【日本三大薬湯】有馬温泉・草津温泉、もうひとつは?歴史や泉質、観光スポットも!

Posted by: あやみ

掲載日: May 28th, 2024

薬湯とは、温泉成分や薬用植物を浴剤として入れた湯のことを指します。この歴史は古く、江戸時代から銭湯では客寄せのため、さまざまな効能をうたって薬湯を宣伝していたそうです。今回は、日本三大薬湯に挙げられる兵庫県の有馬温泉、群馬県の草津温泉、新潟県の松之山温泉の歴史や泉質をご紹介します。観光情報もあわせてチェックしてみてくださいね!

日本三大薬湯 トップ

古代から温泉地として知られている関西の奥座敷「有馬温泉」(兵庫県神戸市)

有馬温泉

兵庫県神戸市北区に位置する「有馬温泉」は、日本の三古泉のひとつとして多くの人たちに親しまれています。古くからの温泉地として知られており、湯泉神社の縁起によると、泉源を発見したのは、神代の時代の大已貴命(おおなむちのみこと)と少彦名命(すくなひこなのみこと)と伝えられています。

この神様たちが有馬を訪れた際、3羽の傷ついたカラスが水浴びをしていました。そして、数日後にそのカラスらの傷が癒えていたそうです。カラスらが水浴びをしていた水たまりが温泉だったといわれています。

有馬温泉の存在が知られるようになったのは、舒明(じょめい)天皇や孝徳天皇の時代です。いずれの天皇も何度も有馬温泉を訪れていたそうですよ。『日本書紀』には舒明天皇が来訪したという記載もあります。

また、豊臣秀吉は有馬温泉をこよなく愛し、幾度もの天災により被害を受けた建物や温泉施設の復興に力を注いだそうです。そのため、有馬温泉には秀吉にまつわる逸話やスポットが今でも残っています。

江戸時代になると、庶民も湯治に出かけるように。その影響もあってか、江戸時代の温泉を相撲の番付に見立てた「温泉番付」では、有馬温泉は最も格の高い 「西の大関」として記され、全国的に知られる温泉になりました。

有馬温泉 湧出

日本最古泉のひとつである有馬温泉の泉質は、環境省が療養泉として指定している成分が含まれています。

さらに、鉄分と塩分を含んだ「金泉」と、炭酸もしくはラドン泉を含んだ「銀泉」(2つ泉質)の3種類があるのもポイントです。

有馬温泉には、ホテルや旅館がたくさんあり、日帰り温泉も楽しめます。公共の外湯「金の湯」「銀の湯」や、有馬最大の日帰り入浴施設「太閤の湯殿館」を利用して日頃の疲れを癒やすのも良さそうですね。

加えて、貴重な「手彫切手」のほか、日本最初の切手「龍文切手」など、郵便創業時から現代まで140余年のユニークなコレクションが展示された「切手文化博物館」へも、観光の際にぜひ立ち寄ってみたいスポットです。

有馬温泉
住所:兵庫県神戸市北区有馬町
電話:078-904-0708(有馬温泉観光総合案内所)
交通アクセス:神戸電鉄「有馬温泉駅」からすぐ
公式HP:https://www.arima-onsen.com/

自然湧出量で日本一! 独自の温泉文化が残る「草津温泉」(群馬県吾妻郡草津)

草津温泉 湯畑

日本三名泉のひとつでもある「草津温泉」は、自然湧出量で日本一を誇ります。毎分32,300リットル以上、1日にドラム缶約23万本分もの温泉が湧き出しているのです。温泉街の中心、草津温泉のシンボル「湯畑」はあまりにも有名なスポット。周りには、瓦を敷き詰めた歩道や石柵、ベンチなどがあり、草津ならではの景色を楽しめます。

草津温泉の開湯については、約1,800年前に日本武尊(やまとたけるのみこと)が発見した説、奈良時代の高僧・行基(ぎょうき)が発見した説などがあります。鎌倉時代には源頼朝が入浴したそうです。

草津温泉 湯もみ

このように古くから有名だったとされる草津温泉で、現在に至るまで行われているのが、草津独自の入浴方法「​​湯もみ」です。これは泉質を変えずに湯の温度を下げるために行われており、かつては入浴前の準備運動も兼ねていたそう。現在も草津温泉を象徴するユニークな文化として残っています。

そして、1878年にドイツ人医師のベルツ博士が草津を訪れた際には、草津温泉を“世界無比の高原温泉”と、絶賛! ドイツ医学会で草津温泉の泉質や効能を発表し、世界に紹介したことにより、草津温泉の素晴らしい泉質や立地、環境が国内外に広がりました。

現在、草津温泉は国内のみならず、海外からも観光客が訪れるインターナショナルリゾートに発展しています。

泉質は、pH1.6~2.1と強い酸性なのが特徴です。源泉に5寸釘をつけておくと10日ほどで溶けて消えてしまうとか。そのため、細菌が原因の病気や炎症などに効果があるそうです。

草津温泉を訪れたら外せないのは、やはり「湯畑」。湧き出た源泉が7本の湯樋を通って、湯滝となる様子は圧巻です。湯壺の淡いエメラルドグリーンのお湯も美しい。夜間はライトアップを行なっており、幻想的な雰囲気を満喫できますよ。湯上がりに散歩したいですね。

草津温泉
住所:群馬県吾妻郡草津町草津
電話:0279-88-0800(草津温泉観光協会)
交通アクセス:JR「軽井沢駅」から草軽交通バスで約1時間30分
公式HP:https://www.kusatsu-onsen.ne.jp/portal/

源泉温度は約90℃! 全国有数の豪雪地にある「松之山温泉」(新潟県十日町市)


新潟と長野の県境、新潟県の中でも有数の豪雪地として知られている十日町市に「松之山温泉」はあります。複数の温泉施設を有する松之山温泉ですが、ほとんどの源泉温度は、なんと約90℃! 地中深くにある熱水が断裂を通じて一気に上昇してくるのだとか。これでは温泉に浸かれませんよね。しかし、ご安心あれ。温泉宿や施設では、適温に調整しているため、ゆっくりと心身を癒やせますよ。

松之山温泉は、今から700年前に1羽の鷹がいつも同じところに舞い降り、茂みに潜んでいたところを、木こりが見つけたことがはじまりといわれています。その茂みには、こんこんと湧く熱泉があり、鷹はその湯で傷を癒やしていたとか。以来、松之山温泉は「鷹の湯」「霊鷹の湯」とも呼ばれています。

そして1494年に、越後守護職となった上杉房能(ふさよし)が、松之山温泉の効能が気に入り、何度も訪れました。娘の腫れものの治療も行なっていたそうです。

明治時代後期には、飯山線が開通。湯治客が県外からも訪れるようになり、今日では日本全国の人々に知られる温泉になりました。

松之山温泉の泉質は、塩化物泉。塩分濃度が高く、温泉の注ぎ口に塩の結晶がつくこともあるそうです。1千万年以上前に地中に閉じ込められた海の水「化石海水」が温泉として湧き出ているといわれています。

また、松之山温泉の名物は「湯治豚」「湯治玉子」。「湯治豚」は源泉の温泉熱で2時間ほど低温真空調理するため、しっとりやわらかで、一度食べるとやみつきになる味です。一方の「湯治玉子」は、高温の源泉で24時間茹でた固めの温泉玉子。殻をむくと、褐色に染まった玉子が現れます。ほんのり塩味でおいしいですよ。


温泉街の一番奥には、築約100年の古民家を移築した体験施設「地炉」も。松之山温泉を訪れる方々と地元民との交流の場や、イベントスペースとして利用されています。入口には足湯があり、湯やぐらと不動滝を眺めながら、休憩できますよ。

松之山温泉
住所:新潟県十日町市松之山湯本
電話:025-597-3442(松代・松之山温泉観光案内所)
交通アクセス:ほくほく線「まつだい駅」から東頸バス「松之山温泉行で27分、「松之山温泉」バス停下車、徒歩5分
公式HP:https://www.matsunoyama-onsen.com/

[参考]
有馬温泉
Feel KOBE 神戸公式観光サイト
湯LOVE草津 草津温泉ポータルサイト
草津温泉 泉質主義|草津温泉旅館協同組合
草津町
My trip TOKAMACHI|一般社団法人 十日町市観光協会
松之山温泉

[Photos by Shutterstock.com]

 


 

PROFILE

あやみ

Ayami ライター

フリーライター。劇団員、OL、WEB編集ライターを経て、フリーランスになる。辛い食べ物、東南アジアが大好き。旅するように生きるのが人生の目標。

フリーライター。劇団員、OL、WEB編集ライターを経て、フリーランスになる。辛い食べ物、東南アジアが大好き。旅するように生きるのが人生の目標。

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