ラスコー洞窟壁画 image by Prof saxx from Wikipedia
ラスコー洞窟を発見したのは少年たちだった!
ラスコー洞窟入り口 image by Ethan Doyle White from Wikipedia
1940年のある日、フランス南西部モンティニャック村ではぐれてしまった愛犬を探していた少年たちが渓谷へと足を踏み入れます。そこで穴に落ちてしまった愛犬を発見。犬の救出を試みて穴に入ったところ、穴の中にラスコー洞窟の壁画を発見しました。
ラスコー洞窟の壁画が発見されたのは、偶然の産物だったのです。
クロマニョン人が描いたラスコーの壁画
image by Pline from Wikipedia
今から約2万年前、人類が狩猟採集を行っていた時代(後期旧石器時代)に、ラスコーの壁画を描いたのは、クロマニョン人です。全長約200mの洞窟に、疾走する黒い牛など、躍動感あふれる動物たちが600頭ほど描かれています。今は絶滅したヤギやバイソンの姿も見られます。
その色彩や技法は素晴らしく、『先史時代のシスティーナ礼拝堂(Sistine Chapel)』との異名を持ち、1979年には世界遺産に登録されました。
ラスコーの壁画は、赤土や木炭を獣脂、血液、樹液で溶かして混ぜて作られた、黒赤・黄・茶・褐色の顔料が使われているのが特徴です。また、有名な黒い牛の絵の角には、美術技法のひとつである遠近法が用いられています。
立入禁止になった理由
炭酸カルシウム形成が壁画の保存効果を高めたラスコーの壁画ですが、1948年7月14日に一般公開されたことがきっかけで、急速に劣化。大勢の観光客によって吐き出された二酸化炭素などにより、洞窟内の生態系を壊してしまったのです。そのため、1963年に閉鎖され、立入禁止になりました。
現在は、洞窟に空気循環や温度、湿度などを監視するセンサーを設置。洞窟内での作業は年間800時間に制限され、その時間内で、専門家だけが修復や学術調査を行っています。
レプリカは見学可能
ラスコーの壁画がある洞窟から200m離れた場所に、1983年に作られたレプリカの洞窟「ラスコー2」があり、一般見学が可能です。そのほか、巡回展示型のレプリカ施設「ラスコー3」、本物の近くにある、最新技術を駆使して再現された「ラスコー4(ラスコー国際洞窟壁画センター)」があり、いずれも見学できます。
ラスコー2・4を訪れるには?
モンティニャックの街
ラスコーへ行くのは、なかなかハード。最寄り駅は「コンダ・ル・ラルダ(Condat-le-Lardin)」で、そこからモンティニャックまでは約10kmあります。しかし、バスはないので、タクシーを利用する必要があります。
さらにモンティニャックから洞窟までは2km離れているため、ここでもタクシーを利用したほうがよさそうです。その際、帰りもタクシーの予約を忘れずに。
以上のことから、ラスコーを訪れるには、レンタカーがベストです。それが難しい場合は、サルラ発の現地ツアーを利用するのもひとつの手でしょう。移動の負担をだいぶ軽減できます。
また、ラスコー2とラスコー4の両方を見学できるチケットもありますので、個人で、事前にチケットをオンライン予約しましょう。
[Photos by Shutterstock.com]
Ayami ライター
フリーライター。劇団員、OL、WEB編集ライターを経て、フリーランスになる。辛い食べ物、東南アジアが大好き。旅するように生きるのが人生の目標。
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