
神戸港
兵庫県が発祥!観光におすすめのスポットも
かまぼこ

かまぼこ
日本で生まれた伝統食品のひとつ「かまぼこ」の起源には、神戸・生田神社にまつわる伝説があります。神功皇后が同社の「生田の森」に立ち寄った際、魚肉をすりつぶして鉾(ほこ)の先に塗り、焼いて食したという逸話が残っているのです。
史実としては、古文書『類聚雑要抄(るいじゅうぞうようしょう)』に「蒲鉾」が初めて登場します。そこには、1115年に関白・藤原忠実の祝宴の献立として供された、現在のちくわに似た蒲鉾の絵が描かれているのです。
生田神社の裏手「生田の森」には、「かまぼこ発祥地」の碑が建ち、伝説と史実の両面からかまぼこの起源を伝えています。
宝塚歌劇団

宝塚大劇場・宝塚バウホール
宝塚歌劇団を創設したのは、阪急東宝グループ創業者の小林一三氏。鉄道の乗客誘致の一環として1911年に誕生した「宝塚新温泉」の室内プールを改造し、1914年に宝塚少女歌劇として第一回公演を行ったことが始まりです。
1919年には「宝塚音楽歌劇学校」が設立され、生徒と卒業生による「宝塚少女歌劇団」が誕生。さらに1924年には4,000人収容の宝塚大劇場が完成し、各組が1か月ごとに交代で公演を行うスタイルが確立していきます。
1927年には日本初のレビュー(ショー)『吾が巴里よ(モン・パリ)』を上演。幕間を設けず16場を一気に展開するスピード感あふれる舞台は観客を魅了し、宝塚の名を広める転機となりました。
その後も宝塚は、女性のみの俳優で構成される独自のスタイルを守りながら、舞台演出や衣装、音楽の革新を重ね、戦後には全国ツアーや映画化も実現。各組ごとの公演や組替えシステムが定着し、現在に至るまで日本の代表的な総合舞台芸術として発展し続けています。
宝塚大劇場は、客席数2,550席を誇り、どの席からもステージが見やすいのが魅力です。また、隣接する小劇場宝塚バウホールは、宝塚歌劇の次代を担う若手スターが主役を演じることが多く、スターへの登竜門にもなっています。
敬老の日

※画像はイメージです。
「敬老の日」を提唱したのは、野間谷村(現・多可郡多可町八千代区)の村長・門脇政夫氏です。戦後間もない1947年、戦地に子どもを送り出した親世代は心身ともに疲弊していました。そこで門脇氏は「親たちに少しでも報いたい」との想いから、55歳以上を対象とした第1回「敬老会」を開催。
この取り組みは次第に地域の共感を呼び、1950年には兵庫県が9月15日を「としよりの日」と制定。その後、敬老の精神は全国へと広まり、現在の国民の祝日「敬老の日」につながっていきました。
現在、八千代コミュニティプラザの玄関脇には、高さ約2mの「敬老の日提唱の地」石碑が建ち、その精神を今に伝えています。
兵庫県多可郡多可町八千代区中野間650-1 八千代コミュニティプラザ
公式HP:https://www.town.taka.lg.jp/about_taka/benri_map/id=7
ゴルフ場

ゴルフ場
日本におけるゴルフ発祥の地は、1903年に六甲山の山頂に誕生した「神戸ゴルフ倶楽部」です。貿易商アーサー・H・グルーム氏が、仲間とともに苦労の末、4ホールのコースを開設したのが始まり。このゴルフ場の噂は、瞬く間に広がり、来場者の増加を受けて、1903年に135名の会員により、国内初のゴルフ倶楽部が創立されました。
現在も「神戸ゴルフ倶楽部」は営業中です。コース内には最大40mの高低差があり、戦略性を求められる難コースとして今も多くのプレーヤーを魅了しています。さらに、クラブハウスからは神戸の街並みや大阪湾を一望できます。
国産蒸気機関車

※画像はイメージです。
日本初の国産蒸気機関車は、1893年に官営鉄道の鉄道庁神戸工場で製作された「860形蒸気機関車」です。イギリス製の標準機関車を基礎に設計され、日本の技術者たちが主台枠の加工や部品の鋳造・鍛造を担い誕生しました。
車輪やボイラーといった主要部品はイギリスから輸入されたものの、組み立てから仕上げまでは国内で行われ、これが完全国産化への道を切り拓く大きな一歩になったのです。
残念ながら「860形蒸気機関車」は現存していませんが、1895年に手宮工場で製作された国産2号機「大勝号(7150形)」が小樽市総合博物館に保存展示されています。現存する最古の国産蒸気機関車であり、鉄道史に関心のある方は一見の価値ありです。
ミルク入り缶コーヒー

自動販売機の缶コーヒー
日本で誕生した缶コーヒー文化を切り拓いたのは、神戸発祥のUCCグループ創業者・上島忠雄氏です。同氏は「いつでも、どこでもおいしいコーヒーを楽しんでほしい」という想いから、長年の夢だった缶入りコーヒーの開発に挑みました。
そして1969年、世界で初めてのミルク入り缶コーヒー「UCCコーヒーミルク入り」を発売。その甘くまろやかな味わいは、従来のブラックやドリップ式コーヒーとは異なり、誰でも気軽に楽しめる画期的な商品として注目を集めました。
翌年、大阪万博の会場でこの缶コーヒーが販売されると大ヒット! 会場内外で多くの来場者が手にし、日本全国に缶コーヒーの存在が知られるきっかけとなりました。その後、駅の売店や自動販売機へと販路を拡大し、缶コーヒーは日常の飲み物として定着。
こうして、神戸生まれのUCCが発売した缶コーヒーは、日本独自の缶コーヒー文化の礎を築いたのです(※ミルクが入っていない缶コーヒーの開発は島根県の「ミラ・コーヒー」が祖とされています[参考])。
1987年に誕生した「UCCコーヒー博物館」は、2026年夏頃にリニューアルオープン予定です。コーヒーの起源、栽培、鑑定、焙煎、抽出、文化などについて学ぶことができます。神戸を旅行する際には、ぜひ訪れたいですね。
兵庫県はさまざまな始まりが息づく地!
兵庫県は、文化・芸能から食文化、さらには技術革新まで、数々の「始まり」が育まれてきた土地です。UCCによるミルク入り缶コーヒーの開拓、かまぼこの伝承、宝塚歌劇の創設、敬老の日の提唱、日本初のゴルフ場や蒸気機関車の誕生など、そのジャンルは多岐にわたります。ぜひ発祥の地を巡って、兵庫の歴史に触れてみてくださいね!
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