
べーリック・ホールとは

べーリック・ホールは、アメリカ人建築家J.H.モーガン氏によって設計され、第二次世界大戦前まで住宅として使用されました。モーガン氏は、山手111番館や横浜山手聖公会、根岸競馬場など多くの建築物を残しました。
その後は2000年までセント・ジョセフ・インターナショナル・スクールの寄宿舎として使われ、復原・改修等の工事を経て2002年から一般公開されるようになったのです。
横浜の山手エリアは、外国人居留地として横浜開港の歴史と深く関わってきました。べーリック・ホール以外にも、山手111番館やエリスマン邸、外交官の家など7つの西洋館を見学することができます。
館内の見どころ
敷地は約600坪。その中に建つべーリック・ホールは、スパニッシュスタイルが基調となっていますが、細部にさまざまな装飾がされています。館内の見どころを順に紹介していきます。
【1階】リビングルーム・パームルーム

中に入ると、すぐ目に飛び込んでくるのは、広々としたリビングルームです。南側・北側にはアーチ状の開口部があり、陽の光が入る明るい空間になっています。窓の外に見える庭園の緑が、その雰囲気のよさを格上げしているように感じます。

リビングルームからアーチ状の開口部を進むと、パームルームというスペースが。三方向に窓があり天井も高いので、明るく開放感があります。椅子に座って、ゆっくりくつろぎたくなるような場所。獅子頭の壁泉が、スパニッシュスタイルを基調とした意匠のひとつです。
【1階】ダイニングルーム

ダイニングテーブルには飾り暖炉も。天井は、重厚な化粧張り組天井です。ダイニングルームの奥には、キッチンと配膳室があります。
【2階】令息寝室

邸宅ができた当時、べリック氏の息子は既に青年でしたが、山手にある西洋館のなかで唯一の子ども用の部屋で、小さな男の子の部屋として再現されています。
フレスコ画技法(未乾燥の石灰モルタル壁に顔料を水のみで溶いて描く技法)と言われるブルーの磨き壁が美しく、思わずため息が出ます。スパニッシュスタイルの建築にしばしば用いられるという、クワットレフォイルと呼ばれる四つ葉の形をした小窓が映える空間になっています。
【2階】客用寝室

ブルーで統一された客用寝室。

浴室にもクワットレフォイルの小窓があり、バスタブや洗面、床の白に対しブルーのタイルがとても映えます。浴室とは思えない華やかさ。
【2階】主人寝室

ベリック氏は、和紙や絹を輸出し、紙類や化粧品、香水、文房具などを輸入する商館の経営者として、横浜とロンドンを行き来していたそう。元は主人寝室として使用されていた部屋ですが、現在は書斎をイメージして家具が配置されています。
【2階】夫人寝室

夫人の寝室は、ウォークインクローゼットや靴収納戸棚など、収納もスペースも充実しています。

東側には素敵なサンポーチもあります。故郷から遠く離れた異国に来た夫人。どんな気持ちでここから外を眺めていたのでしょうか。
階段

2階から1階へ降りるときの目線。階段の赤い絨毯と、市松模様の床が美しく絶妙なバランス。階段の手すりが渦巻き状になっているのにも注目です。
玄関ホール

階段を下りてくると、先ほど入ってきた玄関ホールに出ます。鉄製のアイアンワークは、スパニッシュスタイルを基調とした多彩な装飾のひとつなのだとか。縦横の桟に、渦巻き状の幾何学模様が組み込まれています。市松模様のタイルには蛇紋岩が配されていて、重厚感があります。
日本にはない建物の造りと美しさに、思わず異国にトリップしたかのような気分を味わえるべーリック・ホール。好きな場所を切り取って写真を撮るのも楽しいスポットです。

[All Photos by Chika]

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Chika
都内在住、京都をこよなく愛する、コテコテの大阪人。飛行機好きが高じて航空会社のグランドスタッフとして勤務していた経験も。海があるところに行くと癒される。
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