夏も近いこの時期、フランス人の間で話題になるのは「夏のバカンス」。フランス人はバカンスのために働いてるのではないかと思うほど、バカンスが好きな人種。
フランス在住の筆者も今でこそフランス流の休暇が当たり前になってきましたが、当初は日本との違いに驚いたものです。日本とフランスの休暇は何が違うのでしょうか。4つの違いを見ていきたいと思います。
1:有給システムの違い
フランスでは日本のように、お正月休み、ゴールデンウィーク、お盆休みというものがありません。基本的に1年の間でいつ有給を取ってもいいことになっているのです。有給は5週間ですが、契約によっては残業とはまた違う、規定労働時間を超えた時間を回収するRTTという有給もあります。日本人からするとびっくりですが、人によっては年8週間有給休暇がある人もいるのです。
日本のように決められた休み期間がないので、フランスの有給消化率は100%。有給休暇を使わないと会社から消化するように指令がくることも。フランスでは日本のように有給を消化しないままということは絶対ありえません。フランス人にとって有給は労働契約の一部であり、権利のひとつと捉えているのです。
2:有給休暇は旅行に使う!
フランス人は有給休暇を取って何をするのでしょうか。20代〜30代の子どものいないフランス人に聞いてみたところ、大半の人が「旅行する」や「家族と時間を過ごす」ために有給を使うと答えていました。
フランス人は日本のお正月のようにクリスマス休暇は基本的に家族と過ごします。夏に有給休暇を使って海にいくのが典型的なフランス人流のバカンスです。その他の時期にも独身のフランス人は恋人や友達と国内や海外旅行を楽しむようです。
3:短い休暇と長い休暇の使い分け
具体的にフランス人はどのように有給休暇をプランニングするのでしょうか。多くの人は海外旅行(ヨーロッパ圏外)をする時に、2〜4週間の有給休暇を使い、フランス、ヨーロッパ旅行では3日から1週間の有給を取るという人が多いようです。
2015年のフランス人のバカンスの取り方の一例を紹介します。
4月 1か月の海外旅行
7月 1週間のフランス国内旅行
8月 5日間のフランス国内旅行
9月 3日間のイギリス旅行
12月 約1週間のクリスマス休暇
(28歳 フランス人男性)
2月 1週間のフランススキー旅行
4月 3週間の海外旅行
6月 2週間の国内旅行
8月 1週間の国内旅行
12月 1週間のクリスマス休暇
(33歳 フランス人女性)
フランス国内旅行では身体休め
海外にいくフランス人は日本人同様、観光目的で旅行します。しかし、国内旅行ではフランス人は観光ではなく、身体を休めるために旅行するのです。夏に1週間ほど海辺の家やアパートを友達や家族と借りて過ごすというのがフランス人流。
朝ゆっくりと起きておしゃべりをしながら朝ご飯を食べ、お昼まで読書や散歩をして過ごします。昼食後は海にいき、海水浴をしたり浜辺で寝そべりながらリラックス。夕方からワインやビールと共に簡単な夕食で済ませます。フランス人にとって国内旅行は、日常から切り離れた場所で、日頃のストレスからも開放され、ゆったりとした時間を過ごすためにもの。仕事に忙しい私たち日本人も見習いたいものです。
あえて夏は仕事を。新しいバカンスの取り方
夏は基本的にバカンスに発つフランス人が多いのですが、海辺の家のレンタル料は高騰します。それに8月の南仏のビーチは歩く場所がないほど、人だらけ! ゆったりするどころか、人が多過ぎて疲れたなんて意見もちらほら。日本でもお盆休みはどこも観光客でいっぱいで旅行して逆に疲れて帰ってくるのと同じですね。
ここ近年、パリジャンは8月はあえてパリに残るという人も増えてきました。8月にパリに来たことがある人はわかると思いますが、お店も閉まっているところが多く、パリには人がいません。しかし、パリ・プラージュやイベントが多く開催されます。8月にパリにあえて残り人のいないパリを楽しみ、9月以降に休暇を取るのが、若い人たちの新しい休暇の取り方です。
日本人の有給消化率は2015年度もワースト2位だったそうです。日本人は休み下手であり、休暇を過ごしたいように過ごせてない人が多いのではないでしょうか。フランス人の休暇に対する考え方は極端なところもありますが、休暇は人生を楽しむために必要なもので、それがあるからこそ仕事も頑張れるように思われます。
いかにワーク&ライフバランスが重要かということはフランスの生活の中で学んだことです。休暇を最大限楽しみ人生を謳歌するフランス人の姿勢は見習いたいものですね。
[Expedia]
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Nanako Kitagawa ライター
2007年よりフランス在住。パリ第八大学大学院を卒業。専攻は文化コミュニケーション。趣味は映画、読書、写真、雑貨、料理、街歩き、カフェ巡り。初めて訪れたその日からすっかりパリの街に魅了され、今日も旅をするようにパリの街を歩き回る。
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