
そもそもカッパとはどんな生き物なのか?

※画像はイメージです
水界に住む妖怪の一種で、水神の一族や従者という説もあります。身長は1mくらいで、口先がとがり、頭上に皿と呼ばれるくぼみがあり、少量の水を蓄えています。背中に甲羅があるのも大きな特徴です。髪型は「おかっぱ」で、キュウリが好物。また、水泳が得意で、相撲も大好きです。体の色は、緑や青、青黒色といわれています。
さらに、田畑を荒らしたり、馬を水の中に引き入れたりするいたずら者ですが、その一方で恩義に厚く、田植えや草刈りを手伝ったり、魚を届けることも。
余談になりますが、お寿司の「かっぱ巻き」の語源は、カッパのキュウリ好きが由来になっています。
今にもカッパが現れそうな雰囲気の「カッパ淵」

©️公益財団法人岩手県観光協会
かつて(もしかしたら今もなお)人々を驚かせて、いたずらしていたカッパが住んでいたとされるのが、土淵町の常堅寺裏を流れる小川の淵「カッパ淵」です。数多くのカッパ伝説が残る遠野で、一番知られているスポットだといえます。昔、武将が馬の足を洗っていたら、この淵からカッパが出てきて悪さをしたとか。
この小川はうっそうとした茂みに囲まれ、澄んだ水がサラサラと流れていて、今にもカッパが現れそうな雰囲気です。淵の岸辺には、カッパ神を祀った小さな祠も。子持ちの女性がお乳が出るようにと願をかけると叶うといわれています。願かけには、赤い布で乳の形を作り、この祠に納めるのが習いだそうです。
カッパ淵は10カ所以上!? 遠野にのこる「カッパミステリー」

続いて、遠野のカッパにまつわる不思議な話をご紹介します。
- 遠野にはカッパ淵が10カ所ほどある
- 遠野の人は座敷童子やカッパを「妖怪」とは捉えていない
- カッパの指は3本ということから、昔は五体満足でない子どもを間引いていた
- 昔、飢饉で餓死した子どもを川に流していて、それが「カッパ」だった
最後の話は遠野のカッパの顔が「赤い」ことからも、ある程度、信憑性がありそうです。とはいえ、この背景には、昔の遠野の人々の貧しい生活があります。そう考えると、なんだか悲しく、複雑な気持ちになりますよね。
ユニークな「カッパ捕獲許可証」を購入できる「伝承園」

カッパ淵の近くにある、遠野地方のかつての農家の生活様式を再現した「伝承園」では、伝承行事、昔話を聞く、民芸品の製作といった体験が可能です。園内には国の重要文化財「旧菊池家住宅」のほか、『遠野物語』の話者だった佐々木喜善の記念館、御蚕神堂(オシラ堂)、郷土料理を味わえるお食事処があります。
なかでも、1,000体のオシラサマを安置した「オシラ堂」は必見! オシラサマは養蚕・農業・馬の神様・目の神様・女性の病気の神様として知られています。さらに良いことを知らせてくれる「オシラセ神」としても有名です。ぜひ用意されている布(1枚100円)に願い事を書き、着布したいですね。
また、カッパの捕獲を楽しみたいのなら、キュウリを持って、「カッパ捕獲許可証」(220円)を購入しましょう。許可証の裏面には「捕獲7カ条」があり、「頭の皿を傷つけず、皿の中の水をこぼさないで捕まえること」など、カッパ捕獲の際のユニークな注意事項も記載されています。
カッパ淵には釣り竿が置いてあるので、キュウリを餌にカッパ釣りができますよ。なんとカッパを捕獲して、仲良く遠野市観光協会に行けば、賞金1,000万円をゲットできるんです! これは子どもよりも大人の方がカッパの捕獲に必死になるかもしれませんね(笑)。
伝承園
住所:岩手県遠野市土淵町土淵6地割5番地1
電話:0198-62-8655
開園時間:9:00〜16:00(入園受付は15:30)
休園日:年中無休
入園料:大人330円、小・中・高校生220円
交通アクセス:JR「遠野駅」から早池峰バスで約25分、足洗川バス停下車、徒歩3分(約1時間に1便)
公式サイト:
https://www.densyoen.jp/
[All photos by Shutterstock.com]
Ayami ライター
フリーライター。劇団員、OL、WEB編集ライターを経て、フリーランスになる。辛い食べ物、東南アジアが大好き。旅するように生きるのが人生の目標。
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