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【弁護士が回答】旅行を予約した旅行会社が出発前に倒産!支払ったお金は戻ってくる?|旅のトラブルFAQ

Posted by: TABIZINE編集部
掲載日: Mar 22nd, 2024.

旅行中のトラブルは予期せぬ瞬間に楽しみを奪ってしまうもの。突然起こるさまざまな問題に対して、適切な対処法を知っておきたいですよね。経験豊富な弁護士が、あなたの旅を守る解決策をアドバイス。今回は、旅行会社の倒産に関するよくある質問「FAQ」に回答します。

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旅行の計画を立てる人のイメージ
 


 


旅行会社が倒産してしまったら、どうなる?

旅行会社が倒産してびっくりした人のイメージ
ゴールデンウィークや夏休みなどを利用して、旅行へ行こうとするとき、旅行会社でツアーを予約する人は少なくないでしょう。しかし、楽しみにしていたのに、予約をした旅行会社が倒産してしまったら……。旅行に行けなくなってしまった場合、支払った旅行代金はきちんと返ってくるのでしょうか? アディーレ法律事務所の佳山亮子弁護士が解説します。

Q. ツアー旅行を予約した旅行会社が出発前に倒産してしまった。支払ったお金は戻ってくる?

旅行の契約書のイメージ
A. 答えは残念ながら、「必ずしも全額返ってくるとはいえない」になります。しかし、「営業保証金制度」と「弁済業務保証金制度」により、全額とはいえないにしても、旅行会社からの返金を受けることは可能です。

それでは、それぞれの制度について説明したいと思います。

1. 弁済業務保証金制度

旅行会社が日本旅行業協会(JATA)に加入している場合、旅行業協会から、倒産した会社に対して、「弁済業務保証金」が支払われるので、その保証金の範囲内での返金を受けられる場合があります。

弁済業務保証金から返金を受ける場合は、日本旅行業協会に対して申請を行うことで、申込順に支払いが行われます。

2. 営業保証金制度

弁済業務保証金と似たような制度に、営業保証金制度というものがあります。この制度では、まず、旅行会社が開業をするときに、国に対して営業保証金として、予め一定の金額を預けておきます。その後、万が一倒産などで利用客に対してお金を返すことができなくなった時は、預けた保証金の中から一定の範囲内で返金を行うという仕組みです。

営業保証金から返金を受ける場合は、まず該当の旅行会社が登録している行政庁(観光庁または管轄の都道府県)に、所定の申立書を提出します。申立書提出後は、行政庁で一定の手続きが行われ、配当金額が決定します。その後、配当金額の証明書が利用客に対して送付されるので、その証明書を持って旅行会社の登録している法務局に行くことで、返金を受けることができます。

このように、旅行会社が倒産してしまい、旅行が中止になった場合は、返金の余地はありますが、自分から返金を求めなければなりませんので、注意が必要です。

Q. 有給を取って旅行を予定していたのに計画が台無しになったので、損害賠償を請求できる?

旅行に行けなくなってがっかりしている人のイメージ
A. 結論から申し上げると、請求するのは難しいと思います。この場合の損害賠償請求の根拠は、不法行為に基づく損害賠償請求権(民法709条)になると思います。

不法行為に基づく損害賠償請求権が発生する条件は、次の5つです。

  • (1)加害者に責任能力があること
  • (2)加害者に故意・過失があること
  • (3)加害行為に違法性があること
  • (4)被害者に損害が発生すること
  • (5)加害行為に損害発生との間に因果関係があること

損害賠償請求が認められるためには、加害行為が違法でなければなりません(3)。しかし、倒産することは、計画倒産等の事情がない限り違法性があるとは言えないでしょう。

次に、被害者に損害が発生すること(4)も必要となります。ここで、損害とは、本来の状況から不法行為によって生じた状況の金銭的差額です。

たとえば、次のようなケースを想定してみましょう。

飼い犬の散歩中リードを離したら、犬に追いかけられた通行者が手に持っていたカメラを落としてしまいました。その結果、カメラのレンズが壊れ、10万円で修理せざるを得なくなりました。もし飼い主がリードを離さなければ、カメラが壊れることはありませんでした。その状態と実際に生じた状態を比較すると、通行人に10万円の財産的損害が生じています。

しかし、有給を旅行の日に取得した場合と、別の日に取得した場合とで金銭的差額が出ているとは必ずしも言えないと思われます。

この点、交通事故の場合、「交通事故に遭わなければ被害者は自分のために自由に有給を使えていたはず」という点で、交通事故による有給取得は経済的損害とみなされますが、本件の場合は、自らの意思で有休を取得しているので交通事故の場合とは状況が異なると思います。

以上より、損害賠償請求することは難しいと言えますね。

[協力]
アディーレ法律事務所

[All photos by Shutterstock.com]

TABIZINE編集部

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