戦前、毒ガス兵器が開発されていた
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瀬戸内海にはウサギばかりが暮らす変わった島があります。大久野島(おおくのしま)という名の小さな島で、周囲は約4,3キロメートルしかありません。現在でこそのどかな島ですが、戦前には地図から消され存在が隠されていたこともあります。
実は戦前、この島では秘密裏に毒ガス兵器が開発されていました。昭和初期に陸軍の化学工場が建設され、日中、太平洋戦争時に地元住民や学生を動員して化学兵器開発を行っていたのです。毒ガスはジュネーヴ条約で戦争使用が禁止されていたため、島は地図から消され空白地帯になりました。
その存在は戦後も秘匿され続け、1984年に報道されるまでほとんど知られることがなかったのです。しかし、島の過去を風化させてはいけないとの地元住民の声があがり、報道から約4年後の1988年に大久野島毒ガス資料館が建設され毒ガス兵器の実体を伝えています。
700羽近くのウサギが生息しているといわれる
そんな島になぜウサギが生息しているのか不思議ではないでしょうか。毒ガス実験のために持ち込まれた個体が野生化したという噂もありますが、有力だといわれるのは、地元小学校で飼育されていたウサギが島に放たれ野生化したとする説です。正確な理由はわかっていないため何ともいえませんが、現在では700羽近くのウサギが生息しているといわれており、ウサギを目あてに訪れる人も少なくないといいます。
【出典】
『知れば知るほど面白い!日本地図150の秘密』(日本地理研究会編/彩図社)
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