主要な観光地を効率よく回れる日帰りバスツアー
人気の観光地やグルメスポットなどを1日で効率よく回れる日帰りのバスツアー。テーマパークや絶景スポット、温泉、フルーツ狩りなど、さまざまなテーマで開催されており、充実した内容のツアーがたくさんあります。今回は、日帰りのバスツアーに参加中、事故に遭った場合のトラブルについて、アディーレ法律事務所の佳山亮子弁護士が解説します。
日帰りバスツアーでの交通事故
ケガがなかった場合
A. これは当然認められると思います。なぜなら、参加者の帰責事由がなくツアーが途中で中止になったにもかかわらず、参加者が責任を負う謂れがないからです。どこの旅行会社でもかかる規定を設けていると思います。
ケガをした場合
A. 乗っていたバスが事故を起こした場合、損害賠償請求の相手は「バス側と事故相手側のどちらに過失があるか」によって異なってきます。バス側に過失がある場合と事故相手側に過失がある場合、双方に過失がある場合に分けて解説します。
(1)乗っていたバスのみに過失がある場合
乗っていたバスのほうに100%の過失がある場合、乗客が損害賠償請求する相手はバス会社となります。ただし、実際に損害賠償金を支払うのは、バス会社が加入している共済・保険です。
そのため、示談交渉は多くの場合、バス会社が加入している保険会社の担当者と行うことになるでしょう。バス会社の顧問弁護士や相手会社の事務処理係が交渉相手となることもあります。
(2)バスの事故相手のみに過失がある場合
バスが一方的に相手車両に追突された場合など、バス側に一切の過失がない場合は、事故の相手方に損害賠償請求をします。
損害賠償請求は示談交渉を通して行うことが一般的ですが、相手方ドライバー本人ではなく、相手方ドライバーの加入している任意保険の担当者と交渉することが多いです。
相手方ドライバーが任意保険に入っていない場合は、ドライバー本人との示談交渉が必要になります。
(3)バスと事故相手双方に過失がある場合
交通事故の多くは、当事者双方に過失があるとされます。乗っていたバス側と事故の相手方双方に過失がある場合、乗客はどちらにも損害賠償請求ができます。
もっとも、請求できる総額が倍になるわけではないので注意が必要です。損害賠償金が100万円の場合、バス会社と事故の相手方に対して合計100万円を請求できるということです。
この点、損害賠償金の何割をバス会社に請求し、何割を事故の相手方に請求するかは、自由に決められます。また、一方にのみに対し、全額請求することも可能です。
実際には相手の資力や保険加入状況などを考慮したうえで、どちらか一方に全額請求することになるのが通常でしょう。双方に請求したい場合は、まずどちらかと示談交渉して示談金額を決め、そのうちの一部を受け取った後、残りの金額をもう一方に請求することになります。
損害賠償は?
A. 交通事故の慰謝料には、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、そして死亡慰謝料の3つの種類があります。
それぞれの相場(適正額)としては、入通院慰謝料で通院1日あたり最高で約9,333円、入院1日あたり最高で1万7,666円、後遺障害慰謝料で110万円〜2,800万円程度、そして死亡慰謝料で2,000万円〜2,800万円程度となります。
交通事故の慰謝料は、怪我の程度や入通院の日数、家庭での立場によって、上記のように大きく異なるため注意が必要です。
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アディーレ法律事務所
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