あなたも知っておいた方がいい、クマに遭遇したときの対処法

Posted by: 坂本正敬

掲載日: Jan 20th, 2024

近年、クマに遭遇したというニュースや被害が相次いでいます。筆者も森の中でばったりカモシカに遭遇したことがあります。山道で顔を合わせてみると、身動きができなくなるくらいの迫力がありました。もし出くわした相手がクマだったら・・・。きっとアウトだったと思います。そこで今回は環境省や知床財団の資料をもとに、クマに遭遇しないための心構えや、万が一出くわした際の対処法をまとめます。

あなたも知っておいた方がいい、クマに遭遇したときの対処法

遭遇しないための心構えは?

あなたも知っておいた方がいい、クマに遭遇したときの対処法

クマに遭遇したらどうしたらいいのでしょうか? プロの格闘家や秋田マタギの方々など特別な技能を持つ人ならまだしも、普通の人の場合は、なすすべは“ほとんど”ありません。だからこそ、まずはクマに遭遇しないように賢く行動することが何より大切です。

クマに遭遇しないための心得

・鈴などをリュックサックにつける
・森の中では周囲に最大限の注意を払う
・クマのふんや足跡を見つけたら引き返す
・単独で森を歩かない
・悪天候、夕暮れどきに森を歩かない
・森の中では走らない
・倒木など物陰に近づくときは一時停止する

鈴などを持たない状態で森に入ってしまった場合は、車の鍵の束などをジャラジャラと鳴らすといいと、かつて林業労働者に教わりました。森の中で自分の存在をクマに知らせ、クマに逃げるゆとりを与えるために、鈴をつけてゆっくりと行動をするべきなのですね。

※編集部追記(2016.06.14)
秋田県の事件では、「これまで常識とされた、爆竹や鈴、ラジオなど、クマを遠ざけるための小道具の効果も疑問」との声も出ています。ご注意ください。(YOMIURI ONLINEより)

「クマのふんなんて分からないし・・・」という人は、写真で調べてみては? 筆者のような素人でも、地元の博物館でクマのふんの展示を一度見ただけで、森に入ったときにクマのふんに気づけるようになりましたよ。

あなたも知っておいた方がいい、クマに遭遇したときの対処法

さらに、クマの生態を知っておくことも大切です。例えばクマには、以下のような性質があるそう。

・クマは直立した木でも鋭い爪を使って登る
・悪路でも時速40km~60kmで走ることができる
・クマは泳ぎも得意

人類史上最速のスプリンターといわれるジャマイカの陸上選手、ウサイン・ボルト選手の全速力は時速37kmほどと言われていますから、走って逃げても確実に追いつかれます。水辺に飛びんで逃げようとしても、泳いで追いかけてくるかもしれないのです。

では、実際にクマに遭遇してしまったときは、どう対処すればよいのでしょうか?

クマに遭遇してしまった場合の対処法とは

あなたも知っておいた方がいい、クマに遭遇したときの対処法

(クマを遠くに見かけたとき)
クマを50m~100mなど遠くに見かけたとき、さらに相手がこちらに気づいていない、気づいていても無視しているときは、静かに立ち去るべきだとか。

ただ、遠くからゆっくりと近づいてきたときは、石の上に乗って両腕を振る、静かに声を掛けるなどして、こちらの存在をあらためて知らせ、クマに逃げてもらうべきだと言います。

通常は以上のような行動で相手が逃げると言いますが、距離が50m以下に縮まってきたときは、思い切って強気の姿勢をとるべきときも。

自動車や山小屋など逃げ込める場所があれば避難したいですが、何もない場合は木の棒を振り上げたり、大声を上げたりするべきなのですね。同時にクマとの間で、壁になってくれるような立木などを身の回りに探しておきたいです。

あなたも知っておいた方がいい、クマに遭遇したときの対処法

(クマを近くで見かけたとき)
不意にクマが立ち上がるなどして、20m~50mなどの距離で遭遇してしまったときは、どうすればいいのでしょうか? 基本的には、

・目をそらさない
・背を向けず、後ずさりをしながら距離をとる
・リュックサックなど、相手の注意を引きそうな物を近くに放る
・静かに話しかける

などが効果的だと言います。いつまでもその場に立ち尽くしていると、こちらに敵対する意図があると誤解されてしまうとか。巨大なクマを前にどれだけ冷静でいられるかは、事前のイメージトレーニングにかかっています。森に入るときは、友人などと一緒に“避難訓練”をしてみるといいかもしれませんね。

次はばったりと目の前でクマに遭遇してしまったときの対処法です。

あなたも知っておいた方がいい、クマに遭遇したときの対処法

(ばったりと目の前で出くわしたとき)
何かの物陰を乗り越えたらクマが居たなど、数m~20m以内の距離で出くわしてしまったときはどうすればいいのでしょうか? 相手もかなりびっくりしています。普通は一目散に相手が逃げる可能性が高いと言いますが、こちらが騒ぐと余計にびっくりして、身を守るために襲い掛かってくる恐れもあるとか・・・。

ただ、クマが襲い掛かってくる場合、多くは襲うと見せかけて踏みとどまる威嚇行動で終わるといいます。地面を手でたたくケースもあるそう。興奮したクマを前にすると腰が抜けてしまいそうですが、可能な範囲でクマに静かに声を掛け、突進を避けられる立木をクマとの間に置けるような場所に移動できると理想的だと言います。

万が一襲われた場合は、反撃は諦めて両腕で頭を守るべき。クマの攻撃パターンは主に、前脚で人の顔面を横殴りにしてくるといいます。一撃加えて逃げる場合も多いそうですので、とにかく両腕で頭を守り、致命傷を避けてください。一撃で終わらず、さらに襲い掛かってきた場合は、伏せておなかも守る必要があります。

まれに反撃をして、クマの撃退に成功したというニュースがありますが、環境省によれば反撃は裏目に出る場合が多いそうです。ひたすら致命傷を避けて、相手がその場からいなくなるまで伏せるべきなのですね。クマに転がされても、その勢いで再び伏せてください。

以上、クマとの遭遇を避ける方法、あるいは遭遇したときの方法をまとめましたが、いかがでしたか? クマ撃退用のスプレーもあります。万が一のときに備えて、使えるように装備・訓練しておきたいですね。

[クマ類出没対応マニュアルークマが山から下りてくるー – 環境省]
[もしも…出会ってしまったら!~ヒグマ対処法 – 知床財団]
[All Photos by shutterstock.com]

PROFILE

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

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