昭和初期のモダンな小学校を保存しホテルとして新しい歴史を紡ぐ
1933(昭和8)年に建てられた清水小学校を、往時の姿を忠実に残しながらヘリテージホテルとして新しい歴史を紡ぐ「ザ・ホテル青龍 京都清水」。清水寺へと続く清水坂の中腹から伸びる長~いアプローチが特徴的。そう、ココは小学校の正門だった場所。子どもたちが元気よく登校していたのかぁ~などと思いを馳せながら石畳を進みます。
レセプションの建物!? 元小学校の校舎です! クリームがかった黄土色の石×タイルの装いがとっても素敵。
どれ、どれ、近くに寄ってみましょう。昇降口だったのかぁ~。格子窓に加え3階にはアーチ窓も。昭和初期にこんなモダンな洋館を思わす校舎なんて、うらやましさすら感じます。よ~く目を凝らしてください! 昇降口の上には時計が掛けられていたであろう丸い跡が。ということは……・ 今、立っている場所は校庭だったところなんです。
用務員室はレセプションに! ホテルスタッフのバックヤードは給食室だったとのこと。
白壁と淡い明りに包まれた中でテーブルチェックイン。お茶とおしぼりがさっと運ばれてきて心地好い!
うわぁ~、小学校なのに中庭に大階段が広がっています。もちろん、これも開校当初からあったもの(石材は新しくなっています)。普通、小学校にはないよなぁ~と思いながら、モダンの域を超える建築美すら感じます。しかも昭和初期の校舎ですよ!
スタッフが客室まで案内してくれるんですが、その話が興味深くて、つい立ち止まって写真を撮ってしまうから時間がかかっちゃう。格子窓の外には小学校時代からあった赤いポストがちょこん……
ホテル名の“青龍”とは四神獣の東の守り神。ここは東山。龍の鱗をイメージした青×白の絨毯がどこまでも続きます。
教室はクラシカルな居心地のいい客室に
あれこれ聞いて、やっと客室に到着。案内されたのはスーペリアキングルーム。広さは約45平方メートル。教室だったその構造を継承したデザインで、天井が高くて開放感があること。
白壁を基調に、自然素材の風合いを生かしたアースカラーでまとめられ、クラシカルな雰囲気にリラックスしてしまいます。格子窓の外には清水寺の景観も! ベッドはシモンズの200cmキングサイズ。これはおこもりステイが楽しめそう。客室数はわずか48室ですが、それぞれ表情や眺めが異なる15タイプの客室がそろいます。
コーヒーや紅茶、京都の老舗日本茶専門店「一保堂茶舗」の玉露やほうじ茶などに加え、ミニバーや冷蔵庫内のアルコール類を含めたドリンクは、すべて無料。お茶受けに用意されていた「御菓子司 緑菴」の麩焼きせんべい「みどり」は、雪のように一瞬でなくなる、なめらかで優しい口どけが絶品なので、ぜひご賞味を!
クラフトチューハイが用意されているのにもセンスを感じます!
ダブルシンクのパウダールームも広々。ふかふかのバスローブも用意されています。
シャンプーやリンス、ローションなどは、スペインのスキンケアブランド「ナチュラビセ」。
ハンドシャワーに加えて、オーバーヘッドシャワーも備わり、バスソルトなどのアメニティもあるので、ゆっくりバスタイムを楽しめそう。
おや? 客室からバスルームが見えちゃいますね!
もちろん、曇りガラスにできるので安心です! こんなウィットに富んだ遊び心もあるんです。
あれ、迷ってしまった! 迷宮学園ホテル恐るべし!!
客室に備えてあった本を開いてビックリ! あっれ~、色合いや意匠、雰囲気などが小学校時代とまったく同じ。ホントにこんな感じだったんだと改めて実感。それでは、ここからおもしろそうな学校探検に出発!
あれ、どっちから来たんだっけ?
茶×白のタイルや階段のお踊り場が学校の雰囲気。階段の1段の高さも小学生の身長に合わせて低めに設定され、腰板張りが施されています。
ほら、右側の階段がたわんでいるのわかりますか? これは子どもたちが手すりを使って遊んだ証拠。
上から見たほうがわかりやすいかも。手すり側でよく遊ぶから片側だけすり減ったような状態に。
今度は、こっちに行ってみよう。どこまでも廊下が続いている……
昭和初期の校舎にダストシュートが備わっていたとは! 放課後の掃除も楽だったのかな?
手すりの落書き発見! 何て書いてあるのだろう?
あれ、ここ来たかな?
木漏れ日がきれいだけど、あれ……
ここ来たね……
あれ……迷宮学園にはまってしまいました。4階建ての校舎なのでそんなに大きくはないのですが、青×白と茶×白の市松模様が、どこに行っても、どこまでも続いているので、まるで学園ダンジョン!
エッ! 夜になってる……なんてことはないと思いますが、幅広の学校階段をあっちに行ったりこっちに行ったりするのは楽しいもの。もちろん、エレベーターは備わっていますが、歩くとより一層、迷宮学園ホテルを楽しめますぞ。
エスプリ香るビストロフレンチをプリフィクススタイルで
夕食はホテルに併設されている「ブノワ 京都」で。これはホテル3階からの眺めですが、正面に見える平屋の瓦屋根の建物がレストラン。眼下に大階段が広がり、ホテルはコの字型のレイアウトになっているのがわかります。
パリのエスプリが香るビストロとして100年以上続く“ブノワ”。ビストロらしく肩肘張ることなくいただけるフレンチを楽しめます。ブノワの象徴ともいえる真っ赤なソファが印象的で、開放感ある店内も心地好い雰囲気。一面の窓からは「法観寺・八坂の塔」の愛称で知られる法観寺の五重塔を望めます。
ただディナーは闇に包まれてしまうので、この景色の中で料理を楽しみたいならランチがおすすめ。
ディナーは、3種類あるプリフィクススタイルが基本ですが、アラカルトで注文することも可能。本日は前菜2品+メイン+デザート+ドリンクからなる9,000円(税込)のプリフィクスメニューをチョイス。
前菜は鶏肉と豚肉からなるパテをパイ生地で包み込んだ「パテ・アン・クルート」と「ブルゴーニュ産エスカルゴ」をオーダー。肉の旨みと風味を豊かに感じる「パテ・アン・クルート」は、ひとりではちょっと多いかなと感じるほどボリュームたっぷり。カリカリのクルトンの蓋をあけると姿を見せるエスカルゴは、ニンニクやハーブバターの風味がきいた小気味よい食感。
メイン料理は、カスレと悩んだ挙句、「丹羽黒どりのロティ モリーユ茸のフリカッセ」に。胸肉とモモ肉の2つの風味を楽しめるのに加え、フランスでは旬の食材のモリーユ茸がおいしいこと。日本ではアミガサダケと呼ばれ、日本では見慣れないきのこですがしっかりした歯ごたえがあり、丹羽黒どりからとったソースとの相性もばっちり。これに皮目はカリカリ、中はふんわりジューシーな丹羽黒どりが追い打ちをかける相乗効果。
プラリネが香ばしいアフォガートをデザートにいただき、ホテルへ戻りましょう。
優雅なプライベートバス&ゆったりできるゲストラウンジ
いやぁ~、お腹も大満足! 明日はホテルスタッフにすすめられた“誰もいない清水寺”を体感するため早起きの予定。客室のバスルームでも十分幸せですが……
ラグジュアリーなプライベートバス6,000円(90分・税込)もありますよ。
ちょっとゆっくりしたければ、ゲストラウンジもおすすめ。ソフトドリンクやアルコールなどに加え、スイーツやオードブルなどを無料で楽しむことができます。
講堂・体育館が大変貌! 図書館のようなレストランで朝食を!!
“誰もいない清水寺”なんて初体験! 清水寺へはホテルから歩いて8分ほど。そんなロケーションだからこそ京都での特別な体験を演出できるのです。
うわぁ~、ホントに誰もいない!? こんな光景見ることできるんだ!
しっかりお参りもしたし、なんだか得した気分になるし、いいことありそうな気持ちになるから不思議。
朝食は「restaurant library the hotel seiryu(レストラン ライブラリー ザ・ホテルセイリュウ)」。元小学校では講堂&体育館として使われていたということで、天井高が約4.5mもあり、約1,100冊の書籍が並び図書館を思わすよう。
朝食は、卵料理やリゾット、パンケーキなど、6種類の中からメイン料理を選ぶスタイル。ガレットを選んだのですが、その前に運ばれてきたサラダやフルーツはシャーレ風の器に、ヨーグルトは給食で親しみのある瓶タイプ。さすが元小学校の迷宮学園ホテル!
ガレットには、ラタトゥイユと生ハムがトッピング。京都・宇治のブランド卵「WABISUKE(わびすけ)」は黄身が鮮やかなオレンジ色で、ガレットと共に濃厚な風味を楽しめます。
チェックアウトも12時なので、朝食後もお部屋でのんびりしたり、ゲストラウンジでまどろんだり、思い思いの時間を過ごせます。
住所:京都府京都市東山区清水二丁目‐204-2
料金:1名利用時/1泊朝食付き1名10万7,400円~ 2名利用時/1泊朝食付き1名5万7,150円~
CHECK IN/OUT:15:00/12:00
客室数:48室
アクセス:京都市バス「清水道」下車、徒歩5分(JRほか「京都駅」よりタクシーで約15分)
URL:https://www.princehotels.co.jp/seiryu-kiyomizu/
※2023年4月現在、新型コロナウイルス感染症対策のためサービス体制や料理提供方法などが通常と異なることがあります
[Photos by ©︎tawawa]