※画像はイメージです
マリアナ海溝とは?
全長は約2,550kmの三日月状の海溝です。特にグアム島の南で海溝がほぼ東西に走る部分が深く、水深10,000m以上の部分が1950年代にイギリスのチャレンジャー号や旧ソ連のビチャージ号によって発見されました。
ところが、1983年に海上保安庁水路部の調査船「拓洋」による調査の結果、最新部はこれまでの報告と異なり、水深約11,000mであることがわかったのです。
また過去にいくつかの有人・無人探査が行われており、2012年に映画監督や冒険家として有名なジェームス・キャメロンが有人潜水艇でチャレンジャー海淵への単独潜航を成功させたことで話題に!
そんなマリアナ海溝は多くの謎に包まれています。現代の最新技術を駆使しても、マリアナ海溝全体の調査は難しく、海洋学者によると約80%が未解明と推測されているのです。
驚くべきマリアナ海溝の謎とトリビア5選
ここからは、マリアナ海溝の謎とトリビア5選についてご紹介します。
マリアナ海溝は「太古の溶岩活動」によって形成された
マリアナ海溝だけではなく、すべての海溝は単なる深くて狭い溝ではなく、「沈み込み帯」であるといえるでしょう。
マリアナ海溝は、厚さ100kmにもおよぶ巨大な岩盤2つが衝突し、一方が沈み込んでいったことで形成されたとか。具体的には、太平洋プレートがフィリピン海プレートの下へ沈んでいったのです。
なお、最初は浅く滑り込むだけですが、最終的には大きく折れ曲がり、地球内部へほぼ垂直に落ちていくといわれています。
水圧の脅威
※画像はイメージです
チャレンジャー海淵は光が届かない漆黒の世界です。そこは水温は2℃、水圧は1,100気圧の極限環境。これは1平方センチメートルに1トンの力がかかっていることを意味します。わかりやすく伝えると、小指の爪に1トンの重りが上下左右360°から置かれている状態です。想像を絶する水圧ですよね。
深海生物の適応力がすごい!
マリアナ海溝の極限環境でも深海魚やエビのような生き物が発見されています。視覚を使わずにエサを探したり、敵から身を守ったりするため、独特の感覚器官を発達させていることも。発光するバクテリアやバイオルミネセンス(生物発光)を利用して獲物をおびき寄せる深海魚もいます。
さらに海底の熱水噴出孔の周辺には、特異な生態系が! 噴出孔からは猛毒である硫化水素などの化学物質が放出されるため、太陽光を使わず「化学合成」を行うバクテリアが存在するのです。そして、そのバクテリアが作り出すエネルギーで生きるゴエモンコシオリエビやシンカイヒバリガイといった生き物も生息。
なお、脅威的な水圧のなか、このような生物が生きていける理由は、はっきりとはわかっていません。
深海でもプラスチックのゴミが発見されている
悲しいことに、マリアナ海溝のチャレンジャー海淵でもプラスチックのゴミが発見されています。プラスチックはなかなか分解されないゴミです。そのため、長期間海中を漂った末に、深海へと沈んでいくことが考えられます。
国連によると、世界の海で見つかっているプラスチックは推定1億トンに達しているとか。
マリアナ海溝は地球外生命を考えるうえで重要なヒントになる!?
※画像はイメージです
木星の衛星エウロパや、土星の衛星エンケラドスなど氷に覆われた海を持つ天体は、マリアナ海溝と似た環境である可能性があります。そのため、このような天体に地球外生命がいるかを考えるうえで、マリアナ海溝の生命についての理解が重要なヒントになるといえるのです。
おまけ:ニホンウナギはマリアナ海溝付近の海域でしか産卵しない
2009年5月22日、マリアナ海溝付近の海域で初めてニホンウナギの卵が発見されました。なぜニホンウナギがこのような場所で産卵するのか明らかになっていませんが、ウナギの卵や仔魚(レプトセファルス)が成長するのに適した環境や水温であり、外敵が少なく安全であることが考えられます。
また、どのようにニホンウナギがマリアナ海域まで遊泳するかについては、太陽の軌道を手がかりに遊泳方向を決めている可能性があるそうです。
[参考]
ナショナルジオグラフィック|太古の溶岩活動
サンシャイン水族館
海底のさらに1万メートル下に生命か 火山から有機物|日本経済新聞
野生のニホンウナギを増やす「うなぎ食べ継ぐプロジェクト(うなつぐプロジェクト)」を立ち上げます|PR TIMES
[All photos by Shutterstock.com]