郭地域には武家屋敷がありました。

外郭地域の外側は、一般民衆の居住地と商業地からなる城下町で、その周囲にも濠がめぐっていました。そんな内郭地域の城郭建築も、ほぼ当初の姿のまま残っているのです。

見どころは?

姫路城の「大天守」と「白漆喰の城壁」
姫路城の一番の見どころは、「大天守」(高さ約46m)と「白漆喰の城壁」です。大天守を守るように東・西・乾(いぬい)の3つの小天守が渡櫓で結ばれて、連立している「連立式天守」が完全な形で残っていて、国宝にも指定されています。

また、「白漆喰総塗籠(しろしっくいそうぬりごめ)」という、漆喰で木地が見えないよう覆い塗る手法が採用されたのは、火災に備えるほか、火縄銃の射撃による延焼を防ぐためだそうです。これを知った上で、改めて姫路城を見てみると、感慨深いものがありますよね。

姫路城・菱の門
場内で最も大きい門「菱の門」もお見逃しなく。両柱の上の冠木(かぶき)に木彫りの菱の紋があることから、この名がつけられました。「火灯窓(かとうまど)」のように優雅な安土桃山時代の意匠もぜひチェックしてみてくださいね。

さらに、天守にたどり着くまで「い・ろ・は」順に名づけられた多様な門に出合えるのも姫路城の魅力です。それぞれ意匠が異なり、見応えがあります。

姫路城・壁の挾間
櫓や土壁などの壁面に開けられた穴「挟間(さま)」も要チェックです。長方形は矢を射るための矢挟間で、円形や三角形は鉄砲を撃つための鉄砲挟間です。姫路城には約1,000カ所の挟間が残っています。加えて、石垣をのぼってくる敵に石を落としたり、鉄砲を撃ったりできる仕掛け「石落とし」も塀や櫓に多数施されていますよ。

姫路城・るの門
るの門

そのほか、迷路のように配されている「城内道」、まるで抜け穴のような小さな門、上へいくほど反り上がるような形状の石垣など、敵を大天守に到達させないための工夫が盛りだくさんです。

姫路城への行き方

JR「姫路駅」北口から神姫バス乗車「大手門前」下車、徒歩5分、もしくはJR「姫路駅」、山陽「姫路駅」から徒歩20分です。

姫路城
住所:兵庫県姫路市本町68
電話: 079-285-1146(姫路城管理事務所)
開城時間:9:00~17:00(入場は16:00まで)
入城料:大人(18才以上)1,000円、小人(小学生・中学生・高校生)300円
公式サイト:https://www.city.himeji.lg.jp/castle/index.html

実写映画『るろうに剣心』のロケ地にも! 姫路城を借景にした「好古園」

兵庫県姫路市・好古園
姫路城西御屋敷跡庭園「好古園」は、姫路城を借景にした、約1万坪の日本庭園です。市制100周年を記念して建造されました。屋敷割や通路の地割を活かした9つの大小庭園群と、アプローチ樹林帯・広場で構成されています。

兵庫県姫路市・好古園の渡り廊下
同庭園には、築地塀・屋敷門・長屋門や渡り廊下で結んだ「活水軒」「潮音斎」のほか、本格的数寄屋建築の茶室「双樹庵」も。実写映画『るろうに剣心』シリーズのロケ地にもなりました。

兵庫県姫路市・好古園の庭園
姫路の歴史と自然が調和した庭園をのんびり散策したいですね。本格的数寄屋造りの茶室では、お茶とお菓子を、園内のレストラン「活水軒」では御膳やセットメニュー、ドリンク、デザートなどを楽しめますよ。

姫路おでん
画像提供元:兵庫県家庭料理調査グループ

また、姫路の名物といえば、生姜じょうゆで食べる「おでん」。姫路には、関東煮(かんとうだき)と呼ばれる濃く甘い味つけのおでんと、専門店で提供される薄味のおでんの2種類がありますが、どちらも生姜じょうゆで食べる「姫路おでん」だそうです。

姫路城を訪れたら、ぜひ味わってみたいですね。

好古園
住所:兵庫県姫路市本町68
電話:079-289-4120
開園時間:9:00~17:00(入園は16:30まで)
休園日:12月29日、30日
入園料:大人(18才以上)310円、小人(小学生・中学生・高校生)150円
交通アクセス:JR「姫路駅」北口から神姫バスで「姫路城大手門前」下車、徒歩約5分
公式サイト:https://www.himeji-machishin.jp/ryokka/kokoen/index.php

[All photos by Shutterstock.com]

PROFILE

あやみ

Ayami ライター

フリーライター。劇団員、OL、WEB編集ライターを経て、フリーランスになる。辛い食べ物、東南アジアが大好き。旅するように生きるのが人生の目標。

フリーライター。劇団員、OL、WEB編集ライターを経て、フリーランスになる。辛い食べ物、東南アジアが大好き。旅するように生きるのが人生の目標。

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