フェイスキニに関する複数の写真から生成AIで作成したイメージ写真
ビキニならぬ「フェイスキニ」
最初は中国の事例から。2005年(平成17年)に山東省の青島にある水泳用品のお店を開いていた張式範さんが考案したとされるフェイスキニ(中国語:脸基尼)を紹介します。
簡単に言えば、プロレスラーの覆面マスクみたいな構造で、目と鼻と口だけを出す、水着素材のフェイスマスクになります。
2005年に登場して以降、デザイン性が徐々に更新され、京劇における女形のデザインや、中国の伝統の絵柄が取り込まれるようになり、メディアやSNSで話題になっていきました。
それこそ、米ニューヨークタイムズ、英ガーディアン、英デイリーメールのような海外のメディアが報じるほどで、その盛り上がりを受け、考案者の張式範さんは、冬用のフェイスキニまで発表しています。
もちろん、メディアに登場するからといって、全中国人の生活の一部になるほど浸透しているかと言えば違います。
現に、派手なデザインが特徴のフェイスキニ第6世代が話題になった2016年(平成28年)の青島の海水浴場を、フェイスキニの報道とは別の文脈で撮影した写真で確認しても、所狭しと殺到する中国人海水浴客の中に、フェイスキニを身に付けている人は目視できません。
裏取りを兼ねて、複数の中国人ジャーナリストに確認しても、存在は知っているものの、一般の人が当たり前に装着するような日焼け対策グッズではないと回答がありました。
しかし、究極の日焼け対策グッズの1つとは間違いなく言えそうです。「日本上陸」みたいなうたい文句とともに、フェイスキニを輸入・販売している日本のネットショップもあるみたいです。
「焼きたくない」という本気度が伝わってくる日焼け対策グッズ、ぜひチェックしてみてください。
「Slip! Slop! Slap!」のCMソング
次は、オーストラリアの紫外線対策です。日本人にとって、国民的なCMソングと言えばなんでしょうか。『この木なんの木 気になる木』あたりかもしれません。
国民的なCMソングは海外にもあって、オーストラリアの場合、日焼け対策に関する国民的なCMソングがあります。オーストラリアの健康キャンペーンの中で最も成功を収めたとも言われる、オーストラリアがん協会が発表した『Slip! Slop! Slap!』です。
裏取りを兼ねて、オーストラリアの一流旅行誌で働く知人に確認すると、もちろん知っているとの話でした。
そもそも、オゾン層が薄く、太陽からの紫外線が極めて強いオーストラリア大陸では、皮膚がん患者の数が極めて多く、皮膚がん対策が長らく進められてきました。
その健康被害予防の一環で1981年(昭和56年)、オーストラリアがん協会が、カモメのキャラクターを登場させたCMをつくり、
長そでのシャツを着よう! (Slip on a long sleeved shirt!)
日焼け止めを塗ろう! (Slop on some sunblock!)
帽子をかぶろう! (Slap on a hat that will shade your neck!)
(在日オーストラリア大使館のホームページより引用)
というメッセージを広く国民に訴えたのですね。さらに、このメッセージは、2007年(平成19年)に追加され、
Slip, Slop, Slap, Seek, Slide
となりました。追加されたメッセージは「日陰を探そう!(Seek shade)」と「顔を覆うようなサングラスを掛けよう!(Slide on wraparound sunglasses)」という内容です。
日本だと、サングラスを掛けていると、ちょっと格好付けているみたいな雰囲気になりがち。見た目・ファッション的に抵抗感を感じる人の多さも複数の意識調査によって示されています。
しかし、オーストラリアでは、
“サングラスの着用を義務づけたり、サングラスの購入に対して補助をしている学校もあります”
(オーストラリア大使館のホームページより引用)
との話。ドライバーや職務中の警察官など、職場でもサングラス着用が進んできた日本ではありますが、老若男女を問わずサングラスを普段から積極的に着用すべきなのかもしれませんね。
世界一美しい部族を守る赤いクリーム
ヒンバ族の住居
最後は、ナミビア北西部とアンゴラ南部に暮らしているヒンバ族の紫外線対策についてです。
ナミビアとは、TABIZINEでも紹介したアフリカ南西部の国で、国名の由来になった世界最古の砂漠・ナミブ砂漠が広く知られています。ロックバンド・聖飢魔Ⅱの元ボーカリスト・デーモン閣下が歌う『砂漠のトカゲ』に出てくるあの砂漠と言えば分かる人も少なくないかもしれません。
>>まるで絵画のような絶景も!世界最古の砂漠が覆う「ナミビア」ってどんな国?
同国の大まかな歴史を言えば、1884年(明治17年)にドイツ保護領となり、第一次世界大戦のドイツ敗北で国際連盟の委任統治領となり、南アフリカ連邦の一部となります。その後、独立運動が激化し、1990年(平成2年)と割と最近、ナミビア共和国として独立しました。
その歴史の中で、ヒンバ族の人たちは、隣接したアンゴラ(旧ポルトガル領アンゴラ)・ボツワナ(旧ベチュアナランド)などの広い範囲で移動を繰り返してきたそう。
現在は、ナミビア北西部(カオコランド地域)とアンゴラの一部にわたる約3万平方キロメートル(九州全体の広さに近い)の地域に暮らしています。
年間降水量100~300ミリメートル(日本の10分の1ほど)の半乾燥地域に暮らしながら、雨季には、拠点となる家屋敷で過ごし、乾季になると家畜とともに、10~30キロメートルの範囲内で遊動生活を行っています。


そのヒンバ族の人たちといえば、独特なファッションと、独特な紫外線対策が有名です。鉄の含有量が多い赤鉄鉱(ヘマタイト)を粉末にし、牛の乳からつくった脂を混ぜて髪や体全体に塗っています。

この「オカ」と呼ばれるクリームには、日焼け止めと肌の乾燥予防の効果があり、クリームを全身に塗った独特の姿が「世界一美しい部族」と称される理由にもなっているのだとか。
さすがに、日焼け対策としてはまねできる点が少ないかもしれませんが、日焼け対策の大切さを学ぶ一例として頭に入れておくといいかもしれませんね。
画像素材:PIXTA/Shutterstock.com
参考
※ Beach Essentials in China: Flip-Flops, a Towel and a Ski Mask – The New York Times
※ ‘Facekinis’ become popular in China as temperatures soar – The Guardian
※ 冬用フェイスキニ発表!ヒゲのついたタコのような衝撃のデザイン (4) – 人民日報社
※ 中国のフェイスキニ 実は第六世代「だんだん派手に…」発明者に聞く – withnews
※ 青島名物「覆面海水浴」=素顔も素肌も露出を避ける女心、それでもファッション化は進行中=山東省 – Record China
※ Slip, Slop, Slap, Seek, Slide – Cancer Council
※ 紫外線対策は前倒し、それでも目元は未対策 – 消費者調査で浮かび上がったサングラスの“使いにくさ”という壁 – 福島日報
※ ナミビアの牧畜民ヒンバと土地のかかわり – 吉村郊子


