
古民家を改装したレトロな雰囲気
店内のたたずまいは、昭和レトロ感満載の古民家。ですが意外にも、今年2月の開業です。店主は、山崎貴浩さん。お勤めを定年退職してこの店を始めましたが、実は20年ほど前に山崎さんの奥さんが開いた店でもあるのです。

ですから、長い休業期間を経てのリニューアルオープンと言ってもよいかもしれません。ちなみに「コル」とは、山の稜線近くの低い窪地のこと。そうした所は、風が遮られた穏やかな空間です。「登山中のコルのように癒やすことができたら」という想いで始めたカフェだそうです。

読み放題の本が約2千冊
店内は、テーブル席と座敷席合わせ10席余り。背の高い本棚には、様々なジャンルの本が詰まっています。約2千冊ある本のほとんどが山崎さんの蔵書。これに来店者からいただいた本が加わっています。もちろん、自由に読むことができます。

座敷席のそばの棚には、和ガラスのコップがずらりと並び、レトロな雰囲気を一層醸し出しています。いずれも、山崎さんが骨董市などで収集したもので、ここでは非売品です。

興味をそそる古代人の素朴な食事
メニューは、コーヒーだけでも 定番のブレンドのほかにキリマンジャロなど8品目。ウヴァ(紅茶)や奈良県産大和茶といった、レアなティーもあります。食事もトーストはもちろん、特製カレー、「特製なんちゃってジャージャー麺」、さらには「山男の初恋君だけコンビーフカレー」という謎めいたものも。ワンオペで切り盛りするカフェでありながら、かなりの充実ぶりです。
下級役人の食事
なかでも筆者が注目したのは、「現代風にアレンジした飛鳥時代の食事」。以前訪れた藤原宮跡資料室で、当時の食事が模型展示されていた記憶がよみがえりました。山崎さんもそれを見て、現代人の味覚に合うかたちで再現したそうです。メニューには、「貴族の食事」「下級役人の食事」「庶民の食事」の3種類あって、それぞれ価格は700円、1,000円、1,600円です。
言うまでもなく「貴族の食事」が一番豪勢。その中身は、炊いた白米、大根、海老、焼鮭、チーズ里芋、鴨汁、豆ひじき、栗、クルミとゴマのふりかけ、醤(ひしお)、桃ヨーグルト。「古代にチーズがあったの?」と思われるかもしれませんね。その頃は、牛乳を煮詰めて作った蘇(そ)と呼ばれるチーズ風の食品がありました。古代においてはかなり貴重なもので、限られた高位の人しか口にできなかったそうです。
貴族の食事
対して「庶民の食事」は、炊いた米、野草入塩麴汁、大根、ゴマと塩のふりかけ、豚の生姜焼きです。全体的に地味ななか、豚の生姜焼きが豪華に見えます。山崎さんは、「仏教伝来で、肉食は禁じられました。ですが、禁令がたびたび出されたということは、庶民層も隠れて肉を食べていたことを意味します。肉を抜いてしまうと本当に質素なので、豚の生姜焼きを加えました」と話します。
かえって興味がわき「庶民の食事」を注文しました。こちらです。

飛鳥時代の食事は、貴賤に関わらず、ご飯のボリュームが結構ありました。味の単調なご飯の山盛りを進ませるべく、濃い味付けのおかずがあったようなものです。それが、「庶民の食事」にも反映されていました。
こうした粗食は、美食に慣れ切った現代人には、むしろ新鮮に感じられるかもしれません。筆者も、素朴な味を堪能し、古代の人々の暮らしに思いをはせました。
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